Brode

「Brode」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

Brode」(2011/01/15 (土) 11:42:43) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 &bold(){Brode} ないし &bold(){Brodde} は語義に諸説あるが、フランス南東部のアルプスに近い地域もしくはその住民を指す語と見なすのが有力である。  [[アナトール・ル・ペルチエ]]は、アルプスの一部に住んでいた住民を指すラテン語 Brodiontii に由来するとし、それがオート=ザルプ県のアンブラン(Embrun)の語源にもなったと指摘した((Le Pelletier [1867b]))。アンブランはかつて大司教座であり、ドーフィネ地方の主要都市のひとつだった。  [[ピエール・ブランダムール]]の読み方もこれに近く、アンブランの古称エブロドゥヌム(Ebrodunum)に由来するとした((Brind’Amour [1996] p.454))。[[ブリューノ・プテ=ジラール]]はそれをそのまま踏襲した((Petey-Girard [2003]))。  [[マリニー・ローズ]]も同じで、さらに当時のモンペリエ大学の学生簿の中で、アンブラン出身の学生が語頭を落として Brudunensis とラテン語で綴っていた事例があることを指摘した((Rose [2002]))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、[[セザール・ド・ノートルダム]]の年代記の中に、「[[アロブロゲス>Allobroges]]を、プロヴァンス人たちは転訛ないし語中音消失によってブロド(Brode)と呼ぶ」という記述があることから、アロブロゲスと解釈した((Clébert [2003]. なお、語中音消失(syncope)とあるのは語頭音消失(aphérèse)の誤りではないかと思える。))。  LTDF でもセザールの言及に触れられている。プロヴァンス語ではそれは Brodo といい、ラテン語 Brodiontii に由来する語で、「かつてドーフィネの人々に与えられていた通称で、セザール・ド・ノートルダムはアロブロゲスを語源としていた」((LTDF, t.I, p.378))。ドーフィネ地方は現在のアンブランを含んでいる。  セザールの年代記にこの語が登場することは、[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]の著書でも指摘されており、彼はそれを元にサヴォワと解釈した((Fontbrune (1980)[1982]))。  なお、プロヴァンス語には他の Brodo もある。ラテン語 broda に由来する「怠惰」(paresse, indolence)を意味ずる語、イタリア語 broda に由来する「泥」(boue fange)を意味する語である((LTDF))。  古フランス語には複数の brode があった((以下はいずれもLAFによる。))。 -男性名詞として「小麦とライ麦を混ぜたパン」を意味し、形容詞として「茶色の、褐色の」を意味する語。 -「気力のない、柔弱な」(lâche, mou, efféminé)を意味する形容詞。 -「刺繍」(broderie)を意味する女性名詞。 -「後方」(derrière)を意味する女性名詞。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は古フランス語で「黒」とし、[[エドガー・レオニ]]は古フランス語で「茶色、黒」や「退廃的な、微弱な」などの意味とし、いずれも固有名詞とは捉えなかった((Garencieres [1672], Leoni [1961]))。 #ref(embrun.PNG) 【画像】1450年ころの周辺地図(([[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Venezia1450.jpg?uselang=ja]]より一部抜粋)) *登場箇所 -[[百詩篇第3巻92番]] -[[百詩篇第4巻3番]] -[[百詩篇第8巻34番]] ---- #comment
 &bold(){Brode} ないし &bold(){Brodde} は語義に諸説あるが、フランス南東部のアルプスに近い地域もしくはその住民を指す語と見なすのが有力である。  [[アナトール・ル・ペルチエ]]は、アルプスの一部に住んでいた住民を指すラテン語 Brodiontii に由来するとし、それがオート=ザルプ県のアンブラン(Embrun)の語源にもなったと指摘した((Le Pelletier [1867b]))。アンブランはかつて大司教座であり、ドーフィネ地方の主要都市のひとつだった。  [[ピエール・ブランダムール]]の読み方もこれに近く、アンブランの古称エブロドゥヌム(Ebrodunum)に由来するとした((Brind’Amour [1996] p.454))。[[ブリューノ・プテ=ジラール]]はそれをそのまま踏襲した((Petey-Girard [2003]))。  [[マリニー・ローズ]]も同じで、さらに当時のモンペリエ大学の学生簿の中で、アンブラン出身の学生が語頭を落として Brudunensis とラテン語で綴っていた事例があることを指摘した((Rose [2002]))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、[[セザール・ド・ノートルダム]]の年代記の中に、「[[アロブロゲス>Allobroges]]を、プロヴァンス人たちは転訛ないし語中音消失によってブロド(Brode)と呼ぶ」という記述があることから、アロブロゲスと解釈した((Clébert [2003]. なお、語中音消失(syncope)とあるのは語頭音消失(aphérèse)の誤りではないかと思える。))。  LTDF でもセザールの言及に触れられている。プロヴァンス語ではそれは Brodo といい、ラテン語 Brodiontii に由来する語で、「かつてドーフィネの人々に与えられていた通称で、セザール・ド・ノートルダムはアロブロゲスを語源としていた」((LTDF, t.I, p.378))。ドーフィネ地方は現在のアンブランを含んでいる。  セザールの年代記にこの語が登場することは、[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]の著書でも指摘されており、彼はそれを元にサヴォワと解釈した((Fontbrune (1980)[1982]))。  なお、プロヴァンス語には他の Brodo もある。ラテン語 broda に由来する「怠惰」(paresse, indolence)を意味する語、イタリア語 broda に由来する「泥」(boue fange)を意味する語である((LTDF))。  古フランス語には複数の brode があった((以下はいずれもLAFによる。))。 -男性名詞として「小麦とライ麦を混ぜたパン」を意味し、形容詞として「茶色の、褐色の」を意味する語。 -「気力のない、柔弱な」(lâche, mou, efféminé)を意味する形容詞。 -「刺繍」(broderie)を意味する女性名詞。 -「後方」(derrière)を意味する女性名詞。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は古フランス語で「黒」とし、[[エドガー・レオニ]]は古フランス語で「茶色、黒」や「退廃的な、微弱な」などの意味とし、いずれも固有名詞とは捉えなかった((Garencieres [1672], Leoni [1961]))。 #ref(embrun.PNG) 【画像】1450年ころの周辺地図(([[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Venezia1450.jpg?uselang=ja]]より一部抜粋)) *登場箇所 -[[百詩篇第3巻92番]] -[[百詩篇第4巻3番]] -[[百詩篇第8巻34番]] ---- #comment

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: