百詩篇第2巻3番

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*原文 Pour&sup(){1} la chaleur solaire&sup(){2} sus&sup(){3} la mer&sup(){4} De [[Negrepont]]&sup(){5} les poissons&sup(){6} demis cuits&sup(){7}: Les habitans&sup(){8} les viendront&sup(){9} entamer Quand Rod.&sup(){10} & Gennes&sup(){11} leur faudra le biscuit. **異文 (1) Pour : Par 1672 (2) solaire : solitaire 1597 1600 1610 1716, Solaire 1672 (3) sus : sur 1589Rg 1627 1644 1653 1665 1668P 1672 (4) mer : Mer 1672 (5) Negrepont : Negre pont 1650Ri 1660 1772Ri, Negreponts 1653 1665 (6) poissons : Poissons 1672 1772Ri (7) demis cuits : demi cuits 1568I 1597 1600 1605 1610 1611B 1627 1628 1644 1649Ca 1649Xa 1650Le 1650Ri 1660 1668 1672 1716, demy cuicts 1588-89, demy-cuits 1653 1665, demits cuits 1772Ri (8) habitans : Habitans 1672 (9) les viendront : viendront 1600 1867LP (10) Rod. : Rhod. 1568B 1627 1644 1650Ri 1653 1665, Rhod, 1568C 1568I 1772Ri, Rod 1588-89 1589PV 1649Ca, Rod, 1590Ro, Rhod 1597 1600 1605 1610 1611B 1628 1649Xa 1650Le 1660 1668 1716, Rhode 1672 (11) Gennes : Cennes 1660 (注記)1611Aは比較していない。 *日本語訳 海上の太陽の暑さのせいで ネグロポンテの魚が半焼けになる。 住民たちはそれに手をつけに来るだろう。 ロードスとジェノヴァが彼らへの堅パンを欠くであろう時に。 **訳について  山根訳4行目で biscuits(ビスケット、堅パン)を「食糧」と意訳しているのは許容範囲であるように思える。他の箇所もおおむね問題はない。  大乗訳の後半2行「住む者は苦しめられるだろう/ロードとジェノアがかたいパンを望むとき」((大乗 [1975] p.72))は少々問題だろう。entamer は、「傷つける」「始める」「(食べ物などの)最初の一切れをとる」などの意味で、「苦しめられる」と訳すには少々無理があるし、直前の viendra(来るだろう)なども訳に反映できていない。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳は The inhabitants shall come to cut them up ((Roberts [1949] p.44))で、特におかしくはない。  faudra > falloir には「必要とする」という意味のほか、当時は「不足する」(manquer)の意味もあり((DMF))、この場合、そちらでとるべきだろう。実際、高田・伊藤訳でもそうなっている((高田・伊藤 [1999]))。 *信奉者側の見解  20世紀以降の解釈では、1行目の描写は核爆発や隕石落下などと解釈され、その高熱で魚が死に絶え、飢えに苦しむ人々はそれらを口にせざるを得なくなることの予言と捉えられることがしばしばあった。[[エリカ・チータム]]、[[ジョン・ホーグ]]、[[ピーター・ローリー]]、[[モーリス・A・ラカス]]、[[原秀人]]などはこの系統の解釈を採っている((Cheetham [1990], Hogue [1997/1999], ローリー『ノストラダムス大予言 世紀末への警告』p.143, ラカス『ノストラダムス世界大終末[全予測]』p.208、チータム [1988]))。  その変形としては、異常気象による大旱魃の予言とする[[藤島啓章]]の説などがある((藤島『ノストラダムスの大警告』pp.104-105))。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は、『[[ミラビリス・リベル]]』の予言の中に、極度の旱魃の中で川が干上がり、魚が死に絶えるという予言があることを指摘している((Lemesurier [2003b]))。 [[ピエール・ブランダムール]]は[[百詩篇第5巻98番]]や[[暦書]]の予言など、ノストラダムスの書き物には類似の驚異がしばしば見られることを指摘している((Brind’Amour [1996]))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は、半焼けという表現は、コンスタンティノープル陥落(1453年)の際にあったというギリシャの伝説に立脚しているとする。それによれば、魚が揚げられるときに生きていて油から飛び上がり、完全に料理されずに済んだという。  プレヴォはまた、スルタンがコンスタンティノープル攻略の数日前に兵糧を絶とうとして、通常ペロポネソスからロードス経由でジェノヴァにつながる補給路を遮断しようとしたことも指摘している。  ネグロポンテ(エヴォイア島)は何の関係もなかったが、プレヴォはネグロポンテをギリシャ語「黒い海」と理解し、黒海と結び付けている((Prévost [1999] pp.48-49))。 #ref(rhod.PNG) ---- #comment
