Bragamas

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 &bold(){Bragamas} は[[百詩篇第8巻78番]]に一度だけ登場する語。DALF には、「長剣および短剣」を意味する Braquemart の綴りの揺れとして Bragamas が挙げられている((DALF, T.08, pp.363, 368))。ただし、この読みを採る論者はほとんどおらず、以下のように諸説入り乱れる状態となっている。 -[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、「我々がBragadocio と呼んでいるのと同じもの」としていた((Garencieres [1672]))。Bragadocio は現代語の Braggadocio (尊大すぎるように見える態度((オックスフォード現代英英辞典))) だろう。 -[[アナトール・ル・ペルチエ]]はロマン語で「刀剣使い、剣客」(sabreur, spadassin)としていた((Le Pelletier [1867b]))。 -[[ヘンリー・C・ロバーツ]]は Braggard を意味するとした((Roberts (1947)[1949]))。手許の辞書には該当する語はないが、英語の Braggart (ほら吹き、自慢屋) のことか、後述する中期フランス語の bragard のことだろう。 -[[エドガー・レオニ]]は古フランス語で「刃の広い剣」(broadsword) の意味としつつも、プロヴァンス語の Braimanso からとし、英訳では a soldier of fortune (傭兵、冒険家) を採用した((Leoni [1961]))。 -[[ロジェ・プレヴォ]]は語源的説明を全くつけずに「雄弁家」(beau parleur)、「風の起こし手」(faiseur de vent ; faire du vent で「尊大に振舞う」)と注記している((Prévost [1999] p.79))。中期フランス語の braguer (尊大に振舞う((DMF p.73)))及びその派生形の bragard あたりからの連想であろうか。 -[[ピーター・ラメジャラー]]は疑問符つきで bragueur からとし、glib-talker と英訳していた((Lemesurier [2003b], Lemesurier [2010]))。現代語には bragueur という語はないが、上述の braguer に -eur (~する人)をつけた派生形であろうことは容易に推測できる。 -[[マリニー・ローズ]]は、おそらくイタリアの都市ベルガモの住民を指す語 Bergamasque からだろうとした((Rose [2002c]))。 -[[ジャン=ポール・クレベール]]はプロヴァンス語の braga (がなり立てる、騒ぎ立てる) に軽蔑を意味する接尾辞 -asse が付いた Braganasse であろうとした((Clébert [2003]))。  当「大事典」としては、古語辞典(DALF)に忠実な「長剣ないし短剣」の意味を採用しておきたい。もちろん、そこにプロヴァンス語の braga などとの言葉遊びを織り交ぜている可能性まで否定するものではない。 ---- #comment
 &bold(){Bragamas} は[[詩百篇第8巻78番>百詩篇第8巻78番]]に一度だけ登場する語。  DALF には、「長剣および短剣」を意味する Braquemart の綴りの揺れとして Bragamas が挙げられている((DALF, T.08, pp.363, 368))。  ただし、この読みを採る論者はほとんどおらず、以下のように諸説入り乱れる状態となっている。 -[[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、「我々がBragadocio と呼んでいるのと同じもの」としていた((Garencieres [1672]))。Bragadocio は現代語の Braggadocio (尊大すぎるように見える態度((オックスフォード現代英英辞典))) だろう。 -[[アナトール・ル・ペルチエ]]はロマン語で「刀剣使い、剣客」(sabreur, spadassin)としていた((Le Pelletier [1867b]))。 -[[ヘンリー・C・ロバーツ]]は Braggard を意味するとした((Roberts (1947)[1949]))。手許の辞書には該当する語はないが、英語の Braggart (ほら吹き、自慢屋) のことか、後述する中期フランス語の bragard のことだろう。 -[[エドガー・レオニ]]は古フランス語で「刃の広い剣」(broadsword) の意味としつつも、プロヴァンス語の Braimanso からとし、英訳では a soldier of fortune (傭兵、冒険家) を採用した((Leoni [1961]))。 -[[ロジェ・プレヴォ]]は語源的説明を全くつけずに「雄弁家」(beau parleur)、「風の起こし手」(faiseur de vent ; faire du vent で「尊大に振舞う」)と注記している((Prévost [1999] p.79))。中期フランス語の braguer (尊大に振舞う((DMF p.73)))及びその派生形の bragard あたりからの連想であろうか。 -[[ピーター・ラメジャラー]]は疑問符つきで bragueur からとし、glib-talker と英訳していた((Lemesurier [2003b], Lemesurier [2010]))。現代語には bragueur という語はないが、上述の braguer に -eur (~する人)をつけた派生形であろうことは容易に推測できる。 -[[マリニー・ローズ]]は、おそらくイタリアの都市ベルガモの住民を指す語 Bergamasque からだろうとした((Rose [2002c]))。 -[[ジャン=ポール・クレベール]]はプロヴァンス語の braga (がなり立てる、騒ぎ立てる) に軽蔑を意味する接尾辞 -asse が付いた Braganasse であろうとした((Clébert [2003]))。  当「大事典」としては、古語辞典(DALF)に忠実な「長剣ないし短剣」の意味を採用しておきたい。もちろん、そこにプロヴァンス語の braga などとの言葉遊びを織り交ぜている可能性まで否定するものではない。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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