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[[詩百篇第6巻>百詩篇第6巻]]>74番*
*原文
La&sup(){1} [[deschassee>deschasser]]&sup(){2} au regne tournera,
Ses ennemis trouués&sup(){3} des coniurés:
Plus que iamais son temps triomphera,
Trois & septante&sup(){4} à mort trop asseurés.
**異文
(1) La : Là 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Le, Le 1627Ma 1627Di 1672Ga
(2) deschassee : dechassé 1672Ga
(3) trouués / trouuez : touuez 1590SJ, treuuez 1627Ma 1627Di, ttouuez 1628dR
(4) Trois & septante : Trois septante 1590SJ
*日本語訳
追い払われた女性が王国に戻るだろう。
謀反者たちの中に彼女の敵が見出される。
かつてないほどに彼女の時代は勝ち誇ったものになるだろう。
三と七十が死を強く保証される。
**訳について
1行目について。大乗訳では「追放された人々」とあるが、ロバーツの英訳ではThe expelled であり、「人々」は日本語版での勝手な追加。女性形になっていることから単独の女性と捉えるべき。
2行目について。大乗訳では受動態が無視されているため、おかしな訳になっている。
4行目について大乗訳では「三と七十は死をすばやく指ししめす」とあるが、ロバーツの英訳“Three and seventy appointed by death”と比べても明らかにおかしい。山根訳では(彼女は)「絶対に三と七十で死を迎える」とあるが、asseurésは男性名詞複数形に対応しており、女性名詞単数形に対応していると見ることはできない((以上、引用は大乗訳『ノストラダムス大予言原典・諸世紀』p.193, Roberts [1947/1949] p.203, 山根和郎訳『ノストラダムス全予言』p.232))。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は1行目の原文をLe dechassé(追放された男性)に書きかえることで、清教徒革命で亡命した後、王座に返り咲いたチャールズ2世と解釈した。ガランシエールの時代はちょうどチャールズ2世の治世にあたっていた。
[[アナトール・ル・ペルチエ]]はフランス革命の予言と捉えており、それを引き継いだ[[ヴライク・イオネスク]]は「73」をソ連が「73年」で終わることと解釈した((イオネスク [1991] pp.190, 285))。
[[チャールズ・ウォード]]はエリザベス1世の予言と捉え、彼女が16&u(){03}年に享年70で没したことを見事に予言しているとした((Ward [1891]pp.190-191))。この解釈は[[ジェイムズ・レイヴァー]]や[[エリカ・チータム]]も踏襲した。
**懐疑的な見解
[[ジェイムズ・ランディ]]のように、エリザベス1世を題材にしている可能性を指摘する者は懐疑派にもいる ((ランディ [1999] p.313))。ただし、ランディはエリザベスの即位と詩の出版が同じ年だから事後予言だろうとしているが、書誌的事実に誤認がある。確認されている範囲でのこの詩の初出(1557年9月)は、彼女の即位の前年である。
では的中といえるかというと、そうでもない。ランディや[[エドガー・レオニ]]が指摘するように、エリザベス1世が国外追放になっていたことはないからだ。
また、死期の予言とされるものは不適切な翻訳の産物と見るべきだろう。活用形からして「保証される」のは「三と七十」であり、要するに4行目はクレベールやスモーレーが解釈するように「73人は死を保証される(=処刑される)」ということだろう。
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[[詩百篇第6巻>百詩篇第6巻]]>74番*
*原文
La&sup(){1} [[deschassee>deschasser]]&sup(){2} au regne tournera,
Ses ennemis trouués&sup(){3} des coniurés:
Plus que iamais son temps triomphera,
Trois & septante&sup(){4} à mort trop asseurés.
**異文
(1) La : Là 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1650Le, Le 1627Ma 1627Di 1672Ga
(2) deschassee : dechassé 1672Ga
(3) trouués / trouuez : touuez 1590SJ, treuuez 1627Ma 1627Di, ttouuez 1628dR
(4) Trois & septante : Trois septante 1590SJ
*日本語訳
追い払われた女性が王国に戻るだろう。
謀反者たちの中に彼女の敵が見出される。
かつてないほどに彼女の時代は勝ち誇ったものになるだろう。
三と七十が死を強く保証される。
**訳について
1行目について。大乗訳では「追放された人々」とあるが、ロバーツの英訳ではThe expelled であり、「人々」は日本語版での勝手な追加。女性形になっていることから単独の女性と捉えるべき。
2行目について。大乗訳では受動態が無視されているため、おかしな訳になっている。
4行目について大乗訳では「三と七十は死をすばやく指ししめす」とあるが、ロバーツの英訳“Three and seventy appointed by death”と比べても明らかにおかしい。山根訳では(彼女は)「絶対に三と七十で死を迎える」とあるが、asseurésは男性名詞複数形に対応しており、女性名詞単数形に対応していると見ることはできない((以上、引用は大乗訳『ノストラダムス大予言原典・諸世紀』p.193, Roberts [1947/1949] p.203, 山根和郎訳『ノストラダムス全予言』p.232))。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は1行目の原文をLe dechassé(追放された男性)に書きかえることで、清教徒革命で亡命した後、王座に返り咲いたチャールズ2世と解釈した。ガランシエールの時代はちょうどチャールズ2世の治世にあたっていた。
[[アナトール・ル・ペルチエ]]はフランス革命の予言と捉えており、それを引き継いだ[[ヴライク・イオネスク]]は「73」をソ連が「73年」で終わることと解釈した((イオネスク [1991] pp.190, 285))。
[[チャールズ・ウォード]]はエリザベス1世の予言と捉え、彼女が16&u(){03}年に享年70で没したことを見事に予言しているとした((Ward [1891]pp.190-191))。
この解釈は[[ジェイムズ・レイヴァー]]や[[エリカ・チータム]]も踏襲した。
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&color(gray){【画像】石井美樹子『図説 エリザベス一世』}
**懐疑的な見解
[[ジェイムズ・ランディ]]のように、エリザベス1世を題材にしている可能性を指摘する者は懐疑派にもいる ((ランディ [1999] p.313))。
ただし、ランディはエリザベスの即位と詩の出版が同じ年だから事後予言だろうとしているが、書誌的事実に誤認がある。確認されている範囲でのこの詩の初出(1557年9月)は、彼女の即位の前年である。
では的中といえるかというと、そうでもない。ランディや[[エドガー・レオニ]]が指摘するように、エリザベス1世が国外追放になっていたことはないからだ。
また、死期の予言とされるものは不適切な翻訳の産物と見るべきだろう。活用形からして「保証される」のは「三と七十」であり、要するに4行目はクレベールやスモーレーが解釈するように「73人は死を保証される(=処刑される)」ということだろう。
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