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&bold(){皆神龍太郎}(みなかみ りゅうたろう、1958年- )は、日本のジャーナリスト、疑似科学ウォッチャー。東京工業大学大学院修了(物理学)。特にUFO関連での造詣が深く、その方面での単著や訳書などがある。
[[と学会]]運営委員や、懐疑主義者団体「超常ウォッチャーズ」(JAPAN)代表を務める(後者は皆神の著書の略歴でしばしば名前が登場するが、その名義での著書や公式サイトなどはないようなので、詳細は不明((ウィキペディア日本語版では、[[Kadzuwo>>http://ja.wikipedia.org/wiki/利用者:Kadzuwo]] ([[志水一夫]])がかつて記事を立てたが、[[削除依頼>>http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:削除依頼/超常ウォッチャーズ]]を経て削除された。)))。また、懐疑主義団体ASIOSのメンバーでもある((経歴は皆神の各種著書の略歴欄などを参照した。))。
[[と学会]]名義などでの共著が多数あるほか、単著としては、『ダ・ヴィンチ・コード最終解読』(文芸社、2006年)、『UFO学入門 - 伝説と真相』(楽工社、2008年)、『iPadでつくる「究極の電子書斎」』(講談社、2011年)などがある。
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【画像】ダ・ヴィンチ・コード最終解読
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【画像】UFO学入門 - 伝説と真相
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【画像】iPadでつくる「究極の電子書斎」
*ノストラダムス関連
[[ジェイムズ・ランディ]]著 『ノストラダムスの大誤解』 (太田出版、1999年)の日本語版監修者を務めた。また、ロバート・キャロル 『懐疑論者の事典』 (楽工社、2008年)の日本語版編集委員の一人でもある(同書下巻にはノストラダムスの項目がある)。
『都市伝説完全ファイル』 (ミリオン出版、2010年)のインタビューでノストラダムスについて語ったほか、『トンデモ本の大世界』 (アスペクト、2011年)では、「外れても大人気 !? ノストラダムスの大予言」(pp.108-113)を担当した。
また、『怖い噂vol.11』 (ミリオン出版、2011年)では、「こうして世界はだまされた」の第5回として、「多くの人がトラウマのようにだまされた『ノストラダムスの大予言』」(pp.144-145)を執筆した。なお、『怖い噂』の連載記事は『トンデモ本の大世界』に載った文章の圧縮版というべきもので、段落によってはほぼそのまま転用されているくだりも存在する。
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【画像】トンデモ本の大世界
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【画像】怖い噂 vol.11
**コメント
皆神が2010年頃から複数の媒体で繰り返し主張している骨子、つまり
-日本の[[ノストラダムス現象]]は[[五島勉]]の文章力に負うところが大きい。
-ノストラダムスは1999年に人類が滅亡するとは語っていない。
-予言詩は曖昧で多様な解釈が可能である。
などには、特段おかしなところはない。もっとも、それらは、[[山本弘]]や[[志水一夫]]といった[[と学会]]の他のメンバーからも、つとに紹介されていたことでもある。
ただし、それらの肉付けの中で正確性に疑問のある点がいくつか繰り返し語られているので、以下に予言集理解に関わる点と[[ノストラダムス現象]]理解に関わる点を1点ずつ取り上げて、とりあえずコメントしておく。
-「この序文には『最後の審判は、第七千年期 [原文ママ] の終わりまで到来しない』とも記されている。つまり、ノストラダムスの思い描いていた人類滅亡とは、一九九九年より遥かな未来だったのである。」((『トンデモ本の大世界』p.111。『怖い噂』vol.11, p.145にほぼ同様の文章あり。))
--「この序文」とは[[セザールへの手紙]]のことだが、皆神が引用しているフレーズは、信奉者時代の[[ピーター・ラメジャラー]]の若干不正確な要約の中にしか出てこず((ラメジャラー [1998b] p.85))、原文には存在しない。
--だからこそ、「[[3797年]]」の解釈について、オタワ大学教授の[[ピエール・ブランダムール]]は人類の9000年史を想定したのだし、パリ大学教授の[[ピエール・ベアール]]は8000年史を想定したのである。もし7千年紀の終わりに最後の審判があると明確に書かれているのなら、彼らはそのようには解釈しなかったであろう。
--ちなみに、そのブランダムールらは一致して7千年紀を西暦1年からは数えていない。[[リシャール・ルーサ]]らの年代観が投影されていると考えるブランダムールの解釈では、ノストラダムスが想定していた7千年紀の終わりは西暦1800年頃のことであり((高田・伊藤 [1999] p.36 に分かりやすい年表がある。))、とっくに過ぎている。また、ラメジャラー自身、7千年紀の数え方については既にブランダムールらの見解を踏襲するようになっており((Lemesurier [2003b] pp.23, 366, 383))、「7千年紀の終わり」云々を1999年以後も予言している証拠とする主張は、とうに有効性を失っている。
--誤解のないように付け加えておくが、「[[3797年]]」の方が西暦2242年以降を指すということは実証的な論者の間で異論がないので、ノストラダムスが西暦1999年以降を想定していたらしいこと自体は誤っていない。
-「だから、一九九九年に人類が滅亡するなどと本気で騒いでいたのは、五島氏のノストラ本しか頼るものがなかった日本と、それが訳されていた韓国くらいのものだった。『百詩篇集』の全文に簡単にアクセスできる本国フランスでは、そんなバカ騒ぎはほとんど起きなかった。」((『トンデモ本の大世界』p.111。『怖い噂』vol.11, p.145にほぼ同様の文章あり。))。
--たしかに「1999年に人類が滅びる」という言説だけに絞れば、フランスでは([[パコ・ラバンヌ]]関連を除くと)そういう騒ぎは起こっていない。だが、1980年代初頭には、1983年に第三次世界大戦が起こり、パリが壊滅すると解釈した[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]の『[[歴史家にして予言者ノストラダムス>Nostradamus, Historien et Prophète]]』が異常なブームを巻き起こしたのである(この本には1999年から27年続く人類最終戦争の解釈も載っていた)。[[ジェイムズ・ランディ]]も引用している『パリ・マッチ』誌の世論調査では、フランス人の75%がその本を知っており、25%が信じていたという((ランディ [1999] p.214))。
--皆神の論調では、原文をきちんと見ていればパニックは起こらなかったかのようだが(『怖い噂』の方では「日本のようなバカ騒ぎなど起きようがなかった」とまで断言している)、フォンブリュヌ・ブームの場合、「本国フランス」で、原文には「1983年」などどこにも出てこないにもかかわらず、勝手な解釈がパニックを引き起こし、数十万部のベストセラーとなって諸外国でも次々と翻訳されたのである。こうした騒ぎをバッサリ切り捨てて、「1999年に人類が『滅亡』すると『本気で』信じる騒ぎ」だけに矮小化して、「本国ではバカ騒ぎがなかった」と紹介するのは、読者に対するミスリードになりかねない。
--なお、韓国でのブームは皆神が韓国マスコミからインタビューされた時に聞いた話だというが、どの程度の人数がどの程度「本気」で信じていたのかは、彼の著作からは分からない。また、当「大事典」では他の情報源も確認できていない。
皆神が日本を代表する懐疑派の論客の一人だということは、おそらく衆目の一致するところだろう。そのような影響力のある人物が、ことあるごとに上記のような主張を繰り返すことによって、日本独自の新しい「伝説」が形成されはしないかという点に若干の危惧を表明しておく。
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&bold(){皆神龍太郎}(みなかみ りゅうたろう、1958年- )は、日本のジャーナリスト、疑似科学ウォッチャー。東京工業大学大学院修了(物理学)。特にUFO関連での造詣が深く、その方面での単著や訳書などがある。
[[と学会]]運営委員や、懐疑主義者団体「超常ウォッチャーズ」(JAPAN)代表を務める(後者は皆神の著書の略歴でしばしば名前が登場するが、その名義での著書や公式サイトなどはないようなので、詳細は不明((ウィキペディア日本語版では、[[Kadzuwo>>http://ja.wikipedia.org/wiki/利用者:Kadzuwo]] ([[志水一夫]])がかつて記事を立てたが、[[削除依頼>>http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:削除依頼/超常ウォッチャーズ]]を経て削除された。)))。また、懐疑主義団体ASIOSのメンバーでもある((経歴は皆神の各種著書の略歴欄などを参照した。))。
[[と学会]]名義などでの共著が多数あるほか、単著としては、『ダ・ヴィンチ・コード最終解読』(文芸社、2006年)、『UFO学入門 - 伝説と真相』(楽工社、2008年)、『iPadでつくる「究極の電子書斎」』(講談社、2011年)などがある。
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【画像】UFO学入門 - 伝説と真相
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【画像】iPadでつくる「究極の電子書斎」
*ノストラダムス関連
[[ジェイムズ・ランディ]]著 『ノストラダムスの大誤解』 (太田出版、1999年)の日本語版監修者を務めた。また、ロバート・キャロル 『懐疑論者の事典』 (楽工社、2008年)の日本語版編集委員の一人でもある(同書下巻にはノストラダムスの項目がある)。
『都市伝説完全ファイル』 (ミリオン出版、2010年)のインタビューでノストラダムスについて語ったほか、『トンデモ本の大世界』 (アスペクト、2011年)では、「外れても大人気 !? ノストラダムスの大予言」(pp.108-113)を担当した。
また、『怖い噂vol.11』 (ミリオン出版、2011年)では、「こうして世界はだまされた」の第5回として、「多くの人がトラウマのようにだまされた『ノストラダムスの大予言』」(pp.144-145)を執筆した。なお、『怖い噂』の連載記事は『トンデモ本の大世界』に載った文章の圧縮版というべきもので、段落によってはほぼそのまま転用されているくだりも存在する。
