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[[詩百篇第1巻]]>12番*
*原文
Dans peu dira&sup(){1} faulce&sup(){2} brute, fragile,
De bas&sup(){3} en hault&sup(){4} esleué&sup(){5} promptement&sup(){6}:
Puys en instant&sup(){7} desloyale&sup(){8} & labile&sup(){9}
Qui de Veronne aura gouuernement.
**異文
(1) dira : ira 1672Ga
(2) faulce : fausse 1610Po 1665Ba
(3) De bas : Debat 1606PR 1607PR 1610Po 1627Di 1627Ma 1650Ri 1653AB 1665Ba 1716PR
(4) en haut : enhaut 1650Le 1668A
(5) esleué : esleue 1589PV, éleue 1627Di, essevé 1716PR(a c)
(6) promptement : prompement 1627Di
(7) instant : istant 1568C 1589PV 1590SJ 1591BR 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611A 1627Ma 1649Xa 1649Ca 1650Le 1667Wi 1668 1716PR, estant 1672Ga
(8) desloyale : desloyal 1672Ga
(9) labile : habile 1665Ba
(注記)1597Br は比較できず
*日本語訳
まもなく野蛮で薄弱な偽善者について語られるだろう。
(彼は)低きから高きへ速やかに引き上げられる。
すると途端に不誠実で当てにならない者に。
その者は[[ヴェローナ]]の政権を握るだろう。
**訳について
[[ピエール・ブランダムール]]の釈義どおり、1行目 dira の主語として on が省略されていると見るべき。
既存の訳についてコメントしておく。
[[大乗訳>ノストラダムス大予言原典・諸世紀]]について。
1行目「しばしのあいだ 油断のならない獣が立ちあがり」((大乗 [1975] p.48。以下、この詩の引用は同じページから。))は、dira が ira になっている底本の訳であることを考慮に入れても、省略されている単語がいくつもある。
3行目「忠実さなくも すみやかに」も、en instant の係り方がおかしい上に、labile が訳に反映されていない。
[[山根訳>ノストラダムス全予言 (二見書房)]]について。
1行目「まもなくあてにならない男の話が口にされよう」((山根 [1988] p.42 。以下、この詩の引用は同じページから。))は、大乗訳同様、省略されている語が多い。この人物について1行目で形容されているのは「野蛮な」「偽善者の」「もろい(意志薄弱、誤りに陥りやすい)」の3つである。
同3行目「さっと駆けのぼり 短命の支配者となり 突如としてうつり気な裏切り者になる」は言葉を補いすぎで、いくらなんでも無理がある。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ヴェローナをヴェネツィアが支配していたことから、ヴェネツィア人たちがろくでもない教皇を選出することの予言ではないかとした((Garencieres [1672]))。
その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[ジャック・ド・ジャン]]、[[バルタザール・ギノー]]、[[D.D.]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。
20世紀半ばに解釈した[[ヘンリー・C・ロバーツ]]や[[アンドレ・ラモン]]は、ベニート・ムッソリーニと結び付けていた((Roberts [1949], Lamont [1943] p.239))。[[セルジュ・ユタン]]も疑問符つきでムッソリーニの可能性を示していた((Hutin [1978]))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は1226年から1259年までヴェローナを支配した暴君エッツェリーノ・ダ・ロマーノ (Ezzelino da Romano) がモデルではないかとした。
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#comment
[[詩百篇第1巻]]>12番*
*原文
Dans peu dira&sup(){1} faulce&sup(){2} brute, fragile,
De bas&sup(){3} en hault&sup(){4} esleué&sup(){5} promptement&sup(){6}:
Puys en instant&sup(){7} desloyale&sup(){8} & labile&sup(){9}
Qui de Veronne aura gouuernement.
**異文
(1) dira : ira 1672Ga
(2) faulce : fausse 1610Po 1665Ba
(3) De bas : Debat 1606PR 1607PR 1610Po 1627Di 1627Ma 1650Ri 1653AB 1665Ba 1716PR
(4) en haut : enhaut 1650Le 1668A
(5) esleué : esleue 1589PV, éleue 1627Di, essevé 1716PR(a c)
(6) promptement : prompement 1627Di
(7) instant : istant 1568C 1589PV 1590SJ 1591BR 1605sn 1606PR 1607PR 1610Po 1611A 1627Ma 1649Xa 1649Ca 1650Le 1667Wi 1668 1716PR, estant 1672Ga
(8) desloyale : desloyal 1672Ga
(9) labile : habile 1665Ba
(注記)1597Br は比較できず
*日本語訳
まもなく野蛮で薄弱な偽善者について語られるだろう。
(彼は)低きから高きへ速やかに引き上げられる。
すると途端に不誠実で当てにならない者に。
その者は[[ヴェローナ]]の政権を握るだろう。
**訳について
[[ピエール・ブランダムール]]の釈義どおり、1行目 dira の主語として on が省略されていると見るべき。
既存の訳についてコメントしておく。
[[大乗訳>ノストラダムス大予言原典・諸世紀]]について。
1行目「しばしのあいだ 油断のならない獣が立ちあがり」((大乗 [1975] p.48。以下、この詩の引用は同じページから。))は、dira が ira になっている底本の訳であることを考慮に入れても、省略されている単語がいくつもある。
3行目「忠実さなくも すみやかに」も、en instant の係り方がおかしい上に、labile が訳に反映されていない。
[[山根訳>ノストラダムス全予言 (二見書房)]]について。
1行目「まもなくあてにならない男の話が口にされよう」((山根 [1988] p.42 。以下、この詩の引用は同じページから。))は、大乗訳同様、省略されている語が多い。この人物について1行目で形容されているのは「野蛮な」「偽善者の」「もろい(意志薄弱、誤りに陥りやすい)」の3つである。
同3行目「さっと駆けのぼり 短命の支配者となり 突如としてうつり気な裏切り者になる」は言葉を補いすぎで、いくらなんでも無理がある。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、ヴェローナをヴェネツィアが支配していたことから、ヴェネツィア人たちがろくでもない教皇を選出することの予言ではないかとした((Garencieres [1672]))。
その後、20世紀半ばまでこの詩を解釈した者はいないようである。少なくとも、[[ジャック・ド・ジャン]]、[[バルタザール・ギノー]]、[[D.D.]]、[[テオドール・ブーイ]]、[[フランシス・ジロー]]、[[ウジェーヌ・バレスト]]、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[チャールズ・ウォード]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]の著書には載っていない。
20世紀半ばに解釈した[[ヘンリー・C・ロバーツ]]や[[アンドレ・ラモン]]は、ベニート・ムッソリーニと結び付けていた((Roberts [1949], Lamont [1943] p.239))。[[セルジュ・ユタン]]も疑問符つきでムッソリーニの可能性を示していた((Hutin [1978]))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は1226年から1259年までヴェローナを支配した暴君エッツェリーノ・ダ・ロマーノ (Ezzelino da Romano) がモデルではないかとした。
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