世界ミステリー事件ファイル すべては捏造だった!

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 『&bold(){世界ミステリー事件ファイル すべては捏造だった!}』は2011年に宝島社から刊行された「別冊宝島」の1冊で、オカルトや陰謀論などを主に懐疑論的視点から扱った文献である。  2012年に『&bold(){世界ミステリー事件ファイル すべては捏造だった! みんな騙されていた!!}』として、コンビニ本のようなペーパーバックの単行本として再刊された。 #amazon(4796681272) 【画像】2011年版の表紙 *内容  捏造事件、歴史上の怪人物、陰謀論、ニセ科学などを主に懐疑論的視点から扱った著書である。 **ノストラダムス関連  「ノストラダムスの予言集」(pp.42-45。2012年版では pp.82-89) という節で扱われている。ノストラダムス関連については、2012年の再刊でも、基本的に内容上の変更点はない。 #amazon(4796696121) 【画像】2012年版の表紙 *コメント  当「大事典」の性質上、ノストラダムス関連の記事内容のみに絞ってコメントしておく。その結論を先に述べておくと、基本的事実の取り扱いに不適切な点が多く、あまり評価できるレベルの懐疑論とはいえない。  まず、「1999年に世界が終わるというノストラダムス現象は、彼 〔引用者注:[[五島勉]]〕 の著書を読んだ日本限定のものなのだった」というが、事実に反する。1999年を世界終末と位置付ける解釈は、19世紀後半の[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]の著書ですでに登場していた。  また、「世界では、第二次世界大戦を予言したとして大注目を集め、フランスがその影響力の強さを懸念し一時期発禁処分にしたこともあった」というが、明らかに舌足らずである。その頃発禁になったのはマックス・ド・フォンブリュヌとエミール・リュイールの解釈書だけで、ノストラダムスの予言書そのものや関連書全てが発禁になったわけではない。リュイールたちの著書が発禁になったのは、そのなかにドイツの敗北を予言したくだりがあり、ナチスを刺激することを恐れたヴィシー政権が過剰反応したことによる。  この文献では、その話の後に全体の半分ほどが陰謀論的解釈とその延長線上にあったオウム真理教の話に割かれており、ノストラダムスそのものの評論からは話が外れている。しかも、その際にナチスとノストラダムスの関連については[[川尻徹]]の仮説が紹介されたのみで、史実としてのナチスとノストラダムスの関連には全く触れられていない(当然、カール・エルンスト・クラフトらにも全く言及されていない)。  さらに、話を締めくくるものとして[[ノストラダムスの予言絵画]]と[[クロケットの四行詩]]が登場しているが、掘り下げが浅い。予言絵画については、本物であることを当然の前提にしたうえで「現代人は何かと深読みしすぎなのかも」と述べているが、前提が誤っている。懐疑論的にアプローチするならば、[[教皇図>全ての教皇に関する預言]]との比較は必須であり、本物かどうか自体がまず問われなければならないだろう。  クロケットの四行詩にいたっては、その書名を『ノストラダムスの出版されなかった四行詩』とするなど、基本情報から誤っている。ちなみに、その誤った書名は、当「大事典」の[[クロケットの四行詩]]の記事に書いてあったことを読み間違えた結果だろう。実際、そこで引用されているクロケットの詩の訳文は、&u(){当「大事典」で掲載している訳文の無断転載である}(句読点の位置なども含めて完全に一致)。  また、その四行詩を「噂にすらならなかったクロケットの四行詞」として紹介しているが、「新書・ノンフィクション部門」のベストセラーランキングで1990年第6位、1991年第3位の『[[ノストラダムスの大予言・中東編]]』で取り上げられ、『[[ノストラダムスの極秘大予言]]』『[[新発掘 ノストラダムス最後の封印予言]]』などとして日本語訳版が何度も出版され、21世紀のコンビニ本でもたびたび言及されているクロケットの詩が「噂にすらならなかった」というのは、一体どういう基準で述べているのか分からない。日本の場合、むしろ粗悪な偽作に過ぎないクロケットの詩が本物扱いされて、ことあるごとに引き合いに出されるからこそ問題なのである。  また、それを偽作だと紹介しているものの、その根拠は「発見された地下室に改修工事された形跡がないこと」などと的外れなことが書かれているのも問題である(地下室は1909年に埋まったまま開かれていないはずで、「発見された地下室」は意味不明である)。  なお、上記のように、この文献では四行詩のことが一貫して「四行詞」と表記されているが、この書き誤りは2012年版でもそのまま引き継がれた。  初版の内容がほぼそのまま再刊されたが、再刊されるのであれば、根本的なリライトが望まれるところであった。 ---- #comment
 『&bold(){世界ミステリー事件ファイル すべては捏造だった!}』は2011年に宝島社から刊行された「別冊宝島」の1冊で、オカルトや陰謀論などを主に懐疑論的視点から扱った文献である。  2012年に『&bold(){世界ミステリー事件ファイル すべては捏造だった! みんな騙されていた!!}』として、コンビニ本のようなペーパーバックの単行本として再刊された。 #amazon(4796681272) 【画像】2011年版の表紙 *内容  捏造事件、歴史上の怪人物、陰謀論、ニセ科学などを主に懐疑論的視点から扱った著書である。 **ノストラダムス関連  「ノストラダムスの予言集」(pp.42-45。2012年版では pp.82-89) という節で扱われている。ノストラダムス関連については、2012年の再刊でも、基本的に内容上の変更点はない。 #amazon(4796696121) 【画像】2012年版の表紙 *コメント  当「大事典」の性質上、ノストラダムス関連の記事内容のみに絞ってコメントしておく。その結論を先に述べておくと、基本的事実の取り扱いに不適切な点が多く、あまり評価できるレベルの懐疑論とはいえない。  まず、「1999年に世界が終わるというノストラダムス現象は、彼 〔引用者注:[[五島勉]]〕 の著書を読んだ日本限定のものなのだった」というが、事実に反する。1999年を世界終末と位置付ける解釈は、19世紀後半の[[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]の著書ですでに登場していた。  また、「世界では、第二次世界大戦を予言したとして大注目を集め、フランスがその影響力の強さを懸念し一時期発禁処分にしたこともあった」というが、明らかに舌足らずである。その頃発禁になったのはマックス・ド・フォンブリュヌとエミール・リュイールの解釈書だけで、ノストラダムスの予言書そのものや関連書全てが発禁になったわけではない。リュイールたちの著書が発禁になったのは、そのなかにドイツの敗北を予言したくだりがあり、ナチスを刺激することを恐れたヴィシー政権が過剰反応したことによる。  この文献では、その話の後に全体の半分ほどが陰謀論的解釈とその延長線上にあったオウム真理教の話に割かれており、ノストラダムスそのものの評論からは話が外れている。しかも、その際にナチスとノストラダムスの関連については[[川尻徹]]の仮説が紹介されたのみで、史実としてのナチスとノストラダムスの関連には全く触れられていない(当然、カール・エルンスト・クラフトらにも全く言及されていない)。  さらに、話を締めくくるものとして[[ノストラダムスの予言絵画]]と[[クロケットの四行詩]]が登場しているが、掘り下げが浅い。予言絵画については、本物であることを当然の前提にしたうえで「現代人は何かと深読みしすぎなのかも」と述べているが、前提が誤っている。懐疑論的にアプローチするならば、[[教皇図>全ての教皇に関する預言]]との比較は必須であり、本物かどうか自体がまず問われなければならないだろう。  クロケットの四行詩にいたっては、その書名を『ノストラダムスの出版されなかった四行詞』とするなど、基本情報から誤っている。ちなみに、その誤った書名は、当「大事典」の[[クロケットの四行詩]]の記事に書いてあったことを読み間違えた結果だろう。実際、そこで引用されているクロケットの詩の訳文は、&color(red){当「大事典」で掲載している訳文の無断転載である}(句読点の位置なども含めて完全に一致)。  また、その四行詩を「噂にすらならなかったクロケットの四行詞」として紹介しているが、これも疑問である。  というのは、クロケットの四行詩は、「新書・ノンフィクション部門」のベストセラーランキングで1990年第6位、1991年第3位の『[[ノストラダムスの大予言・中東編]]』で取り上げられ、『[[ノストラダムスの極秘大予言]]』『[[新発掘 ノストラダムス最後の封印予言]]』などとして日本語訳版が何度も出版され、21世紀のコンビニ本でもたびたび言及されているからである。  そのクロケットの詩が「噂にすらならなかった」というのは、一体どういう基準で述べているのか分からない。日本の場合、むしろ粗悪な偽作に過ぎないクロケットの詩が本物扱いされて、ことあるごとに引き合いに出されるからこそ問題なのである。  また、それを偽作だと紹介しているものの、その根拠は「発見された地下室に改修工事された形跡がないこと」などと的外れなことが書かれているのも問題である(地下室は1909年に埋まったまま開かれていないはずで、「発見された地下室」は意味不明である)。  なお、上記のように、この文献では四行詩のことが一貫して「四行詞」と表記されているが、この書き誤りは2012年版でもそのまま引き継がれた。  初版の内容がほぼそのまま再刊されたが、再刊されるのであれば、根本的なリライトが望まれるところであった。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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