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&bold(){Germain} には全く異なる2つの意味がある。
(1) 「ゲルマニアの」「ゲルマニア人(の)」の意味。
(2) 12世紀から17世紀頃のフランス語では「(血がつながっている)兄弟、姉妹」「同じ父母から生まれた」の意味((DAF, DMF))。現代フランス語でも、法律用語などに残っている。
なお、[[ジェイムズ・ランディ]]は12世紀から16世紀には(2)の意味でしか使われておらず、「ゲルマン人」を意味する用法は第二次世界大戦後に英語から流入したと主張したが((ランディ [1999] p.306))、誤っている。
それは、エミール・リトレのフランス語辞典(1872年-1877年)に(1)の意味が載っていることからも明らかである(([[http://artflx.uchicago.edu/cgi-bin/dicos/pubdico1look.pl?strippedhw=germain#LITTRE1872>>http://artflx.uchicago.edu/cgi-bin/dicos/pubdico1look.pl?strippedhw=germain#LITTRE1872]]))。また、「ゲルマニア人」を語源に持つフランスの地名は2箇所あるが(Germaine, Germaines)、それらは12世紀までさかのぼることができる((DNLF))。
さらに、16世紀仏文学を専門とする[[高田勇]]や[[伊藤進]]は、(1)の意味でも(2)の意味でも読めると述べている((高田・伊藤 [1999] p.137))。
DAFなどには確かに(1)の意味は載っていないが、古語辞典の類は現代と異なる意味の単語を中心に収録するものなので、載っていないことが直ちに存在しなかったことを意味するわけではない。実際、古語辞典の類には「ガリア人」「フランス人」などに対応する言葉も載っていない。
また、[[百詩篇第2巻39番]]では Germains, Gaulois, Hespagnols という形でガリア人(フランス人)、スペイン人などと並べて書かれており、ゲルマニア人と理解するのが自然だろう。当然、[[ピエール・ブランダムール]]らはそう読んでいる。
ランディの指摘は、ともすれば(2)の意味を見落としがちな英語圏や日本の読者にとって意味があったものと思われる。しかし、(1)の意味を全否定したのは勇み足だったといえるだろう。
*登場箇所
-[[百詩篇第2巻24番]]
-[[百詩篇第2巻39番]]
-[[百詩篇第2巻87番]]
-[[百詩篇第3巻67番]]
-[[百詩篇第4巻74番]]
-[[百詩篇第6巻77番]]
-[[百詩篇第10巻17番]]
-[[百詩篇第10巻35番]]
-[[百詩篇第10巻59番]]
-[[予兆詩第32番]](旧29番)
-[[六行詩9番]]
-[[六行詩34番]]
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#comment
&bold(){Germain} には全く異なる2つの意味がある。
-(1) 「ゲルマニアの」「ゲルマニア人(の)」の意味。
-(2) 12世紀から17世紀頃のフランス語では「(血がつながっている)兄弟、姉妹」「同じ父母から生まれた」の意味((DAF, DMF))。現代フランス語でも、法律用語などに残っている。
なお、[[ジェイムズ・ランディ]]は、12世紀から16世紀には(2)の意味でしか使われておらず、「ゲルマン人」を意味する用法は第二次世界大戦後に英語から流入したと主張した((ランディ [1999] p.306))。
だがそれは、誤っている。
それは、エミール・リトレのフランス語辞典(1872年-1877年)に(1)の意味が載っていることからも明らかである(([[http://artflx.uchicago.edu/cgi-bin/dicos/pubdico1look.pl?strippedhw=germain#LITTRE1872>>http://artflx.uchicago.edu/cgi-bin/dicos/pubdico1look.pl?strippedhw=germain#LITTRE1872]]))。
また、「ゲルマニア人」を語源に持つフランスの地名は2箇所あるが(Germaine, Germaines)、それらは12世紀までさかのぼることができる((DNLF))。
さらに、16世紀仏文学を専門とする[[高田勇]]や[[伊藤進]]は、(1)の意味でも(2)の意味でも読めると述べている((高田・伊藤 [1999] p.137))。
DAFなどには確かに(1)の意味は載っていないが、古語辞典の類は現代と異なる意味の単語を中心に収録するものなので、載っていないことが直ちに存在しなかったことを意味するわけではない。
実際、古語辞典の類には「ガリア人」「フランス人」などに対応する言葉も載っていないのが普通である。
また、[[詩百篇第2巻39番>百詩篇第2巻39番]]では Germains, Gaulois, Hespagnols という形でガリア人(フランス人)、スペイン人などと並べて書かれており、ゲルマニア人と理解するのが自然だろう。
当然、[[ピエール・ブランダムール]]らはそう読んでいる。
ランディの指摘は、ともすれば(2)の意味を見落としがちな英語圏や日本の読者にとって意味があったものと思われる。
しかし、(1)の意味を全否定したのは勇み足だったといえるだろう。
*登場箇所
-[[第2巻24番>百詩篇第2巻24番]]
-[[第2巻39番>百詩篇第2巻39番]]
-[[第2巻87番>百詩篇第2巻87番]]
-[[第3巻67番>百詩篇第3巻67番]]
-[[第4巻74番>百詩篇第4巻74番]]
-[[第6巻77番>百詩篇第6巻77番]]
-[[第10巻17番>百詩篇第10巻17番]]
-[[第10巻35番>百詩篇第10巻35番]]
-[[第10巻59番>百詩篇第10巻59番]]
-[[予兆詩第32番]](旧29番)
-[[六行詩9番]]
-[[六行詩34番]]
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