*原文 Pour&sup(){1} la chaleur solaire&sup(){2} sus&sup(){3} la mer&sup(){4} De [[Negrepont]]&sup(){5} les poissons&sup(){6} demis cuits&sup(){7}: Les habitans&sup(){8} les viendront&sup(){9} entamer Quand Rod.&sup(){10} & Gennes&sup(){11} leur faudra le biscuit. **異文 (1) Pour : Par 1672 (2) solaire : solitaire 1597 1600 1610 1716, Solaire 1672 (3) sus : sur 1589Rg 1627 1644 1653 1665 1668P 1672 (4) mer : Mer 1672 (5) Negrepont : Negre pont 1650Ri 1660 1772Ri, Negreponts 1653 1665 (6) poissons : Poissons 1672 1772Ri (7) demis cuits : demi cuits 1568I 1597 1600 1605 1610 1611B 1627 1628 1644 1649Ca 1649Xa 1650Le 1650Ri 1660 1668 1672 1716, demy cuicts 1588-89, demy-cuits 1653 1665, demits cuits 1772Ri (8) habitans : Habitans 1672 (9) les viendront : viendront 1600 1867LP (10) Rod. : Rhod. 1568B 1627 1644 1650Ri 1653 1665, Rhod, 1568C 1568I 1772Ri, Rod 1588-89 1589PV 1649Ca, Rod, 1590Ro, Rhod 1597 1600 1605 1610 1611B 1628 1649Xa 1650Le 1660 1668 1716, Rhode 1672 (11) Gennes : Cennes 1660 (注記)1611Aは比較していない。 *日本語訳 海上の太陽の暑さのせいで ネグロポンテの魚が半焼けになる。 住民たちはそれに手をつけに来るだろう。 ロードスとジェノヴァが彼らへの堅パンを欠くであろう時に。 **訳について  山根訳4行目で biscuits(ビスケット、堅パン)を「食糧」と意訳しているのは許容範囲であるように思える。他の箇所もおおむね問題はない。  大乗訳の後半2行「住む者は苦しめられるだろう/ロードとジェノアがかたいパンを望むとき」((大乗 [1975] p.72))は少々問題だろう。entamer は、「傷つける」「始める」「(食べ物などの)最初の一切れをとる」などの意味で、「苦しめられる」と訳すには少々無理があるし、直前の viendra(来るだろう)なども訳に反映できていない。[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳は The inhabitants shall come to cut them up ((Roberts [1949] p.44))で、特におかしくはない。  faudra > falloir には「必要とする」という意味のほか、当時は「不足する」(manquer)の意味もあり((DMF))、この場合、そちらでとるべきだろう。実際、高田・伊藤訳でもそうなっている((高田・伊藤 [1999]))。 *信奉者側の見解  20世紀以降の解釈では、1行目の描写は核爆発や隕石落下などと解釈され、その高熱で魚が死に絶え、飢えに苦しむ人々はそれらを口にせざるを得なくなることの予言と捉えられることがしばしばあった。[[エリカ・チータム]]、[[ジョン・ホーグ]]、[[ピーター・ローリー]]、[[モーリス・A・ラカス]]、[[原秀人]]などはこの系統の解釈を採っている((Cheetham [1990], Hogue [1997/1999], ローリー『ノストラダムス大予言 世紀末への警告』p.143, ラカス『ノストラダムス世界大終末[全予測]』p.208、チータム [1988]))。  その変形としては、異常気象による大旱魃の予言とする[[藤島啓章]]の説などがある((藤島『ノストラダムスの大警告』pp.104-105))。 *同時代的な視点  [[ピーター・ラメジャラー]]は、『[[ミラビリス・リベル]]』の予言の中に、極度の旱魃の中で川が干上がり、魚が死に絶えるという予言があることを指摘している((Lemesurier [2003b]))。 [[ピエール・ブランダムール]]は[[百詩篇第5巻98番]]や[[暦書]]の予言など、ノストラダムスの書き物には類似の驚異がしばしば見られることを指摘している((Brind’Amour [1996]))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は、半焼けという表現は、コンスタンティノープル陥落(1453年)の際にあったというギリシャの伝説に立脚しているとする。それによれば、魚が揚げられるときに生きていて油から飛び上がり、完全に料理されずに済んだという。  プレヴォはまた、スルタンがコンスタンティノープル攻略の数日前に兵糧を絶とうとして、通常ペロポネソスからロードス経由でジェノヴァにつながる補給路を遮断しようとしたことも指摘している。  ネグロポンテ(エヴォイア島)は何の関係もなかったが、プレヴォはネグロポンテをギリシャ語「黒い海」と理解し、黒海と結び付けている((Prévost [1999] pp.48-49))。 #ref(rhod.PNG) ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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