詩百篇第2巻

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[[第1巻>詩百篇第1巻]]・&bold(){第2巻}・[[第3巻>百詩篇第3巻]]・[[第4巻>百詩篇第4巻]]・[[第5巻>百詩篇第5巻]]・[[第6巻>百詩篇第6巻]]・[[第7巻>百詩篇第7巻]]・[[第8巻>詩百篇第8巻]]・[[第9巻>詩百篇第9巻]]・[[第10巻>詩百篇第10巻]]・[[第11巻>詩百篇第11巻]]・[[第12巻>詩百篇第12巻]]  [[ミシェル・ノストラダムス師の予言集]]の&bold(){詩百篇第2巻}(&bold(){百詩篇第2巻})は、100篇の四行詩で構成されている。補遺篇などは存在しない。[[予言集初版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1555年リヨン)]]に収録されていた。 *翻訳  以下に詩百篇第2巻の全100篇の翻訳を提供する。  詩番号にリンクが貼ってあるものは、別ページに解説を用意してある。リンク先の原文の底本は1555Vである。ただし、&color(red){詩番号の隣の*にリンクが貼ってある場合は、当面、非公開なのでご理解いただきたい。}  訳文はいずれも不断の見直しを必要とする仮訳だが、とりわけ解説を作成していない詩については、今後の詳細な分析の中で、主として採用する訳文が大きく変更される可能性があることを、あらかじめご承知おきいただきたい。  ( )は言葉を補ったもの、〔 〕は難読語の読み、〔= 〕は簡略な語注を指す。 [[1>百詩篇第2巻1番]] アキテーヌの方では、ブリタニアの攻撃のせいで、 そして彼ら自身のせいで、大々的な侵入が(あるだろう)。 雨と霜は不正な耕地を生み出すだろう。 [[スランの港]]は苛烈な侵攻を生じさせるだろう。 [[2>詩百篇第2巻2番]] 青い頭が白い頭になすだろう、 害悪を。フランスが彼らに善をなしたのと同じくらいに。 帆桁〔ほげた〕には死体が、枝には偉人が吊るされる。 臣下の捕虜(の数)がいかほどかを王が語るであろう時に。 [[3>百詩篇第2巻3番]] 海上の太陽の暑さのせいで ネグロポンテの魚が半焼けになる。 住民たちはそれに手をつけに来るだろう。 [[ロードス]]とジェノヴァが彼らへの堅パンを欠くであろう時に。 4[[*>詩百篇第2巻4番]] モナコから[[シチリア>シチリア島]]付近に至るまで、 海辺は荒涼としたままになるだろう。 市外区にも市内区にも町にもないだろう、 [[バルバロイ]]によって掠奪も強奪もされないところは。 [[5>百詩篇第2巻5番]] 鉄器と手紙のせいで投獄された者が 外に出てから、戦争をするであろう時に、 彼の艦隊は多くの櫂で海へと漕ぎ出すだろう、 [[ラティウム]]の大地近くに現われて。 [[6>百詩篇第2巻6番]] 二つの都市の門の近くと市内とで、 決して見られたことがないような二つの災禍があるだろう。 内部で飢餓と[[悪疫]]があり、剣によって外に出された人々は、 不死にして偉大なる神に救いを求めて叫ぶだろう。 7 島流しになった多くの人々の中で、 一人、喉に二本の歯を持つ者が生まれるだろう。 木々が食べつくされ、彼らは餓死するだろう。 彼らのために新たな王が新たな勅令を作る。 [[8>百詩篇第2巻8番]] 聖なる殿堂は[[ローマ]]の当初のやり方で、 粗雑な土台を拒絶するだろう。 最初の人間的な法を手に入れて、 全てではないが聖人崇拝を駆逐しつつ。 [[9>百詩篇第2巻9番]] 九年間、やせた男が王国を平和に保つだろう。 それから、彼はひどく血に渇いた状態に陥り、 彼のせいで多くの人々が、信仰も法もなしに死ぬだろう。 はるかに温厚な人物によって殺される。 [[10>百詩篇第2巻10番]] 遠からずして全てが抑えつけられるだろう。 