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[[六行詩集]]>54番*
*原文
Six cens & quinze&sup(){1}, vingt, grand Dame&sup(){2} mourra,
Et peu apres vn fort long temps&sup(){3} plouura&sup(){4},
Plusieurs pays&sup(){5}, Flandres & l'Angleterre,
Seront par feu & par fer&sup(){6} affligez,
De leurs voisins&sup(){7} longuement assiegez,
Contraints&sup(){8} seront de leurs&sup(){9} faire la guerre&sup(){10}.
**異文
(1) & quinze : & al[?] 1600Au, quinze 1600Mo
(2) vingt, grand Dame : vne Dame 1600Au, vne grand Dame 1600Mo
(3) vn fort long temps : long temps 1600Mo, vn fort long-temps 1611B 1649Ca, vn fort lon-temps 1627Di, vn peu long-temps 1649Xa
(4) plouura : pleuura 1600Mo 1627Ma 1627Di 1672Ga
(5) pays : Pais 1672Ga
(6) par fer : par ter 1600Mo
(7) voisins : Voisins 1672Ga
(8) Contraints : Contraint 1627Di
(9) de leurs 1605sn 1600Au : de leur 1600Mo 1611 1627Ma 1627Di 1628dR 1644Hu 1649Ca 1649Xa 1672Ga
(10) guerre : Guerre 1672Ga
(注記)1600Au の1行目は et と une の間にある2、3語ほどの単語の判読が難しい。
*日本語訳
六百と十五、二十、偉大な婦人が死ぬだろう。
そしてその後間もなく非常に長い間雨が降るだろう。
多くの地方、[[フランドル]]、そしてイングランドは
火と鉄器によって荒廃し、
彼らの隣人たちによって長期間攻囲され、
その者たちへの戦争を余儀なくされるだろう。
**訳について
3行目は前半と後半が同じものだとすれば、「フランドルやイングランドなどの多くの国(地方)は」とも訳せるか。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、653年に貴婦人が死ぬことの予言だが、その年には多くの国で貴婦人がなくなったので特定は難しいとした。「653」がどこから出てきたのか全く不明だが、おそらく「635」の誤植だろう(600 + 15 + 20)。残りの部分は平易だとして、特定の事件とは結びつけなかった((Garencieres [1672]))。
[[ジャック・ド・ジャン]]は 6 + 15 + 20 で1641年と解釈し、この年(旧暦)にマリー・ド・メディシスが死んだこととした。その頃、長雨でフランス各地が大洪水になり、ローヌ川、ロワール川の流域で氾濫が起こったほか、セーヌの氾濫でパリにも被害があったという。後半の描写は三十年戦争とロンドン大火のことだという((Jant [1673] pp.79-81))。
この解釈は[[1691年ルーアン版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1691年)]]で「当代の一知識人」も踏襲した。もっとも、この二人は同一人物とする説もある。
*同時代的な視点
動物や神話上のモチーフなど様々な比喩が登場する六行詩集の中で、具体的な国名を挙げているのは珍しい。しかし、何を念頭に置いたものかは判然としない。
フランドルは現ベルギーだが、1609年まで独立戦争を戦っていたオランダ(北部七州)とも部分的に重なっていた。北部七州とイングランドの共通点はプロテスタントということで、何かそういう対立が投影されたものかもしれない。
なお、攻囲を仕掛ける隣人と戦争するというモチーフは[[六行詩47番]]にも登場している。
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#comment
[[六行詩集]]>54番*
*原文
Six cens & quinze&sup(){1}, vingt, grand Dame&sup(){2} mourra,
Et peu apres vn fort long temps&sup(){3} plouura&sup(){4},
Plusieurs pays&sup(){5}, Flandres & l'Angleterre,
Seront par feu & par fer&sup(){6} affligez,
De leurs voisins&sup(){7} longuement assiegez,
Contraints&sup(){8} seront de leurs&sup(){9} faire la guerre&sup(){10}.
**異文
(1) & quinze : & al[?] 1600Au, quinze 1600Mo
(2) vingt, grand Dame : vne Dame 1600Au, vne grand Dame 1600Mo
(3) vn fort long temps : long temps 1600Mo, vn fort long-temps 1611B 1649Ca, vn fort lon-temps 1627Di, vn peu long-temps 1649Xa
(4) plouura : pleuura 1600Mo 1627Ma 1627Di 1672Ga
(5) pays : Pais 1672Ga
(6) par fer : par ter 1600Mo
(7) voisins : Voisins 1672Ga
(8) Contraints : Contraint 1627Di
(9) de leurs 1605sn 1600Au : de leur 1600Mo 1611 1627Ma 1627Di 1628dR 1644Hu 1649Ca 1649Xa 1672Ga
(10) guerre : Guerre 1672Ga
(注記)1600Au の1行目は et と une の間にある2、3語ほどの単語の判読が難しい。
*日本語訳
六百と十五、二十、偉大な婦人が死ぬだろう。
そしてその後間もなく非常に長い間雨が降るだろう。
多くの地方、[[フランドル]]、そしてイングランドは
火と鉄器によって荒廃し、
彼らの隣人たちによって長期間攻囲され、
その者たちへの戦争を余儀なくされるだろう。
**訳について
3行目は前半と後半が同じものだとすれば、「フランドルやイングランドなどの多くの国(地方)は」とも訳せるか。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、653年に貴婦人が死ぬことの予言だが、その年には多くの国で貴婦人がなくなったので特定は難しいとした。「653」がどこから出てきたのか全く不明だが、おそらく「635」の誤植だろう(600 + 15 + 20)。残りの部分は平易だとして、特定の事件とは結びつけなかった((Garencieres [1672]))。
[[ジャック・ド・ジャン]]は 6 + 15 + 20 で1641年と解釈し、この年(旧暦)にマリー・ド・メディシスが死んだこととした。その頃、長雨でフランス各地が大洪水になり、ローヌ川、ロワール川の流域で氾濫が起こったほか、セーヌの氾濫でパリにも被害があったという。後半の描写は三十年戦争とロンドン大火のことだという((Jant [1673] pp.79-81))。
この解釈は[[1691年ルーアン版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1691年)]]で「当代の一知識人」も踏襲した。もっとも、この二人は同一人物とする説もある。
*同時代的な視点
動物や神話上のモチーフなど様々な比喩が登場する六行詩集の中で、具体的な国名を挙げているのは珍しい。しかし、何を念頭に置いたものかは判然としない。
フランドルは現ベルギーだが、1609年まで独立戦争を戦っていたオランダ(北部七州)とも部分的に重なっていた。北部七州とイングランドの共通点はプロテスタントということで、何かそういう対立が投影されたものかもしれない。
なお、攻囲を仕掛ける隣人と戦争するというモチーフは[[六行詩47番]]にも登場している。
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