polemars

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 &bold(){polemars} はいくつかの意味が指摘されている語。  [[詩百篇第2巻48番>百詩篇第2巻48番]]にのみ登場し、古語辞典などにぴったり一致する語は見当たらないものの、文脈からすると「紐」や「綱」の意味に理解するのが最も自然だと思われる。 *「荷造り紐」  [[ピエール・ブランダムール]]は中期フランス語の poulemart と同じと見なし、「荷造り用の紐」と解釈した。  poulemart なら DLFSやDALF にも載っており、「太い糸、細い紐」 (gros fil, petite ficelle)、「武器の一種」 (sorte d' arme) とある((DALF, T.06, p.348))。  [[高田勇]]・[[伊藤進]]、[[ロジェ・プレヴォ]]、[[ピーター・ラメジャラー]]もこの読み方を支持している。  なお、DLFSやDALFでは、poulemartがラブレーの『ガルガンチュア』第2章(有名な謎歌の章)と『パンタグリュエル』(第二之書)第7章(架空書目録を含む章)に登場していることが、紹介されている。  日本語でどう訳されているのか、渡辺一夫訳と宮下志朗訳をそれぞれ掲げておく。 -ガルガンチュア第2章の登場箇所 --また、逞しき&bold(){荷作縄}をばしごき持ちて、/悪弊が庫〔くら〕をば固く警〔いまし〕むるを得む([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第一之書ガルガンチュワ物語』岩波文庫、1973年、p.34)) --誤謬のつまった袋も、&bold(){細ひも}で、/強くしばることができようものを(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『ガルガンチュア』ちくま文庫、2005年、p.44)) -パンタグリュエル第7章の登場箇所 --商人用&b(){荷作紐}([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第二之書パンタグリュエル物語』岩波文庫、1973年、p.60)) --商人の&bold(){細ひも}(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『パンタグリュエル』ちくま文庫、2006年、p.98)) #amazon(4480420568) &color(gray){【画像】宮下志朗訳『パンタグリュエル(ガルガンチュアとパンタグリュエル2)』} *海事用語としての綱・紐  poulemartに似た説ではあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]はプロヴァンス語の poulemar ないし pouloumar で、帆に使う綱(corde)を意味する海事用語とした((Clébert [2003]))。  LTDF にも確かに載っており、「太い紐」(grosse ficelle)、「帆の糸」(Fil de voile)、「マグロ用の網を作るのに使う糸」(fil servant à faire les filets pour le thon)といった語義が載っている((LTDF, 2, p.615))。 #amazon(B09K943WHV) &color(gray){【画像】 WLIKN多目的ロープ} *過去の異説  以前には、語順を入れ替えることで chef (指導者)を形容する語と解釈されていた。 -[[アナトール・ル・ペルチエ]]はギリシア語の polemios に由来する「敵」を意味する語ではないかとした((Le Pelletier [1867b]))。 -[[エドガー・レオニ]]はギリシア語の polemarchos に由来する「軍事指導者」の意味とした((Leoni [1961/1982]))。[[マリニー・ローズ]]はフランス語の polémarque (古代ギリシアの軍司令官((『仏和中辞典』白水社)))としており、実質的に同じである。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
 &bold(){polemars} はいくつかの意味が指摘されている語。  [[詩百篇第2巻48番>百詩篇第2巻48番]]にのみ登場し、古語辞典などにぴったり一致する語は見当たらないものの、文脈からすると「紐」や「綱」の意味に理解するのが最も自然だと思われる。 *「荷造り紐」  [[ピエール・ブランダムール]]は中期フランス語の poulemart と同じと見なし、「荷造り用の紐」と解釈した。  poulemart なら DLFSやDALF にも載っており、「太い糸、細い紐」(gros fil, petite ficelle)、「武器の一種」(sorte d'arme)とある((DALF, T.06, p.348))。  [[高田勇]]・[[伊藤進]]、[[ロジェ・プレヴォ]]、[[ピーター・ラメジャラー]]も荷造り紐とする読み方を支持している。  なお、DLFSやDALFでは、poulemartがラブレーの『ガルガンチュア』第2章(有名な謎歌の章)と『パンタグリュエル』(第二之書)第7章(架空書目録を含む章)に登場していることが、紹介されている。  日本語でどう訳されているのか、渡辺一夫訳と宮下志朗訳をそれぞれ掲げておく。 -ガルガンチュア第2章の登場箇所 --また、逞しき&bold(){荷作縄}をばしごき持ちて、/悪弊が庫〔くら〕をば固く警〔いまし〕むるを得む([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第一之書ガルガンチュワ物語』岩波文庫、1973年、p.34)) --誤謬のつまった袋も、&bold(){細ひも}で、/強くしばることができようものを(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『ガルガンチュア』ちくま文庫、2005年、p.44)) -パンタグリュエル第7章の登場箇所 --商人用&b(){荷作紐}([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第二之書パンタグリュエル物語』岩波文庫、1973年、p.60)) --商人の&bold(){細ひも}(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『パンタグリュエル』ちくま文庫、2006年、p.98)) #amazon(4480420568) &color(gray){【画像】宮下志朗訳『パンタグリュエル(ガルガンチュアとパンタグリュエル2)』} *海事用語としての綱・紐  poulemartに似た説ではあるが、[[ジャン=ポール・クレベール]]はプロヴァンス語の poulemar ないし pouloumar で、帆に使う綱(corde)を意味する海事用語とした((Clébert [2003]))。  LTDF にも確かに載っており、「太い紐」(grosse ficelle)、「帆の糸」(Fil de voile)、「マグロ用の網を作るのに使う糸」(fil servant à faire les filets pour le thon)といった語義が載っている((LTDF, 2, p.615))。 #amazon(B09K943WHV) &color(gray){【画像】 WLIKN多目的ロープ} *過去の異説  以前には、語順を入れ替えることで chef (指導者)を形容する語と解釈されていた。 -[[アナトール・ル・ペルチエ]]はギリシア語の polemios に由来する「敵」を意味する語ではないかとした((Le Pelletier [1867b]))。 -[[エドガー・レオニ]]はギリシア語の polemarchos に由来する「軍事指導者」の意味とした((Leoni [1961/1982]))。[[マリニー・ローズ]]はフランス語の polémarque (古代ギリシアの軍司令官((『仏和中辞典』白水社)))としており、実質的に同じである。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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