我々には非常に不吉な世紀が待ち受けるだろう。 顔を隠した者たちと独身者たちの地位はひどく変えられて、 その地位に留まりたい者はほとんどいないだろう。 [[11>百詩篇第2巻11番]] 驢馬引き人の跡取り息子が成り上がるだろう、 強者たちの支配にまで並ぶほどに高く。 その荒々しい栄光を誰もが恐れるだろう。 しかし、その子供たちは王国の外へと追い出される。 12[[*>詩百篇第2巻12番]] 両目が閉じられ、古式ゆかしい夢想に見開かれる。 独身者たちの服装は無価値なものになるだろう。 偉大な君主が懲らしめるだろう、 以前に神殿の財宝に心奪われていた者たちの熱狂を。 [[13>百詩篇第2巻13番]] 魂のない肉体はもはや生贄とはならない。 誕生に転化する死の日。 聖霊は幸いなものにするであろう、 永遠の内にて[[みことば]]を目にする魂を。 [[14>百詩篇第2巻14番]] ジャンの塔に炯眼の歩哨たちがいて、 遠くにやんごとなき貴人を見つけるだろう。 その御方と侍従たちが港に入るだろう、 「悶着を退けよ、至上の権力 (の御成り)である」と。 [[15>百詩篇第2巻15番]] 君主が弑せられるほんの少し前に、 船上にて[[カストールとポリュデウケース]]、長髪の星が(目撃される)。 国庫は海と陸のせいで空ろになるだろう。 [[ピサ]]、[[アスティ]]、[[フェッラーラ]]、[[トリノ]]は禁じられた土地に。 16 [[ナポリ]]、[[パレルモ]]と[[シチリア>シチリア島]]の[[シラクーザ]]では 新しい暴君たちと雷鳴と天の火とが。 ロンドン、[[ヘント]]、ブリュッセル、スーザからの軍隊が、 大規模な[[ヘカトンベ]]をして、勝利し、祝祭を挙行する。 [[17>百詩篇第2巻17番]] [[ウェスタ]]に仕える乙女の神殿がある平原は エルヌからもピレネーの山々からも遠くない。 偉大な導き手は郵便馬車に隠される。 北では河川と交配種のブドウが凍る。 [[18>百詩篇第2巻18番]] 新しく烈しい突然の雨が、 二つの軍隊を不意に妨げるだろう。 石と空と火が石だらけの海を作り出す。 七人の死が海と陸とで突然に。 [[19>百詩篇第2巻19番]] 新参たちが、建物はあるが無防備な場所であり その時点で人のいない場所を占有する。 草地、邸宅、田畑、都市を気の向くままに手に入れる。 [[飢餓、悪疫、戦争>災厄の三要素]]。狭い土地も耕作するには時間がかかる。 20 様々な場所に捕らわれている兄弟姉妹は 君主のそばを通ることに気付くだろう。 その注意深き子供たちは彼らを凝視し、 その顎、額、鼻にある印を見て傷つくだろう。 21 二段櫂船で送られた大使は、 道程の途中で見知らぬ者たちに追い返されるだろう。 かような (勢力の) 増援から四隻の三段櫂船が来るだろう。 ネグロポンテでは (人々は) 綱と鎖で縛られるだろう。 [[22>百詩篇第2巻22番]] アソポスの陣営がエウロタスを発つだろう。 沈んだ島の近くに接すると、 艦隊は帆柱を折るだろう。 世界のへそで、最も偉大な声が仰がれる。 23 宮殿では鳥が鳥に追い払われる。 直後に先入観をいだく君主が、 敵は川の向こうに追い返されていたのに、 外で鳥の羽のついた矢に襲われる。 [[24>百詩篇第2巻24番]] 野獣が空腹のせいで川を泳いで渡る。 軍隊の大部分が[[ヒステル>Hister]]の方に向かい、 偉大な者を鉄の檻の中に入れさせるだろう。 ゲルマニアの子がライン川を監視するであろう時に。 25[[*>詩百篇第2巻25番]] 異国の娘が砦を裏切るだろう、 より高き結婚の希望と口実で。 衛兵は欺かれ、砦は戦いで奪われる。 ロワール、ソーヌ、[[ローヌ>ローヌ川]]、ガロンヌでは死に至る暴力。 26 都市は好意を示すであろう、 戦場ですぐ負けることになり、 その隊列が逃げる大物に。その (好意の) せいでポーはティチーノを引っくり返すだろう。 