予兆詩第10番

「予兆詩第10番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

予兆詩第10番」(2009/09/21 (月) 11:41:01) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*予兆詩第10番(旧11番) 1555年9月について **原文 Pleurer&sup(){1} le ciel&sup(){2}, a il cela fait faire?&sup(){3} La mer s'apreste, Annibal fait ses ruses. [[Denys]] mouillé&sup(){4}, classe tarde, ne taire. N'a sceu secret, & à quoy tu t'amuses?&sup(){5} **異文 (1) Pleurer : Plorer 1555Br (2) ciel : Ciel 1649Xa 1650Le 1668 (3) faire? : faire, 1555Br 1605 1649Xa (4) mouillé : mouille 1605 1628 1649Xa 1650Le 1668 (5) t'amuses? : t'amuses. 1555Br 1605 1649Xa **英訳版原文 The heauen to vvepe he hath made, The sea maketh her redy Annibal doth his toyes, Dennys vvet ruell taried not to hold his peace, Hath not knovven the secret and to vvhat thou dost bestovv. (注記)この原文は英訳版『1562年向けの占筮』における英訳である。非正規版での訳ということもあり訳の信頼性は疑問だが、同時代に出された資料的価値を考慮し、掲載しておく。 **日本語訳 天は涙する、それをなさしめたのか、と。 海は準備し、[[ハンニバル]]は計略を実行する。 デニスは水浸しになる。艦隊は遅れ、鎮まらない。 彼は秘密を知らなかった。汝はそれを喜ぶのか。 **信奉者側の見解 [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1行目を1555年冬にしばしば見られたセーヌ川の氾濫と結び付けている((Chavigny [1594] p.44))。ハンニバル以降については、シャティヨン提督(L’Admiral Chastillon, ガスパール・ド・コリニーのこと)が1560年に計略をめぐらし、他の者たちとともにアンボワーズの陰謀を企んだこととしている((Chavigny [1594] p.68))。 [[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]は、Denys を自らが主任司祭を務めていたサン=ドニ=デュ=パン(Saint-Denis-du-Pins)と解釈し、この村には自分が積み上げてきた解釈原稿のインクが溢れかえっている様を予言したと解釈したらしい((Chevignard [1999]))。 ほかに、天が涙する事態を、1870年に手痛い敗戦を喫したセダンの戦いと解釈した[[エリゼ・デュ・ヴィニョワ]]、ハンニバルが登場していることから百詩篇第2巻30番と関連付け、未来の北アフリカでのテロリストの潜水艦攻撃と解釈した[[ジョン・ホーグ]]などがいる((Chevignard [1999], Hogue [1997/1999]))。 **同時代的な視点 デニスがディオニュソスのことなら、[[マリニー・ローズ]]が指摘するように、「デニスは水浸しに」というのは、収穫期のブドウが雨で台無しになることを示しているのだろう((Rose [2002c]))。これは9月向けの予言としては自然なものである。 この予言では、その雨が、何か地上での不穏な動きに対する涙雨であるかのように描写されているかのようにも読める。その地上での陰謀としてどのような事態を想定していたのかは今ひとつはっきりしない。 ---- #comment
予兆詩第10番(旧11番) 1555年9月について *原文 Pleurer&sup(){1} le ciel&sup(){2}, a il cela fait faire?&sup(){3} La mer s'apreste, Annibal fait ses ruses. [[Denys]] mouillé&sup(){4}, classe tarde, ne taire. N'a sceu secret, & à quoy tu t'amuses?&sup(){5} **異文 (1) Pleurer : Plorer 1555Br (2) ciel : Ciel 1649Xa 1650Le 1668 (3) faire? : faire, 1555Br 1605 1649Xa (4) mouillé : mouille 1605 1628 1649Xa 1650Le 1668 (5) t'amuses? : t'amuses. 1555Br 1605 1649Xa **英訳版原文 The heauen to vvepe he hath made, The sea maketh her redy Annibal doth his toyes, Dennys vvet ruell taried not to hold his peace, Hath not knovven the secret and to vvhat thou dost bestovv. (注記)この原文は英訳版『1562年向けの占筮』における英訳である。非正規版での訳ということもあり訳の信頼性は疑問だが、同時代に出された資料的価値を考慮し、掲載しておく。 *日本語訳 天は涙する、それをなさしめたのか、と。 海は準備し、[[ハンニバル]]は計略を実行する。 デニスは水浸しになる。艦隊は遅れ、鎮まらない。 彼は秘密を知らなかった。汝はそれを喜ぶのか。 *信奉者側の見解  [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1行目を1555年冬にしばしば見られたセーヌ川の氾濫と結び付けている((Chavigny [1594] p.44))。ハンニバル以降については、シャティヨン提督(L'Admiral Chastillon, ガスパール・ド・コリニーのこと)が1560年に計略をめぐらし、他の者たちとともにアンボワーズの陰謀を企んだこととしている((Chavigny [1594] p.68))。  [[アンリ・トルネ=シャヴィニー]]は、Denys を自らが主任司祭を務めていたサン=ドニ=デュ=パン(Saint-Denis-du-Pins)と解釈し、そこには自分が積み上げてきた解釈原稿のインクが溢れかえっている様を予言したと解釈したらしい((Chevignard [1999]))。  ほかに、天が涙する事態を、1870年に手痛い敗戦を喫したセダンの戦いと解釈した[[エリゼ・デュ・ヴィニョワ]]、ハンニバルが登場していることから[[百詩篇第2巻30番]]と関連付け、未来の北アフリカでのテロリストの潜水艦攻撃と解釈した[[ジョン・ホーグ]]などがいる((Chevignard [1999], Hogue [1997/1999]))。 **同時代的な視点  デニスがディオニュソスのことなら、[[マリニー・ローズ]]が指摘するように、「デニスは水浸しに」というのは、収穫期のブドウが雨で台無しになることを示しているのだろう((Rose [2002c]))。これは9月向けの予言としては自然なものである。  この予言では、その雨が、何か地上での不穏な動きに対する涙雨であるかのように描写されているかのようにも読める。その地上での陰謀としてどのような事態を想定していたのかは今ひとつはっきりしない。 ---- #comment

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: