Volsques

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(名詞)  &bold(){Volsque(s)} はウォルスキ人(Volsci)を意味するフランス語である。ウォルスキ人(ヴォルサイ人)は、古代イタリアの民族で、ローマの少し南に住んでいた。ティトゥス=リウィウスの『ローマ建国史』にも言及がある。  [[ジャン=ポール・クレベール]]や[[マリニー・ローズ]]は辞書通りに上の意味で捉えているが、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[エドガー・レオニ]]、[[ミシェル・デュフレーヌ]]、[[ピーター・ラメジャラー]]、[[ブリューノ・プテ=ジラール]]らは、よく似た綴りの Volques と理解している((Rose [2002c], Clebert [2003], Le Pelletier [1867b], Leoni [1982], Dufresne [1989], Lemesurier [2003b], Petey-Girard [2003]))。これは Volces と同じ意味で、ウォルカエ人(Volcae)を指す。ウォルカエ人(ウォルカエ・アレコミキ人、ウォルカエ・テクトサゲス人)は、フランス南部のラングドック地方に住んでいたケルト系の民族である。ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』に言及がある。 *登場箇所 -[[百詩篇第6巻98番]] *付記  [[五島勉]]は「このヴォルスク(Volsques)というのは、仏仏辞典ではヴァンダル族のことだという」((五島『ノストラダムスの大予言』p.168))としているが、事実に反する。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]が Vandals という訳語をあてていたことから早合点したものであろう。ウァンダリ人(ヴァンダル族)はゲルマン系の民族で、ウォルカエ人やウォルスキ人とは全く別である。  ロバーツがウァンダリ人とした語学的根拠は全く不明で、単に自分の解釈に合わせるために曲解しただけの可能性もある。もとになっているはずの[[テオフィル・ド・ガランシエール]]の解釈では、Volsi という綴りとともにローマ近くに住んでいた好戦的な民族と紹介されており、明らかにウォルスキ人が想定されている((Garencieres [1672]))。 ---- #comment
 &bold(){Volsques} はウォルスキ人(Volsci)を意味するフランス語である((『ロベール仏和大辞典』))。  ウォルスキ人(ヴォルサイ人)は、古代イタリアの民族で、[[ローマ]]の少し南に住んでいた。  ティトゥス=リウィウス(リーウィウス)の『ローマ建国史』にも言及がある。 #amazon(4003349016) 【画像】リーウィウス『ローマ建国史・上』 *異説  [[ジャン=ポール・クレベール]]や[[マリニー・ローズ]]は辞書通りに上の意味で捉えているが、[[アナトール・ル・ペルチエ]]、[[エドガー・レオニ]]、[[ミシェル・デュフレーヌ]]、[[ピーター・ラメジャラー]]、[[ブリューノ・プテ=ジラール]]らは、よく似た綴りの Volques と理解している((Rose [2002c], Clebert [2003], Le Pelletier [1867b], Leoni [1982], Dufresne [1989], Lemesurier [2003b], Petey-Girard [2003]))。  これは Volces と同じ意味で、ウォルカエ人(Volcae)を指す。  ウォルカエ人(ウォルカエ・アレコミキ人/ウォルカエ・テクトサゲス人)は、フランス南部のラングドック地方に住んでいたケルト系の民族である。  ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』に言及がある。 #amazon(4061591274) 【画像】カエサル『ガリア戦記』 *登場箇所 -[[詩百篇第6巻98番>百詩篇第6巻98番]] *付記  [[五島勉]]は「&color(green){このヴォルスク(Volsques)というのは、仏仏辞典ではヴァンダル族のことだという}」((五島『ノストラダムスの大予言』p.168))としているが、事実に反する。  当「大事典」で参照している仏仏辞典のうち、30万語以上をカバーするプチ・ロベール(2016年版)には掲載されていないが、プチ・ラルース(2015年版)には掲載されている。  しかし、その語義は&color(red){明らかにウォルスキ人を指している}。 #amazon(2035938619) 【画像】プチ・ラルース(画像は2021年版)  五島のいうヴァンダル云々は、[[ヘンリー・C・ロバーツ]]が Vandals という訳語をあてていたことから創作したものであろう。  だが、ウァンダリ人(ヴァンダル族)はゲルマン系の民族で、ウォルカエ人やウォルスキ人とは全く別である。  ロバーツの参照元のはずの[[テオフィル・ド・ガランシエール]]の解釈では、Volsi という綴りとともにローマ近くに住んでいた好戦的な民族と紹介されており、明らかに&color(red){ウォルスキ人が想定されている}((Garencieres [1672]))。  それに対し、&color(red){ロバーツがウァンダリ人とした語学的根拠は全く不明}で、単に自分の解釈に合わせるために曲解しただけの可能性もある。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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