百詩篇第4巻92番

「百詩篇第4巻92番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

百詩篇第4巻92番」(2009/09/20 (日) 12:16:51) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*原文 Teste tranchee&sup(){1} du vaillant capitaine&sup(){2}, Sera&sup(){3} gettee&sup(){4} deuant son aduersaire: Son corps pendu de la&sup(){5} [[classe]]&sup(){6} à l'[[antenne]]&sup(){7}, Confus&sup(){8} fuira par rames&sup(){9} à vent&sup(){10} contraire. **異文 (1) tranchee ou tranchée : trenchée 1605 1649Xa 1668A (2) capitaine : Capitaine 1649Ca 1650Le 1660 1668 1672 (3) Sera : Seza 1610 (4) gettee : getté 1557B, gettée 1590Ro 1628 1772Ri, ietté 1588-89 1589PV 1649Ca 1650Le 1653 1665 1668 1840, iettee 1597 1600 1610 1611B 1627 1650Ri 1660, iettée 1644 1667 1672 1716, gette 1665 (5) la : sa 1557B 1568A 1568B 1568I 1588-89 1589PV 1590Ro 1649Ca 1668, sà 1650Le (6) classe : Classe 1672 (7) antenne : ancienne 1600 1610 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1840, Antenne 1672, antemne 1588-89, entenne 1660 (8) Confus : Con fus 1610 (9) rames : rame 1627 1644 1650Le 1650Ri 1653 1665 1668 1840 (10) à vent : a vent 1589PV, avent 1672 *日本語訳 勇敢な艦長の斬り落とされた首級は、 彼の敵の前に投げ棄てられるだろう。 彼の体は艦船の帆桁に吊るされる。 混乱した者は逆風に向かって櫂で漕いで逃れるだろう。 **訳について  山根訳は概ね問題ないが、4行目前半「周章狼狽 彼は櫂を使い」((山根 [1988] p.173))は、あたかも前の行までの「彼」と同一であるかのように読めてしまう点で、少々不適切ではないか(なお、山根訳はチータムの訳を忠実に訳しており、転訳としては誤訳ではない)。  大乗訳1行目「頭は剛勇な大将に切り落とされ」((大乗 [1975] p.146. 以下この詩の引用は同じページから))は、そう訳せないわけではないが、不適切ではないだろうか。 *信奉者側の見解  [[五島勉]]は「強い中枢を持ち、細かく分けられる頭脳/櫂のようなアンテナによって保たれる」とかなり強引に訳した上で、これを現代のテクノロジーに関する予言と解釈した((五島『ノストラダムスの大予言V』p.26))。詩の内容それ自体よりも「アンテヌ」(アンテナ)という単語の使用を強調し、ラジオなどと関連付ける解釈は、[[ヘンリー・C・ロバーツ]]や[[エリカ・チータム]]にも見られる ((Roberts [1949], Cheetham [1990]))。  [[セルジュ・ユタン]]は「ある大将軍の悲劇的な運命か」((Hutin [1978] p.161 / Hutin [2002]))というかなり漠然とした解釈しか付けていない。 *同時代的な視点  海戦で敗れた側の指導者の首が斬られ、頭も胴体も手酷い扱いを受けるという意味で、詩の情景はかなり分かり易い一方、特定性が高いとはいえないものである。ただ、[[エドガー・レオニ]]や[[ジャン=ポール・クレベール]]のように、百詩篇第4巻83番に登場する「勇敢な艦長」と関連付ける者はいる((Leoni [1982], Clebert [2003]))。  信奉者は [[antenne]] という語をしばしば強調するが、当時は帆桁の意味で普通に使われていた。実際、[[ピエール・ブランダムール]]は、ジャン・ドータン(Jean d'Autun)の『ルイ12世年代記』から、ガレー船の帆桁(l'entenne)に吊るされた人物の記述を引用している((Brind'Amour [1996] p.197))。 ---- #comment
*原文 Teste tranchee&sup(){1} du vaillant capitaine&sup(){2}, Sera&sup(){3} gettee&sup(){4} deuant son aduersaire: Son corps pendu de la&sup(){5} [[classe]]&sup(){6} à l'[[antenne]]&sup(){7}, Confus&sup(){8} fuira par rames&sup(){9} à vent&sup(){10} contraire. **異文 (1) tranchee ou tranchée : trenchée 1605 1649Xa 1668A (2) capitaine : Capitaine 1649Ca 1650Le 1660 1668 1672 (3) Sera : Seza 1610 (4) gettee : getté 1557B, gettée 1590Ro 1628 1772Ri, ietté 1588-89 1589PV 1649Ca 1650Le 1653 1665 1668 1840, iettee 1597 1600 1610 1611B 1627 1650Ri 1660, iettée 1644 1667 1672 1716, gette 1665 (5) la : sa 1557B 1568A 1568B 1568I 1588-89 1589PV 1590Ro 1649Ca 1668, sà 1650Le (6) classe : Classe 1672 (7) antenne : ancienne 1600 1610 1627 1644 1650Ri 1653 1665 1716 1840, Antenne 1672, antemne 1588-89, entenne 1660 (8) Confus : Con fus 1610 (9) rames : rame 1627 1644 1650Le 1650Ri 1653 1665 1668 1840 (10) à vent : a vent 1589PV, avent 1672 *日本語訳 勇敢な艦長の斬り落とされた首級は、 彼の敵の前に投げ棄てられるだろう。 彼の体は艦船の帆桁に吊るされる。 混乱した者は逆風に向かって櫂で漕いで逃れるだろう。 **訳について  山根訳は概ね問題ないが、4行目前半「周章狼狽 彼は櫂を使い」((山根 [1988] p.173))は、あたかも前の行までの「彼」と同一であるかのように読めてしまう点で、少々不適切ではないか(なお、山根訳はチータムの訳を忠実に訳しており、転訳としては誤訳ではない)。  大乗訳1行目「頭は剛勇な大将に切り落とされ」((大乗 [1975] p.146. 以下この詩の引用は同じページから))は、そう訳せないわけではないが、不適切ではないだろうか。 *信奉者側の見解  [[五島勉]]は「強い中枢を持ち、細かく分けられる頭脳/櫂のようなアンテナによって保たれる」とかなり強引に訳した上で、これを現代のテクノロジーに関する予言と解釈した((五島『ノストラダムスの大予言V』p.26))。詩の内容それ自体よりも「アンテヌ」(アンテナ)という単語の使用を強調し、ラジオなどと関連付ける解釈は、[[ヘンリー・C・ロバーツ]]や[[エリカ・チータム]]にも見られる ((Roberts [1949], Cheetham [1990]))。  [[セルジュ・ユタン]]は「ある大将軍の悲劇的な運命か」((Hutin [1978] p.161 / Hutin [2002]))というかなり漠然とした解釈しか付けていない。 *同時代的な視点  海戦で敗れた側の指導者の首が斬られ、頭も胴体も手酷い扱いを受けるという意味で、詩の情景はかなり分かり易い一方、特定性が高いとはいえないものである。ただ、[[エドガー・レオニ]]や[[ジャン=ポール・クレベール]]のように、百詩篇第4巻83番に登場する「勇敢な艦長」と関連付ける者はいる((Leoni [1982], Clebert [2003]))。  信奉者は [[antenne]] という語をしばしば強調するが、当時は帆桁の意味で普通に使われていた。実際、[[ピエール・ブランダムール]]は、ジャン・ドータン(Jean d'Autun)の『ルイ12世年代記』から、ガレー船の帆桁(l'entenne)に吊るされた人物の記述を引用している((Brind'Amour [1996] p.197))。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: