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1649年に出版された偽1568年版に収録された百詩篇第7巻43番
*原文
Lutece en Mars, Senateurs en credit,
Par vne nuict Gaule sera troublee,
Du grand Croesus&sup(){1} l'Horoscope predit,
Par Saturnus, sa puissance exillee.
**異文
(1) Croesus : Craesus 1672
(注意)原文の底本は1649Xaで、1672との比較しか行っていない。他の主だった版には登場しないためである。
*日本語訳
[[ルテティア]]は[[マルス]]の中にあり、元老たちは信頼されている。
夜にガリアは混乱させられるだろう。
偉大なクロイソスの出生星位図は予言する、
[[サトゥルヌス]]によって、彼の権力は追放されることを。
**訳について
大乗訳1行目「火星のリテス 元老院は名声たかく」((大乗 [1975] p.213))は細かな点で不適切。Lutece を「リテス」と表記しているのは誤り。フランス語読みを使うなら「リュテス」、語源のラテン語式には「ルテティア」である。「ュ」に近い音を持つ発音記号 [ y ] を読み間違えたものか。また、sénateur は元老院(sénat)の議員を指す表現。
*解説
ここでのマルスは戦争の隠喩で、パリが内戦状態にあることを示している。クロイソスは古代リディアの王だが、富豪のたとえとしても用いられる。この場合は、富裕な権力者ジュール・マザランを指す((Benazra [1990] p.209))。要するに、フロンドの乱(1648年-1653年)において有力貴族たちが勢力を伸ばす一方、マザランは失脚するという予言である。しかし、歴史はそのようにはならなかった。
この詩の初出は[[1649年頃に出された偽1568年版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1649年頃の偽版)]]で、その時期にマザランの失脚を願って偽作された詩篇と見なされている。この偽作は少々回りくどいが、かなり見え透いた[[偽の42番>百詩篇第7巻42番bis]]と一緒に登場したため、[[1656年に出された注釈書>Eclaircissement des veritables Quatrains de Maistre Michel Nostradamus]]において、早くも偽作と指摘された((Chomarat [1989] p.63))。
アンリ4世没後のパリと解釈した[[テオフィル・ド・ガランシエール]]や[[ヘンリー・C・ロバーツ]]、ジョン・F・ケネディの父ジョーゼフ・ケネディの予言とした[[川尻徹]]((川尻『滅亡のシナリオ』祥伝社、p.194))、この詩の占星術的意味を評価した[[フェニックス・ノア]]などのように本物と見なして解釈した論者もいないわけではないが、例外的な存在である。
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#comment
1649年に出版された偽1568年版に収録された百詩篇第7巻43番
*原文
Lutece en Mars, Senateurs en credit,
Par vne nuict Gaule sera troublee,
Du grand Croesus&sup(){1} l'Horoscope predit,
Par Saturnus, sa puissance exillee.
**異文
(1) Croesus : Craesus 1672
(注意)原文の底本は1649Xaで、1672との比較しか行っていない。他の主だった版には登場しないためである。
*日本語訳
[[ルテティア]]は[[マルス]]の中にあり、元老たちは信頼されている。
夜にガリアは混乱させられるだろう。
偉大なクロイソスの出生星位図は予言する、
[[サトゥルヌス]]によって、彼の権力は追放されることを。
**訳について
大乗訳1行目「火星のリテス 元老院は名声たかく」((大乗 [1975] p.213))は細かな点で不適切。Lutece を「リテス」と表記しているのは誤り。フランス語読みを使うなら「リュテス」、語源のラテン語式には「ルテティア」である。「ュ」に近い音を持つ発音記号 [ y ] を読み間違えたものか。また、sénateur は元老院(sénat)の議員を指す表現。
*解説
ここでのマルスは戦争の隠喩で、パリが内戦状態にあることを示している。クロイソスは古代リディアの王だが、富豪のたとえとしても用いられる。この場合は、富裕な権力者ジュール・マザランを指す((Benazra [1990] p.209))。要するに、フロンドの乱(1648年-1653年)において有力貴族たちが勢力を伸ばす一方、マザランは失脚するという予言である。しかし、歴史はそのようにはならなかった。
この詩の初出は[[1649年頃に出された偽1568年版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1649年頃の偽版)]]で、その時期にマザランの失脚を願って偽作された詩篇と見なされている。この偽作は少々回りくどいが、かなり見え透いた[[偽の42番>百詩篇第7巻42番bis]]と一緒に登場したため、[[1656年に出された注釈書>Eclaircissement des veritables Quatrains de Maistre Michel Nostradamus]]において、早くも偽作と指摘された((Chomarat [1989] p.63))。
アンリ4世没後のパリと解釈した[[テオフィル・ド・ガランシエール]]や[[ヘンリー・C・ロバーツ]]、ジョン・F・ケネディの父ジョーゼフ・ケネディの予言とした[[川尻徹]]((川尻『滅亡のシナリオ』祥伝社、p.194))、この詩の占星術的意味を評価した[[フェニックス・ノア]]などのように本物と見なして解釈した論者もいないわけではないが、例外的な存在である。
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