六行詩53番

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[[六行詩集]]>53番* *原文 Plusieurs mourront auant que Phoenix&sup(){1} meure, Iusques&sup(){2} six cens septante est sa demeure, Passé&sup(){3} quinze ans, vingt & vn&sup(){4} trente neuf&sup(){5}. Le premier est subiet&sup(){6} à maladie, Et le second au fer, danger de vie, Au feu à l'eau&sup(){7}, est subiect&sup(){8} à trente-neuf&sup(){9}. **異文 (1) Phoenix : phœnix 1627Ma 1627Di (2) Iusques : Iusques a 1600Au (3) Passé : Passe 1600Mo 1627Di (4) vingt & vn : vingt vn 1600Au (5) trente neuf : trente-neuf 1600Mo 1644Hu 1649Xa (6) subiet(vers4) : subiect 1611B, sujet 1627Ma, subjet 1649Xa, Subjet 1672Ga (7) à l'eau : & l'eau 1600Au 1600Mo (8) subiect(vers6) : sujet 1627Ma, suiet 1627Di 1644Hu 1649Xa, subjet 1672Ga (9) trente-neuf : trente neuf 1628dR *日本語訳 [[フェニックス]]が死ぬ前に多くの者が死ぬだろう。 六百七十まで彼はとどまる、 十五年、二十一年、三十九年と過ぎて。 最初の時期に彼は病気に罹りやすく、 次は鉄器で生命の危機に陥り、 三十九には火と水に脅かされやすい。 **訳について  2行目は「六百七十まで彼の住居は存在する」とも訳せる。そもそも、前半はどこで区切るかによって、訳し方にかなり幅がある。  3行目はとりあえず年数として訳したが、年齢の可能性もある。  4、5行目は彼(il)が略されていると見たが、そのまま le premier, le second を主語と見るならば、「最初の者は病気に罹りやすく、二番目の者は鉄で生命の危機に陥り」となる。 *信奉者側の見解  [[ノエル=レオン・モルガール]]の用語解説では、フェニックスはモンモランシー公のこととされている。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]はフェニックスをローマ教皇のことだろうとしたが、残りの部分は不明とした((Garencieres [1672]))。  [[ジャック・ド・ジャン]]はルイ14世と解釈した。  1行目は、フェニックスが非常に長生きするので他の者たちが先立つことを表現しているとした。2行目は Jusques septante six ans est sa demeure (76年まで生きる)と読み替え、ルイ14世が76歳になるまで生きることとし、3行目は人生の重要な三つの時期についてとした。  4行目はその最初の時期、15歳から21歳の間には大病を患ったこととし、次の時期21歳から39歳は度重なる対外戦争で危険を冒していることとし、残りの期間は火と水に気をつけるべきとした(ジャンの解釈の時点ではルイはまだ30歳になるかならないかだった)((Jant [1673] pp.70-74))。  [[1691年ルーアン版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1691年)]]に掲載された「当代の一知識人」の解釈でもこの解釈が踏襲されている。「当代の一知識人」とジャック・ド・ジャンは同一人物とする説もある。  [[ウジェーヌ・バレスト]]は、ルイが30歳の時点で寿命(ルイは1638年生まれで1715年に76歳で歿)を見事に的中させたとして、ジャンの解釈を紹介していた((Bareste p.503))。  [[ロルフ・ボズウェル]](1943年)は1970年までローマ教皇庁が存続することの予言とし、ピウス11世(在位1922年 - 1939年)の即位から15年目の1937年、21年目の1943年、39年目の1961年の出来事が描かれているとした。他方、最後の行の39は、第二次世界大戦が勃発した1939年と関連付ける者もいると指摘した((Boswell [1943] pp.179-180))。  [[オッタービオ・チェーザレ・ラモッティ]]は、1914年に即位したベネディクト14世、1922年に即位したピウス11世、1939年に即位したピウス12世に関わる詩とした((ラモッティ [1999] pp.76-80))。 *同時代的な視点  [[六行詩48番]]でもフェニックスは登場しているが、そこでは未来の名君として描かれているかのように見える。この詩も、偽作された時点で幼かったルイ13世の長生きを祈って偽作されたものだったのではなかろうか。  なお、六行詩集でルイ13世の喩えとされる表現には、「提供する者」という言葉もある。[[六行詩38番]]では、提供する者の生命を危険にさらすものとして、鉄と水と大病が挙げられている。 *その他  1600Au では51番となっている。 ---- #comment
[[六行詩集]]>53番* *原文 Plusieurs mourront auant que Phoenix&sup(){1} meure, Iusques&sup(){2} six cens septante est sa demeure, Passé&sup(){3} quinze ans, vingt & vn&sup(){4} trente neuf&sup(){5}. Le premier est subiet&sup(){6} à maladie, Et le second au fer, danger de vie, Au feu à l'eau&sup(){7}, est subiect&sup(){8} à trente-neuf&sup(){9}. **異文 (1) Phoenix : phœnix 1627Ma 1627Di (2) Iusques : Iusques a 1600Au (3) Passé : Passe 1600Mo 1627Di (4) vingt & vn : vingt vn 1600Au (5) trente neuf : trente-neuf 1600Mo 1644Hu 1649Xa (6) subiet(vers4) : subiect 1611B, sujet 1627Ma, subjet 1649Xa, Subjet 1672Ga (7) à l'eau : & l'eau 1600Au 1600Mo (8) subiect(vers6) : sujet 1627Ma, suiet 1627Di 1644Hu 1649Xa, subjet 1672Ga (9) trente-neuf : trente neuf 1628dR *日本語訳 [[フェニックス]]が死ぬ前に多くの者が死ぬだろう。 六百七十まで彼はとどまる、 十五年、二十一年、三十九年と過ぎて。 最初の時期に彼は病気に罹りやすく、 次は鉄器で生命の危機に陥り、 三十九には火と水に脅かされやすい。 **訳について  2行目は「六百七十まで彼の住居は存在する」とも訳せる。そもそも、前半はどこで区切るかによって、訳し方にかなり幅がある。  3行目はとりあえず年数として訳したが、年齢の可能性もある。  4、5行目は彼(il)が略されていると見たが、そのまま le premier, le second を主語と見るならば、「最初の者は病気に罹りやすく、二番目の者は鉄で生命の危機に陥り」となる。 *信奉者側の見解  [[ノエル=レオン・モルガール]]の用語解説では、フェニックスはモンモランシー公のこととされている。  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]はフェニックスをローマ教皇のことだろうとしたが、残りの部分は不明とした((Garencieres [1672]))。  [[ジャック・ド・ジャン]]はルイ14世と解釈した。  1行目は、フェニックスが非常に長生きするので他の者たちが先立つことを表現しているとした。2行目は Jusques septante six ans est sa demeure (76年まで生きる)と読み替え、ルイ14世が76歳になるまで生きることとし、3行目は人生の重要な三つの時期についてとした。  4行目はその最初の時期、15歳から21歳の間には大病を患ったこととし、次の時期21歳から39歳は度重なる対外戦争で危険を冒していることとし、残りの期間は火と水に気をつけるべきとした(ジャンの解釈の時点ではルイはまだ30歳になるかならないかだった)((Jant [1673] pp.70-74))。  [[1691年ルーアン版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ブゾンニュ、1691年)]]に掲載された「当代の一知識人」の解釈でもこの解釈が踏襲されている。「当代の一知識人」とジャック・ド・ジャンは同一人物とする説もある。  [[ウジェーヌ・バレスト]]は、ルイが30歳の時点で寿命(ルイは1638年生まれで1715年に76歳で歿)を見事に的中させたとして、ジャンの解釈を紹介していた((Bareste p.503))。  [[ロルフ・ボズウェル]](1943年)は1970年までローマ教皇庁が存続することの予言とし、ピウス11世(在位1922年 - 1939年)の即位から15年目の1937年、21年目の1943年、39年目の1961年の出来事が描かれているとした。他方、最後の行の39は、第二次世界大戦が勃発した1939年と関連付ける者もいると指摘した((Boswell [1943] pp.179-180))。  [[オッタービオ・チェーザレ・ラモッティ]]は、1914年に即位したベネディクト14世、1922年に即位したピウス11世、1939年に即位したピウス12世に関わる詩とした((ラモッティ [1999] pp.76-80))。 *同時代的な視点  [[六行詩48番]]でもフェニックスは登場しているが、そこでは未来の名君として描かれているかのように見える。この詩も、偽作された時点で幼かったルイ13世の長生きを祈って偽作されたものだったのではなかろうか。  なお、六行詩集でルイ13世の喩えとされる表現には、「提供する者」という言葉もある。[[六行詩38番]]では、提供する者の生命を危険にさらすものとして、鉄と水と大病が挙げられている。 *その他  1600Au では51番となっている。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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