The Complete Prophecies of Nostradamus (Roberts, 1947)

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 &bold(){ノストラダムス全予言}(The Complete Prophecies of Nostradamus)は、アメリカの出版業者[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の著書。英語圏で出版されたものとしては、史上2種類目の英仏対訳版『予言集』である。1947年初版、1949年第二版。その後も、1962年に第三版、以降それが増刷され、1964年、1966年、1968年、1969年と何度も増刷されるロングセラーとなった。  1982年には娘[[リー・ロバーツ・アムスターダム]]とその夫[[ハーヴェイ・アムスターダム]]による改訂版が出され、1994年には孫の[[ロバート・ローレンス]]がさらなる改訂を行った。 #amazon(0722534671) 【画像】のちの改訂版の一つ *構成  ノストラダムス『予言集』の、フランス語原文に英語対訳と簡潔な解説が添えられている。ただし、底本になったのが[[テオフィル・ド・ガランシエール]]による英仏対訳本(1672年)だったせいもあってか、[[セザールへの手紙]]と[[アンリ2世への手紙]]は英訳しか収録されていない。  百詩篇は補遺篇も含めてほとんどが収録されているが、一般的な[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]と[[同44番>百詩篇第7巻44番]]は収録されていない。その代わり、底本の関係もあり、反マザランの偽の詩([[第7巻42番>百詩篇第7巻42番bis]]、[[同43番>百詩篇第7巻43番]])は含まれている。 *評価  もとのガランシエールの版自体に変則的な異文が多い上、あまり評価の高くないガランシエールの英訳をロバーツが自己流に改変しているため、原文・訳文とも高く評価できるようなものではまったくない。原文から綴り字記号を全て取り除いていることや、いくつかの状況証拠(([[百詩篇第2巻54番]]、[[百詩篇第4巻67番]]、[[百詩篇第12巻4番]]、[[百詩篇第12巻65番]]などの各「訳について」参照))から推して、ロバーツ自身はほとんどフランス語を読めなかった可能性すら想定できる。  実際、懐疑的な論者や実証的な論者からの評価が低いのはもちろんだが、信奉者にも酷評する者がいる有様である。  その例として信奉者の[[ジョン・ホーグ]]を挙げることができる。彼はいくつかの関連書を5段階評価した際に、この本に「1」をつけている。この評価では、[[エリカ・チータム]]の対訳本が「3」、ホーグを酷評した[[ジェイムズ・ランディ]]の『ノストラダムスの仮面』ですら「2」となっていることを考えると、ロバーツの評価の低さがよく分かる((Hogue [1997/1999]))。  しかし、このような文献でも、日本では過大な評価が与えられてきた。  おそらく最初に紹介したのは[[黒沼健]]であったろうが、広く知られるきっかけとなったのは[[五島勉]]『[[ノストラダムスの大予言]]』(1973年)であったと考えられる。そこではロバーツの本が重要なタネ本のひとつとして機能しており、カバーの写真なども掲載されていた。  2年後の1975年には[[大乗和子]]による日本語訳版『[[ノストラダムス大予言原典・諸世紀]]』が出版された。この翻訳はかなり問題のあるものであったが、日本では[[川尻徹]]らから重視され、一部の懐疑派も用いるなど、スタンダードな訳文として広く用いられてきた。  原書の方を評価する者たちもいて、[[秋津邦彦]]『[[ノストラダムス今世紀最後の大予言]]』(大陸書房、1991年)、[[景山民夫]]『[[預言学入門]]』(1992年)などでは、ロバーツの原書が推奨されていた。 ---- #comment
 &bold(){ノストラダムス全予言}(The Complete Prophecies of Nostradamus)は、アメリカの出版業者[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の著書。英語圏で出版されたものとしては、史上2種類目の英仏対訳版『予言集』である。1947年初版、1949年第二版。その後も、1962年に第三版、以降それが増刷され、1964年、1966年、1968年、1969年と何度も増刷されるロングセラーとなった。  1982年には娘[[リー・ロバーツ・アムスターダム]]とその夫[[ハーヴェイ・アムスターダム]]による改訂版が出され、1994年には孫の[[ロバート・ローレンス]]がさらなる改訂を行った。 #amazon(0722534671) 【画像】のちの改訂版の一つ *構成  ノストラダムス『予言集』の、フランス語原文に英語対訳と簡潔な解説が添えられている。ただし、底本になったのが[[テオフィル・ド・ガランシエール]]による英仏対訳本(1672年)だったせいもあってか、[[セザールへの手紙]]と[[アンリ2世への手紙]]は英訳しか収録されていない。  百詩篇は補遺篇も含めてほとんどが収録されているが、一般的な[[第7巻43番>百詩篇第7巻43番ter]]と[[同44番>百詩篇第7巻44番]]は収録されていない。その代わり、底本の関係もあり、反マザランの偽の詩([[第7巻42番>百詩篇第7巻42番bis]]、[[同43番>百詩篇第7巻43番]])は含まれている。 *評価  もとのガランシエールの版自体に変則的な異文が多い上、あまり評価の高くないガランシエールの英訳をロバーツが自己流に改変しているため、原文・訳文とも高く評価できるようなものではまったくない。原文から綴り字記号を全て取り除いていることや、いくつかの状況証拠(([[百詩篇第2巻54番]]、[[百詩篇第4巻67番]]、[[百詩篇第12巻4番]]、[[百詩篇第12巻65番]]などの各「訳について」参照))から推して、ロバーツ自身はほとんどフランス語を読めなかった可能性すら想定できる。  実際、懐疑的な論者や実証的な論者からの評価が低いのはもちろんだが、信奉者にも酷評する者がいる有様である。  その例として信奉者の[[ジョン・ホーグ]]を挙げることができる。彼はいくつかの関連書を5段階評価した際に、この本に「1」をつけている。この評価では、[[エリカ・チータム]]の対訳本が「3」、ホーグを酷評した[[ジェイムズ・ランディ]]の『ノストラダムスの仮面』ですら「2」となっていることを考えると、ロバーツの評価の低さがよく分かる((Hogue [1997/1999]))。  しかし、このような文献でも、日本では過大な評価が与えられてきた。  おそらく最初に紹介したのは[[黒沼健]]であったろうが、広く知られるきっかけとなったのは[[五島勉]]『[[ノストラダムスの大予言]]』(1973年)であったと考えられる。そこではロバーツの本が重要なタネ本のひとつとして機能しており、カバーの写真なども掲載されていた。  2年後の1975年には[[大乗和子]]による日本語訳版『[[ノストラダムス大予言原典・諸世紀]]』が出版された。この翻訳はかなり問題のあるものであったが、日本では[[川尻徹]]らから重視され、一部の懐疑派も用いるなど、スタンダードな訳文として広く用いられてきた。  原書の方を評価する者たちもいて、[[秋津邦彦]]『[[ノストラダムス今世紀最後の大予言]]』(大陸書房、1991年)、[[景山民夫]]『[[預言学入門]]』(1992年)などでは、ロバーツの原書が推奨されていた。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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