血が流れ出て死ぬ者たちや、斬撃で溺れ死ぬ者たち。 [[27>百詩篇第2巻27番]] [[みことば]]が空から打たれ、 そこから先のことができなくなるだろう。 啓示するそれの秘密は隠蔽され、 人々はその上を前へと行進するだろう。 [[28>百詩篇第2巻28番]] 予言者の異名をとる最後から二番目の者が、 [[ユピテル]]の日を自分の安息日とするだろう。 譫妄の頭で遠くへと彷徨し、 多くの人々を租税から解放するだろう。 [[29>百詩篇第2巻29番]] 東方の者がその座から出立するだろう、 アッペンニーノ山脈を越えて、ガリアを見るために。 彼は天の水と雪とを突き抜けて、 おのおのをその鞭で打ち据えるだろう。 [[30>百詩篇第2巻30番]] その男はハンニバルの地獄の神々を 生き返らせるであろうところの、人類に恐れられる者である。 かつて存在したどれよりも大きい戦慄とより悪しきかまどが [[バベル>バビロン]]によって[[ローマ]]人たちへとやってくるだろう。 [[31>百詩篇第2巻31番]] カンパーニア地方にて[[カシリヌム>カプア]]は、 野原を覆う大水しか見えないほどだろう。 前にも後にも長いあいだ雨が。 (水面から突き出た)木々を除けば、緑は一切見られないだろう。 [[32>百詩篇第2巻32番]] [[ダルマティア>ダルマチア]]には乳と血と蛙が振り撒かれる。 紛争が始まり、[[バレンネ>Balenne]]近くでは[[悪疫]]が。 [[スクラウォニア>スラヴォーニヤ]]の全域では叫びが大きいだろう、 [[ラヴェンナ]]付近と市内で怪物が生まれるであろう時に。 33 [[ヴェローナ]]から下った奔流によって、 その頃にポー川でその入り口が高くなるだろう。 大規模な難破。ガロンヌ川でも劣らずに。 [[ジェノヴァ]]の人々が故国に行進するであろう時に。 34 激昂した対立による常軌を逸した怒りが、 食卓で兄弟たちに剣を抜かせるだろう。 彼らを引き離そうと注意が向けられる。死者と負傷者。 凄絶な決闘がフランスに害をなすだろう。 [[35>百詩篇第2巻35番]] 二軒の宿屋で夜に火がつくだろう。 中にいた多くが窒息させられ、焼かれる。 それは確かに二つの川の近くで生じるであろう。 太陽(が)、人馬宮と磨羯宮(にある間)、すべてが滅ぼされるだろう。 [[36>百詩篇第2巻36番]] 偉大な預言者の書簡が奪われ、 暴君の手中に届くだろう。 彼らの企てはその王を欺くことだが、 その掠奪がすぐに彼を損ねるだろう。 37 その多くの者たちが派遣されるだろう、 砦で攻囲されている人々を救うために。 [[悪疫]]と飢餓が彼ら全員を貪り食うだろう、 打ち倒される七十人を除けば。 38 あまりにも多くの人々が刑を宣告されるだろう、 君主たちが和解するであろう時に。 しかし、彼らの一人があまりにも傍若無人なので、 一緒に結びつき続けることはほとんどないだろう。 [[39>百詩篇第2巻39番]] ゲルマニア人、ガリア人、スペイン人が砦をめぐって繰り広げる イタリアの紛争の一年前、 共和国の建物である学舎が崩れるだろう。 そこではごくわずかな例外を除き、(人々が)窒息死するだろう。 40 直後、長い中断をはさむことなく、 海と陸とで大きな騒擾が起こされるだろう。 その海戦はあまりにも大きなものとなるだろう。 荒れ狂う炎がいっそう侵掠するだろう。 [[41>百詩篇第2巻41番]] 大きな星が七日間燃えるだろう。 雲が太陽を二つ出現させるだろう。 太ったマスチフ犬が夜通し吠えるだろう、 大祭司が土地を変えるであろう時に。 42 雄鶏たち、犬たち、猫たちは喜ぶだろう、 死体で発見された暴君の血と傷に。 ― (その死体は)他人の寝床で、両手両足を砕かれていた。 ― その暴君は残酷な死に様をも恐れない人物だった。 [[43>百詩篇第2巻43番]] 髪のある星が現れている間、 三人の偉大な君主たちは敵同士になるだろう。 平和は天から打たれ、大地は震える。 ポーとテヴェレは氾濫し、蛇は岸辺に置かれる。 [[44>百詩篇第2巻44番]] 天幕の辺りに止まるその鷲は 別の鳥によってその辺りから追い払われるだろう。 シンバル、[[喇叭>ラッパ]]、鈴の騒々しさが 婦人の感覚を麻痺させるであろう時に。 [[45>百詩篇第2巻45番]] 天は[[アンドロギュノス]]が生まれたことに大いに涙する。 この空 〔=場所〕 の近くで人の血が流される。 あまりにも遅い死によって、偉大な人々は再生される。 遅かれ早かれ期待された救いが来る。 [[46>百詩篇第2巻46番]] 人類の大きな騒擾の後には、より大きな騒擾が控えている。 偉大な原動力が諸世紀を更新する。 雨、血、乳、[[飢餓、鉄、悪疫、>災厄の三要素]] 空で目にされるのは火と、駆け巡る長い火花。 47 老いた大敵は悲嘆に暮れて、毒によって死ぬ。 主権者たちは零細な人々に従わされるだろう。 石つぶてが雨下する。毛並みの中に隠される。 死によって、諸条項が無駄に引き合いに出される。 [[48>百詩篇第2巻48番]] 大軍隊が山々を通り過ぎるだろう。 [[土星>サトゥルヌス]]が人馬宮にあり、[[火星>マルス]]は双魚宮で向きを変える。 鮭の頭に毒が隠される。 そのかしらは荷造り紐で吊るされる。 49 最初の同盟の評議員たちは、 ― 征服者たちがマルタに目がくらんで、 [[ロードス]]と[[ビュザンティオン>イスタンブル]]を彼らのために野ざらしにするから ― 土地を失うだろう。逃走の追跡者たち。 50 [[エノー]]、[[ヘント]]、ブリュッセルの人々は ラングルの前で攻囲戦を見るだろう。 彼らの側面の後ろでは残酷な戦いがあるだろう。 いにしえの災禍は敵よりも厄介だろう。 [[51>百詩篇第2巻51番]] 正義の血はロンドンでは欠けるだろう。 二十三人のうちの六人が雷によって焼かれる。 高齢の貴婦人が高い場所から落ちるだろう。 同じ派の中の多くが殺されるだろう。 [[52>百詩篇第2巻52番]] 何夜もの間、大地が震えるだろう。 春に二度の震動が続くのだ。 [[コリントス]]と[[エフェソス]]は二つの海で泳ぐだろう。 戦争が二人の勇敢な戦士によって惹き起こされる。 [[53>百詩篇第2巻53番]] 海辺の都市の大規模な[[悪疫]]は 死が復讐されることでしか止まらないだろう、 ― 代償として罪なくして咎められた公正な血の(死が)― 偽りによって辱められた偉大な婦人によって。 [[54>百詩篇第2巻54番]] [[ローマ]]人たちから隔たった異邦人によって、 水辺の彼らの大都市はひどく悩まされる。 手のない娘。領土が四分五裂となり、 指導者が捕らわれても、錠前が奪われることはない。 55 戦いであまり価値のなかった貴人が、 最後に素晴らしいことを成し遂げるだろう。 アドリアが自分の欲しいものを見ている間に 宴席で高慢な者を一突きする。 56 [[悪疫]]も剣も仕留められなかった者が 天頂より打たれ、井戸の中で死ぬ。 大修道院長は見るときに死ぬだろう、 難破した人々が岩礁に取り縋ろうとして滅びゆくのを。 57 衝突に先立ち、大きな壁が崩れるだろう。 偉人は死ぬ、突然の悲しまれる死。 五体満足でない誕生。大部分の人が泳ぐだろう。 川の近くで大地は血に染まるだろう。 [[58>百詩篇第2巻58番]] 足も手も持たず、鋭く強い歯を備え、 額に球を持つものが雄豚と雌猪から生まれる。 不誠実な者が門扉の近くへと赴く。 セレネは輝く。小人も大人も連れ去られる。 [[59>百詩篇第2巻59番]] ガリアの艦隊は偉大なる[[ガルド>ラ・ガルド男爵]]の、 偉大なる[[ネプトゥヌス]]の、そしてその三叉戟の兵士たちの支援によって。 プロヴァンスは大軍を援助するために貪られるだろう。 くわえて[[ナルボ・マルティウス>ナルボンヌ]]は投槍や槍によって。 [[60>百詩篇第2巻60番]] フェニキアの信頼が東方で砕かれるだろう。 ガンジス、インダス、[[ローヌ>ローヌ川]]、ロワール、[[テージョ>テージョ川]]は変わるだろう。 雄ラバの飢えが満たされるであろうとき、 艦隊は散らされ、血と体が泳ぐだろう。 [[61>百詩篇第2巻61番]] テムズ川がジロンド川とラ・ロッシェルを増長させる。 おお、[[トロイアの血]]よ! [[マルス]]は[[ラ・フレシュ]]の港に。 その川の裏手で砦に梯子が取りつけられ、 壁の裂け目では火縄銃で多くの死者が。 [[62>百詩篇第2巻62番]] そして[[マビュス>Mabus]]がその時すぐに死ぬと、到来するだろう、 人々と獣たちの恐るべき崩壊が。 そして突然目撃されるだろう、報復と 手無し、渇き、飢餓が。彗星が巡るであろう時に。 63 ガリア人たちは[[アウソニア]]をろくに従属させられないだろう。 ポーとマルヌとセーヌはパルマで虐殺を行うだろう。 (パルマは)彼らに対する大きな壁を打ちたてるだろう。 その壁では、偉人が最下級の者によって命を落とすだろう。 [[64>百詩篇第2巻64番]] [[ジュネーヴ]]の人々は飢えと渇きで干からびるだろう。 近くの希望は消えてしまうだろう。 すぐさま[[ゲベンナ>セヴェンヌ]]の宗教が震えるだろう。 艦隊は大きな港で受け入れられない。 [[65>百詩篇第2巻65番]] 緯度上の北極地方が大規模な破局を [[ヘスペリア]]と[[インスブリア>Insubre]]とを介して生み出すだろう。 船には火、[[悪疫]]と捕囚。 [[メルクリウス]]は人馬宮に。[[サトゥルヌス]]は刈り取るだろう。 66 大きな危険を冒して囚人が逃がれ、 間をおかず貴人が、― 運命が変わって ― 宮殿で民衆に捕らえられるだろう。 吉兆によって都市は攻囲される。 67 金髪は鷲鼻と対決することになるだろう、 決闘によって。そして外に追い出すだろう。 亡命者たちを中に戻してやるだろう、 海の配置を最も強い者たちに委託しつつ。 68 [[アクィロ]]の力は大きいものだろう。 大洋では門が開かれるだろう。 島では王国が元に戻るだろう。 ロンドンは発見された帆のせいで震えるだろう。 69 ガリアの王はケルトの右手によって 偉大な君主国の不和を見ながら、 三方面で王杖を開花させるだろう、 大いなる[[ヒエラルキア]]の袖なし外套に対抗しつつ。 70 天の投槍は拡がりを見せるだろう。 話すことで死ぬ者たちの大規模な処刑。 木に石。尊大な民族が降伏するだろう。 動物的、人間的な怪物。浄化と贖罪。 71 亡命者たちは[[シチリア>シチリア島]]に来るだろう、 異邦人を飢えから解き放つために。 夜明け、ケルト人たちはその異邦人たちにたがえるだろう。 命は残る、国王が理性を保つから。 72 ケルトの軍隊はイタリアで悩まされる、 すべての方向から。紛争と大損害。 ローマ人たちを避けよ、おお、押し返されたガリアよ! ティチーノとルビコンの近くでは不確かな戦闘。 73 ベナクスの湖岸がフーチノ湖に 捕らわれ、[[レマンの>レマン湖]]は[[オグミオス]]の港に(捕らわれる)。 三つの王冠によるエンデュミオンへの 戦争に関する形象を三本腕の誕生が予言する。 74 サンスとオータンからローヌ川まで来るだろう、 ピレネーの山々の方へとさらに行くために。 マルカ・ディ・アンコーナから出た一群は、 海と陸とを通って大々的な旅程で彼らについていくだろう。 [[75>百詩篇第2巻75番]] 異様な鳥の声が聞こえる、 直立する換気用の煙突の上から。 小麦の入ったボワソー枡が余りに高くなるので、 人が人を食べるようになるだろう。 76 雷がブルゴーニュでなすだろう、驚倒すべき かつて火砲でもできなかったことを。 元老院によって香部屋係に任命された跛者が、 敵に事情を知らせるだろう。 