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【画像】怖い噂 vol.11
**コメント
皆神が2010年頃から複数の媒体で繰り返し主張している骨子、つまり
-日本の[[ノストラダムス現象]]は[[五島勉]]の文章力に負うところが大きい。
-ノストラダムスは1999年に人類が滅亡するとは語っていない。
-予言詩は曖昧で多様な解釈が可能である。
などには、特段おかしなところはない。もっとも、それらは、[[山本弘]]や[[志水一夫]]といった[[と学会]]の他のメンバーからも、つとに紹介されていたことでもある。
ただし、それらの肉付けの中で正確性に疑問のある点がいくつか繰り返し語られているので、以下に予言集理解に関わる点と[[ノストラダムス現象]]理解に関わる点を1点ずつ取り上げて、とりあえずコメントしておく。
-「この序文には『最後の審判は、第七千年期 [原文ママ] の終わりまで到来しない』とも記されている。つまり、ノストラダムスの思い描いていた人類滅亡とは、一九九九年より遥かな未来だったのである。」((『トンデモ本の大世界』p.111。『怖い噂』vol.11, p.145にほぼ同様の文章あり。))
--「この序文」とは[[セザールへの手紙]]のことだが、皆神が引用しているフレーズは、信奉者時代の[[ピーター・ラメジャラー]]の若干不正確な要約の中にしか出てこず((ラメジャラー [1998b] p.85))、原文には存在しない。
--だからこそ、「[[3797年]]」の解釈について、オタワ大学教授の[[ピエール・ブランダムール]]は人類の9000年史を想定したのだし、パリ大学教授の[[ピエール・ベアール]]は8000年史を想定したのである。もし7千年紀の終わりに最後の審判があると明確に書かれているのなら、彼らはそのようには解釈しなかったであろう。
--ちなみに、そのブランダムールらは一致して7千年紀を西暦1年からは数えていない。[[リシャール・ルーサ]]らの年代観が投影されていると考えるブランダムールの解釈では、ノストラダムスが想定していた7千年紀の終わりは西暦1800年頃のことであり((高田・伊藤 [1999] p.36 に分かりやすい年表がある。))、とっくに過ぎている。また、ラメジャラー自身、7千年紀の数え方については既にブランダムールらの見解を踏襲するようになっており((Lemesurier [2003b] pp.23, 366, 383))、「7千年紀の終わり」云々を1999年以後も予言している証拠とする主張は、とうに有効性を失っている。
--誤解のないように付け加えておくが、「[[3797年]]」の方が西暦2242年以降を指すということは実証的な論者の間で異論がないので、ノストラダムスが西暦1999年以降を想定していたらしいこと自体は誤っていない。
-「だから、一九九九年に人類が滅亡するなどと本気で騒いでいたのは、五島氏のノストラ本しか頼るものがなかった日本と、それが訳されていた韓国くらいのものだった。『百詩篇集』の全文に簡単にアクセスできる本国フランスでは、そんなバカ騒ぎはほとんど起きなかった。」((『トンデモ本の大世界』p.111。『怖い噂』vol.11, p.145にほぼ同様の文章あり。))。
--たしかに「1999年に人類が滅びる」という言説だけに絞れば、フランスでは([[パコ・ラバンヌ]]関連を除くと)そういう騒ぎは起こっていない。だが、1980年代初頭には、1983年に第三次世界大戦が起こり、パリが壊滅すると解釈した[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]の『[[歴史家にして予言者ノストラダムス>Nostradamus, Historien et Prophète]]』が異常なブームを巻き起こしたのである(この本には1999年から27年続く人類最終戦争の解釈も載っていた)。[[ジェイムズ・ランディ]]も引用している『パリ・マッチ』誌の世論調査では、フランス人の75%がその本を知っており、25%が信じていたという((ランディ [1999] p.214))。
--皆神の論調では、原文をきちんと見ていればパニックは起こらなかったかのようだが(『怖い噂』の方では「日本のようなバカ騒ぎなど起きようがなかった」とまで断言している)、フォンブリュヌ・ブームの場合、「本国フランス」で、原文には「1983年」などどこにも出てこないにもかかわらず、勝手な解釈がパニックを引き起こし、数十万部のベストセラーとなって諸外国でも次々と翻訳されたのである。こうした騒ぎをバッサリ切り捨てて、「1999年に人類が『滅亡』すると『本気で』信じる騒ぎ」だけに矮小化して、「本国ではバカ騒ぎがなかった」と紹介するのは、読者に対するミスリードになりかねない。
--なお、韓国でのブームは皆神が韓国マスコミからインタビューされた時に聞いた話だというが、どの程度の人数がどの程度「本気」で信じていたのかは、彼の著作からは分からない。また、当「大事典」では他の情報源も確認できていない。
皆神が日本を代表する懐疑派の論客の一人だということは、おそらく衆目の一致するところだろう。そのような影響力のある人物が、ことあるごとに上記のような主張を繰り返すことによって、日本独自の新しい「伝説」が形成されはしないかという点に若干の危惧を表明しておく。
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