RAYPOZ

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 &bold(){RAYPOZ} は[[百詩篇第9巻44番]]に登場する単語で、標準的なフランス語読みならば「レポ」または「レポズ」である。[[アナグラム]]として理解する論者が多い。 *有力な説  Le contre RAYPOZ (RAYPOZの反対) は、綴りをほぼ逆にひっくり返した人名であるゾピュラ(Zopyra)を指していると考えられる((Leoni [1982] p.725, Lemesurier [2003b] p.317))。確認できる範囲では、[[マックス・ド・フォンブリュヌ]]の著書(改訂第4版、1939年)がこの解釈を提示した最古の例のようである。もっとも、フォンブリュヌ自身は後に [[RAPAX]]と同じとする解釈に変更してしまっている((Fontbrune [1939] p.144, Fontbrune [1975] p.185))。  この解釈は、[[シャルル・レノー=プランス]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[アンドレ・ラモン]]、[[エドガー・レオニ]]らが引き継いだため、海外では信奉者、懐疑派を問わず広く見られた。中には、[[M.-P.エドゥアール]]のように、原文そのものを Zopyra にしてしまう行き過ぎた例も見られた。  現代の信頼できる論者では[[ピーター・ラメジャラー]]、[[リチャード・シーバース]]がこの見解を採っている。  なお、Zopyra をそのまま逆さまにすると arypoz となる。なぜそうしなかったのかについて考察している論者は見当たらないが、真っ先に思い浮かぶのは韻律上の要請だろう。現在、Le contre RAYPOZ で前半律 (行の最初の4音節) を構成している。それに対し、レポ (RAYPOZ) をアリポ (arypoz) にしてしまうと、1音節増えてしまい、まとまりが悪くなってしまう。そうした詩としての構成に配慮した結果、完全な逆さ綴りにしなかったのではないかと考えられるのである。 *他の解釈例  ほかの解釈例には以下のものがある。  [[アナトール・ル・ペルチエ]]は、メタプラスム(語形変化)によってoを除去してパリ(Paris)のアナグラムとしていた((Le Pelletier [1867b]))。[[ミシェル・デュフレーヌ]]の辞書もその説を採っている((Dufresne [1989]))。  [[マリニー・ローズ]]は、スペインのコンキスタドールであるピサロ(Pisaro)、ハンガリーの貴族ザポリ(Zapoli)などのほか、サヴォワのラテン語形がSapaudiaなどであるため、それと関係がある可能性などを挙げていた((Rose [2002c] p.574))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、Payz or (黄金の国) のアナグラムの可能性を示していた((Clebert [2003]))。  [[ヘンリー・C・ロバーツ]]は、Ray. + pos. と捉えたらしく、positive ray と英訳していた((Roberts [1949]))。海外ではほとんど相手にされていなかった読み方なのだが、日本では[[五島勉]]がこれを採ったため、これに追随する論者がしばしば見られた。 ---- #comment
 &bold(){RAYPOZ} は[[詩百篇第9巻44番]]に登場する単語で、標準的なフランス語読みならば「レポ」または「レポズ」である。[[アナグラム]]として理解する論者が多い。 *有力な説  Le contre RAYPOZ (RAYPOZの反対) は、綴りをほぼ逆にひっくり返した人名であるゾピュラ(Zopyra)を指していると考えられる((Leoni [1982] p.725, Lemesurier [2003b] p.317))。確認できる範囲では、[[マックス・ド・フォンブリュヌ]]の著書(改訂第4版、1939年)がこの解釈を提示した最古の例のようである。もっとも、フォンブリュヌ自身は後に [[RAPAX]]と同じとする解釈に変更してしまっている((Fontbrune [1939] p.144, Fontbrune [1975] p.185))。  この解釈は、[[シャルル・レノー=プランス]]、[[ロルフ・ボズウェル]]、[[アンドレ・ラモン]]、[[エドガー・レオニ]]らが引き継いだため、海外では信奉者、懐疑派を問わず広く見られた。中には、[[M.-P.エドゥアール]]のように、原文そのものを Zopyra にしてしまう行き過ぎた例も見られた。  現代の信頼できる論者では[[ピーター・ラメジャラー]]、[[リチャード・シーバース]]がこの見解を採っている。  なお、Zopyra をそのまま逆さまにすると arypoz となる。なぜそうしなかったのかについて考察している論者は見当たらないが、真っ先に思い浮かぶのは韻律上の要請だろう。現在、Le contre RAYPOZ で前半律 (行の最初の4音節) を構成している。それに対し、レポ (RAYPOZ) をアリポ (arypoz) にしてしまうと、1音節増えてしまい、まとまりが悪くなってしまう。そうした詩としての構成に配慮した結果、完全な逆さ綴りにしなかったのではないかと考えられるのである。 *他の解釈例  ほかの解釈例には以下のものがある。  [[アナトール・ル・ペルチエ]]は、メタプラスム(語形変化)によってoを除去してパリ(Paris)のアナグラムとしていた((Le Pelletier [1867b]))。[[ミシェル・デュフレーヌ]]の辞書もその説を採っている((Dufresne [1989]))。  [[マリニー・ローズ]]は、スペインのコンキスタドールであるピサロ(Pisaro)、ハンガリーの貴族ザポリ(Zapoli)などのほか、サヴォワのラテン語形がSapaudiaなどであるため、それと関係がある可能性などを挙げていた((Rose [2002c] p.574))。  [[ジャン=ポール・クレベール]]は、Payz or (黄金の国) のアナグラムの可能性を示していた((Clebert [2003]))。  [[ヘンリー・C・ロバーツ]]は、Ray. + pos. と捉えたらしく、positive ray と英訳していた((Roberts [1949]))。海外ではほとんど相手にされていなかった読み方なのだが、日本では[[五島勉]]がこれを採ったため、これに追随する論者がしばしば見られた。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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