百詩篇第6巻18番

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*原文 Par les phisiques&sup(){1} le grand Roy delaissé, Par [[sort]]&sup(){2} non art. &sup(){3} de&sup(){4} l'Ebrieu est en vie: Luy & son genre&sup(){5} au [[regne]]&sup(){6} hault poulsé&sup(){7}, Grace donnee&sup(){8} à gent qui Christ enuie. **異文 (1) phisiques : Phisiques 1597 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1672 1716 1772Ri 1840 (2) sort : son 1650Ri (3) art. 1557U : art &italic(){T.A.Eds.} (4) de : ne 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668 (5) genre : Genre 1672 (6) au regne : au legne 1653, aulegne 1665, au Regne 1672 (7) poulsé 1557U 1557B 1568A 1588-89 : pousé 1568B 1568C 1568I 1672, poussé &italic(){T.A.Eds.} (8) donnee : donne 1627 1649Ca *日本語訳 医師たちから見放された大王が、 ヘブライの技術ではなく呪術によって生き延びる。 彼とその同類が王国で高位に押し上げられ、 キリストを嫉む民族に恩寵が与えられる。 **訳について  2行目 sort には「運命」「呪術、まじない」の意味とがあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従い、後者を採った。[[ピーター・ラメジャラー]]は前者を採って「ヘブライの技術ではなく幸運によって」と訳している。  大乗訳2行目「ヘブライの術によらず力のかぎり生きつづけ」((大乗 [1975] p.179))は、Par sort が Par fort になっている原文に基づいていることから導かれた意訳。  同4行目「恩恵はうらやむべきキリストの人々に与えられるだろう」は不適切。envier は「羨ましがる」の意味もあるが、その場合にも「キリストをうらやむ人々に」とすべき。  山根訳2行目「運良くユダヤの技ならざるものによっていのちをつなぐ」((山根 [1988] p.215))は、上述の通り、許容されうる訳である。  同4行目「キリストを拒む人種に赦免が下される」も、この場合の envier を「拒否する」の意味に理解する読みは[[ジャン=ポール・クレベール]]らもしているので、許容されるだろう。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ある大王がユダヤ人に助けられたことで、その国でのユダヤ人の地位が回復(reestablish)すると解釈した((Garencieres [1672]))。  [[フランシス・ジロー]]は、1740年にルイ15世が[[メス]]で病に臥せ、医師たちも匙を投げたが、熱心な祈りが通じ、神の恩寵によって快復したことと解釈した。なお、彼の原文では最後が envie (嫉む)ではなく ennuie (悩ませる)になっている((Girault [1839] pp.19-20))。[[ウジェーヌ・バレスト]]もその解釈を踏襲した((Bareste [1840] pp.509-510))。  [[セルジュ・ユタン]]はルイ14世のこととしたが、詳述はしなかった((Hutin [1978]))。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は、ノストラダムス自身のことでないならば、同時代のユダヤ人医師に関する詩だろうとした((Lemesurier [2003b/2010]))。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
*原文 Par les phisiques&sup(){1} le grand Roy delaissé, Par [[sort]]&sup(){2} non art. &sup(){3} de&sup(){4} l'Ebrieu est en vie: Luy & son genre&sup(){5} au [[regne]]&sup(){6} hault poulsé&sup(){7}, Grace donnee&sup(){8} à gent qui Christ enuie. **異文 (1) phisiques : Phisiques 1597 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1672 1716 1772Ri 1840 (2) sort : son 1650Ri (3) art. 1557U : art &italic(){T.A.Eds.} (4) de : ne 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668 (5) genre : Genre 1672 (6) au regne : au legne 1653, aulegne 1665, au Regne 1672 (7) poulsé 1557U 1557B 1568A 1588-89 : pousé 1568B 1568C 1568I 1672, poussé &italic(){T.A.Eds.} (8) donnee : donne 1627 1649Ca *日本語訳 医師たちから見放された大王が、 ヘブライの技術ではなく呪術によって生き延びる。 彼とその同類が王国で高位に押し上げられ、 キリストを嫉む民族に恩寵が与えられる。 **訳について  2行目 sort には「運命」「呪術、まじない」の意味とがあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従い、後者を採った。[[ピーター・ラメジャラー]]は前者を採って「ヘブライの技術ではなく幸運によって」と訳している。  大乗訳2行目「ヘブライの術によらず力のかぎり生きつづけ」((大乗 [1975] p.179))は、Par sort が Par fort になっている原文に基づいていることから導かれた意訳。  同4行目「恩恵はうらやむべきキリストの人々に与えられるだろう」は不適切。envier は「羨ましがる」の意味もあるが、その場合にも「キリストをうらやむ人々に」とすべき。  山根訳2行目「運良くユダヤの技ならざるものによっていのちをつなぐ」((山根 [1988] p.215))は、上述の通り、許容されうる訳である。  同4行目「キリストを拒む人種に赦免が下される」も、この場合の envier を「拒否する」の意味に理解する読みは[[ジャン=ポール・クレベール]]らもしているので、許容されるだろう。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ある大王がユダヤ人に助けられたことで、その国でのユダヤ人の地位が回復(reestablish)すると解釈した((Garencieres [1672]))。  [[フランシス・ジロー]]は、1740年にルイ15世が[[メス]]で病に臥せ、医師たちも匙を投げたが、熱心な祈りが通じ、神の恩寵によって快復したことと解釈した。なお、彼の原文では最後が envie (嫉む)ではなく ennuie (悩ませる)になっている((Girault [1839] pp.19-20))。[[ウジェーヌ・バレスト]]もその解釈を踏襲した((Bareste [1840] pp.509-510))。  [[セルジュ・ユタン]]はルイ14世のこととしたが、詳述はしなかった((Hutin [1978]))。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は、ノストラダムス自身のことでないならば、同時代のユダヤ人医師に関する詩だろうとした((Lemesurier [2003b/2010]))。  なお、ユダヤ人が「キリストを妬む民族」と表現されているのは、[[新約聖書]]「マタイによる福音書」によるものだろう。 -&color(green){ピラトは手の付けようがなく、かえって騒動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った。「この人}〔引用者註:イエス〕&color(green){の血について、私には責任がない。お前たちの問題だ。」}(27章24節) -&color(green){民}〔引用者註:ユダヤ人の群衆〕&color(green){はこぞって答えた。「その血は、我々と我々の子らの上にかかってもいい。」}(同25節。訳文はいずれも聖書協会共同訳による) ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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