六行詩35番

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[[六行詩集]]>35番* *原文 Dame par mort grandement&sup(){1} attristée, Mere&sup(){2} & tutrice au sang qui la&sup(){3} quittée&sup(){4}, Dame&sup(){5} & Seigneurs, faits enfans orphelins&sup(){6}, Par&sup(){7} les aspics&sup(){8} & par les Crocodilles&sup(){9}, Seront surpris forts Bourgs&sup(){10}, Chasteaux&sup(){11} Villes&sup(){12} Dieu tout puissant&sup(){13} les&sup(){14} garde des malins. **異文 (1) grandement : d'vn grandement 1600Mo (2) Mere : Et mere 1600Mo (3) la : l'a 1611 1628dR 1644Hu 1649Ca (4) quittée, : quitté,e[&italic(){sic.}] 1600Mo, quitte 1611B (5) Dame : Dames 1600Mo 1627Di (6) orphelins : Orphelins 1672Ga (7) Par : Et 1600Mo (8) aspics : Aspics 1600Mo 1644Hu 1672Ga (9) Crocodilles : Crocodrilles 1600Au, Cocodrils 1600Mo (10) forts Bourgs : forts 1600Au, fauxbourgs 1600Mo, faux-bourgs 1627Ma, faux bourgs 1627Di, forts bourgs 1644Hu 1672Ga (11) Chasteaux : chasteaux 1600Mo 1644Hu (12) Villes 1605sn 1649Xa : & villes 1600Au 1600Mo 1628dR 1644Hu 1649Ca, & Villes 1611 1627Ma 1627Di 1672Ga (13) tout puissant : Tout-puisant 1644Hu, tout Puissant 1627Ma 1627Di (14) les : nous 1600Mo (注記)1611Aの6行目garde|des は込物(字間の空白を作るために挿入するもの。通常は印刷されない)が印刷されている感じである。 *日本語訳 婦人は死によって大いに心を痛める。 血の繋がった後見人である母は彼女を見捨てた。 婦人と領主たちにより、孤児たちが生み出される。 マムシたちとワニたちによって、 砦、町、城、都市の数々は急襲されるだろう。 全能の神よ、彼らを邪なることどもから護りたまえ。 **訳について  3行目は「~により」を補った。5行目は砦や町がいずれも複数形なので、「数々」を補った。 *信奉者側の見解  [[ノエル=レオン・モルガール]]の用語解説では、「ワニ」は「フランス人の裏切り者」とされている。「マムシ」についての言及はない((1600Mo))。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は暗殺された[[アンリ4世]]の妃マリー・ド・メディシスと、彼女が後に引き起こした骨肉の争いであるポン=ド=セの戦い(1620年)についてとした((Garencieres [1672]))。  [[ヴライク・イオネスク]]はベトナム戦争の予言とし、後ろ盾であったアメリカに見捨てられた南ベトナムが陥落したことと解釈した((イオネスク [1991] p.140))。 *同時代的な視点  偽作されたと思しき1605年頃より前にモデルを求めるとすれば、サン=バルテルミーの虐殺(1572年)が有力候補となるだろう。  この虐殺事件は王太后カトリーヌ・ド・メディシスの娘のマルグリットがアンリ4世と結婚するのを機に起こされたものだった。カトリーヌは有力プロテスタントの殺害にとどまる見通しで承認したとされるが、実際には多くの都市に拡散し、フランス全土で1万人以上とも言われる犠牲者を出した。  カトリーヌの関与の度合いについては昔から色々言われていたが、[[六行詩52番]]を見る限りでは、偽作者は事件の黒幕と見ていたようである。  この読み方が正しい場合、1行目の「婦人」(2行目の「彼女」)はマルグリット、3行目の「婦人」(2行目の「母」)はカトリーヌということになるだろう。 *その他  1600Au では32番となっている。 ---- #comment
[[六行詩集]]>35番* *原文 Dame par mort grandement&sup(){1} attristée, Mere&sup(){2} & tutrice au sang qui la&sup(){3} quittée&sup(){4}, Dame&sup(){5} & Seigneurs, faits enfans orphelins&sup(){6}, Par&sup(){7} les aspics&sup(){8} & par les Crocodilles&sup(){9}, Seront surpris forts Bourgs&sup(){10}, Chasteaux&sup(){11} Villes&sup(){12} Dieu tout puissant&sup(){13} les&sup(){14} garde des malins. **異文 (1) grandement : d'vn grandement 1600Mo (2) Mere : Et mere 1600Mo (3) la : l'a 1611 1628dR 1644Hu 1649Ca (4) quittée, : quitté,e[&italic(){sic.}] 1600Mo, quitte 1611B (5) Dame : Dames 1600Mo 1627Di (6) orphelins : Orphelins 1672Ga (7) Par : Et 1600Mo (8) aspics : Aspics 1600Mo 1644Hu 1672Ga (9) Crocodilles : Crocodrilles 1600Au, Cocodrils 1600Mo (10) forts Bourgs : forts 1600Au, fauxbourgs 1600Mo, faux-bourgs 1627Ma, faux bourgs 1627Di, forts bourgs 1644Hu 1672Ga (11) Chasteaux : chasteaux 1600Mo 1644Hu (12) Villes 1605sn 1649Xa : & villes 1600Au 1600Mo 1628dR 1644Hu 1649Ca, & Villes 1611 1627Ma 1627Di 1672Ga (13) tout puissant : Tout-puisant 1644Hu, tout Puissant 1627Ma 1627Di (14) les : nous 1600Mo (注記)1611Aの6行目garde|des は込物(字間の空白を作るために挿入するもの。通常は印刷されない)が印刷されている感じである。 *日本語訳 婦人は死によって大いに心を痛める。 血の繋がった後見人である母は彼女を見捨てた。 婦人と領主たちにより、孤児たちが生み出される。 マムシたちとワニたちによって、 砦、町、城、都市の数々は急襲されるだろう。 全能の神よ、彼らを邪〔よこしま〕なることどもから護りたまえ。 **訳について  3行目は「~により」を補った。5行目は砦や町がいずれも複数形なので、「数々」を補った。 *信奉者側の見解  [[ノエル=レオン・モルガール]]の用語解説では、「ワニ」は「フランス人の裏切り者」とされている。「マムシ」についての言及はない((1600Mo))。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は暗殺された[[アンリ4世]]の妃マリー・ド・メディシスと、彼女が後に引き起こした骨肉の争いであるポン=ド=セの戦い(1620年)についてとした((Garencieres [1672]))。  [[ヴライク・イオネスク]]はベトナム戦争の予言とし、後ろ盾であったアメリカに見捨てられた南ベトナムが陥落したことと解釈した((イオネスク [1991] p.140))。 *同時代的な視点  偽作されたと思しき1605年頃より前にモデルを求めるとすれば、サン=バルテルミーの虐殺(1572年)が有力候補となるだろう。  この虐殺事件は王太后カトリーヌ・ド・メディシスの娘のマルグリットがアンリ4世と結婚するのを機に起こされたものだった。カトリーヌは有力プロテスタントの殺害にとどまる見通しで承認したとされるが、実際には多くの都市に拡散し、フランス全土で1万人以上とも言われる犠牲者を出した。  カトリーヌの関与の度合いについては昔から色々言われていたが、[[六行詩52番]]を見る限りでは、偽作者は事件の黒幕と見ていたようである。  この読み方が正しい場合、1行目の「婦人」(2行目の「彼女」)はマルグリット、3行目の「婦人」(2行目の「母」)はカトリーヌということになるだろう。 *その他  1600Au では32番となっている。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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