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*原文
Par les phisiques&sup(){1} le grand Roy delaissé,
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Luy & son genre&sup(){5} au [[regne]]&sup(){6} hault poulsé&sup(){7},
Grace donnee&sup(){8} à gent qui Christ enuie.
**異文
(1) phisiques : Phisiques 1597 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1672 1716 1772Ri 1840
(2) sort : son 1650Ri
(3) art. 1557U : art &italic(){T.A.Eds.}
(4) de : ne 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668
(5) genre : Genre 1672
(6) au regne : au legne 1653, aulegne 1665, au Regne 1672
(7) poulsé 1557U 1557B 1568A 1588-89 : pousé 1568B 1568C 1568I 1672, poussé &italic(){T.A.Eds.}
(8) donnee : donne 1627 1649Ca
*日本語訳
医師たちから見放された大王が、
ヘブライの技術ではなく呪術によって生き延びる。
彼とその同類が王国で高位に押し上げられ、
キリストを嫉む民族に恩寵が与えられる。
**訳について
2行目 sort には「運命」「呪術、まじない」の意味とがあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従い、後者を採った。[[ピーター・ラメジャラー]]は前者を採って「ヘブライの技術ではなく幸運によって」と訳している。
大乗訳2行目「ヘブライの術によらず力のかぎり生きつづけ」((大乗 [1975] p.179))は、Par sort が Par fort になっている原文に基づいていることから導かれた意訳。
同4行目「恩恵はうらやむべきキリストの人々に与えられるだろう」は不適切。envier は「羨ましがる」の意味もあるが、その場合にも「キリストをうらやむ人々に」とすべき。
山根訳2行目「運良くユダヤの技ならざるものによっていのちをつなぐ」((山根 [1988] p.215))は、上述の通り、許容されうる訳である。
同4行目「キリストを拒む人種に赦免が下される」も、この場合の envier を「拒否する」の意味に理解する読みは[[ジャン=ポール・クレベール]]らもしているので、許容されるだろう。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ある大王がユダヤ人に助けられたことで、その国でのユダヤ人の地位が回復(reestablish)すると解釈した((Garencieres [1672]))。
[[フランシス・ジロー]]は、1740年にルイ15世が[[メス]]で病に臥せ、医師たちも匙を投げたが、熱心な祈りが通じ、神の恩寵によって快復したことと解釈した。なお、彼の原文では最後が envie (嫉む)ではなく ennuie (悩ませる)になっている((Girault [1839] pp.19-20))。[[ウジェーヌ・バレスト]]もその解釈を踏襲した((Bareste [1840] pp.509-510))。
[[セルジュ・ユタン]]はルイ14世のこととしたが、詳述はしなかった((Hutin [1978]))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は、ノストラダムス自身のことでないならば、同時代のユダヤ人医師に関する詩だろうとした((Lemesurier [2003b/2010]))。
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*原文
Par les phisiques&sup(){1} le grand Roy delaissé,
Par [[sort]]&sup(){2} non art. &sup(){3} de&sup(){4} l'Ebrieu est en vie:
Luy & son genre&sup(){5} au [[regne]]&sup(){6} hault poulsé&sup(){7},
Grace donnee&sup(){8} à gent qui Christ enuie.
**異文
(1) phisiques : Phisiques 1597 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1672 1716 1772Ri 1840
(2) sort : son 1650Ri
(3) art. 1557U : art &italic(){T.A.Eds.}
(4) de : ne 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668
(5) genre : Genre 1672
(6) au regne : au legne 1653, aulegne 1665, au Regne 1672
(7) poulsé 1557U 1557B 1568A 1588-89 : pousé 1568B 1568C 1568I 1672, poussé &italic(){T.A.Eds.}
(8) donnee : donne 1627 1649Ca
*日本語訳
医師たちから見放された大王が、
ヘブライの技術ではなく呪術によって生き延びる。
彼とその同類が王国で高位に押し上げられ、
キリストを嫉む民族に恩寵が与えられる。
**訳について
2行目 sort には「運命」「呪術、まじない」の意味とがあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従い、後者を採った。[[ピーター・ラメジャラー]]は前者を採って「ヘブライの技術ではなく幸運によって」と訳している。
大乗訳2行目「ヘブライの術によらず力のかぎり生きつづけ」((大乗 [1975] p.179))は、Par sort が Par fort になっている原文に基づいていることから導かれた意訳。
同4行目「恩恵はうらやむべきキリストの人々に与えられるだろう」は不適切。envier は「羨ましがる」の意味もあるが、その場合にも「キリストをうらやむ人々に」とすべき。
山根訳2行目「運良くユダヤの技ならざるものによっていのちをつなぐ」((山根 [1988] p.215))は、上述の通り、許容されうる訳である。
同4行目「キリストを拒む人種に赦免が下される」も、この場合の envier を「拒否する」の意味に理解する読みは[[ジャン=ポール・クレベール]]らもしているので、許容されるだろう。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ある大王がユダヤ人に助けられたことで、その国でのユダヤ人の地位が回復(reestablish)すると解釈した((Garencieres [1672]))。
[[フランシス・ジロー]]は、1740年にルイ15世が[[メス]]で病に臥せ、医師たちも匙を投げたが、熱心な祈りが通じ、神の恩寵によって快復したことと解釈した。なお、彼の原文では最後が envie (嫉む)ではなく ennuie (悩ませる)になっている((Girault [1839] pp.19-20))。[[ウジェーヌ・バレスト]]もその解釈を踏襲した((Bareste [1840] pp.509-510))。
[[セルジュ・ユタン]]はルイ14世のこととしたが、詳述はしなかった((Hutin [1978]))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は、ノストラダムス自身のことでないならば、同時代のユダヤ人医師に関する詩だろうとした((Lemesurier [2003b/2010]))。
なお、ユダヤ人が「キリストを妬む民族」と表現されているのは、[[新約聖書]]「マタイによる福音書」によるものだろう。
-&color(green){ピラトは手の付けようがなく、かえって騒動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った。「この人}〔引用者註:イエス〕&color(green){の血について、私には責任がない。お前たちの問題だ。」}(27章24節)
-&color(green){民}〔引用者註:ユダヤ人の群衆〕&color(green){はこぞって答えた。「その血は、我々と我々の子らの上にかかってもいい。」}(同25節。訳文はいずれも聖書協会共同訳による)
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