77 弓、火のついた松脂、火によって押し返され、 真夜中に叫びと怒号とが聞かれる。 (敵たちは)城壁の崩落部分から中に入り、 裏切り者たちは地下道から逃げる。 [[78>百詩篇第2巻78番]] 海の底からの偉大な[[ネプトゥヌス]](には)、 フェニキアの民族とガリアの血統が混ぜ合わされている。 島々は血に(染まり)、のろまのために漕ぐことは、 下手に隠れた潜伏者以上に彼を害するだろう。 [[79>百詩篇第2巻79番]] 縮れた黒[[鬚髯>barbe]] 〔くろひげ〕 は、計略によって 残酷で高慢な民族を服従させるだろう。 偉大な[[シラン>Chyren]]は不浄な場所から取り去るだろう、 月の旗によって、捕らわれている全ての人々を。 80 衝突の後、被害者の雄弁で しばしの間、見せかけの休戦が企てられる。 貴人たちの釈放はいっさい認められない。 敵たちは時宜にかなって戻される。 [[81>百詩篇第2巻81番]] 天からの火によって都市のほとんどが焼かれる。 宝瓶宮がなおも[[デウカリオン]]を脅かす。 [[サルデーニャ>サルデーニャ島]]はフェニキアの軽量船に悩まされる、 天秤宮がその[[パエトン]]と別れた後に。 82 空腹のせいで、家畜につられた狼が捕まるだろう。 それで侵略者たちは極度の苦境に陥るだろう。 前面に臀部がついて生まれる子供。 それで貴人は騒乱の只中から逃れられない。 83 大いなる[[リヨン]]の大規模な流通が変わり、 大部分が原初の衰微した状態に戻る。 兵たちの虜になり掠奪によって荒らされる、 霧に紛れてジュラ山脈や[[スエビ人]](の土地)の辺りで。 84 カンパーニア、シエーナ、[[フローラ]]、[[トゥスキア]]の間では 六ヶ月と九日、一滴の雨も降らないだろう。 異国語 (の話し手) がダルマティアの地で 全土を荒らしながら駆け巡るだろう。 85 [[鬚髯>barbe]] 〔ひげ〕 の長い老人が厳しい命令のもとで [[リヨン]]でケルトの鷲を凌駕するだろう。 小人と大人はそれ以上に辛抱するだろう。 空では武器の音が。リグリアの赤き海。 86 アドリア海の近くで艦隊が難破。 大地が空中に動かされ、地表に戻される。 エジプトは[[ムハンマド]]主義者の増大に震える。 叫んで降伏するための伝令官が任命される。 87 その後、最果ての諸地方から来るであろう、 ゲルマニアの君主が黄金の玉座へと。 隷属は彼の忠臣たちの内で出くわすことになる。 臣従する婦人、彼女の時代はもはや続かなかった。 [[88>百詩篇第2巻88番]] その偉人の行軍は破滅的な事柄になる。 第五番目の者の第七番目の名は 三分の一だけ偉大だろう。好戦的な異邦人は 破城槌を[[ルテティア]]にもエクスにも振るわずにはいないだろう。 [[89>百詩篇第2巻89番]] 二人の偉大な指揮官たちが軛 〔くびき〕 から解放され、 彼らの偉大な権力が増大するのが見られるだろう。 新しい土地は、彼らの高貴な部屋で、 血まみれの男へとその数字が語られるだろう。 [[90>百詩篇第2巻90番]] 生と死によってハンガリーの王国は変えられ、 法は奉仕よりも過酷なものとなるだろう。 彼らの大都市は悲鳴、嘆き、叫びに包まれる。 [[カストールとポリュデウケース]]は闘技場で敵対するだろう。 [[91>百詩篇第2巻91番]] 日の出に大きな火が見られるだろう、 騒音と閃光を[[アクィロ]]の方へ差し出しつつ。 球形の中で死と叫びが聞かれるだろう。 剣、火、飢餓によって居合わせた人々は死ぬ。 [[92>百詩篇第2巻92番]] 天の金色の火が地上で目撃される。 高みから打たれる。赤子によってなされた驚異の事件。 人類の大虐殺。偉大な者の甥は捕らわれる。 目撃者達の死。高慢な者は逃れる。 [[93>百詩篇第2巻93番]] [[テヴェレ川]]のすぐ近くにリビティナが急迫する。 やや先立って大氾濫が。 舟の長は捕らえられ、淦溝 〔あかみぞ〕 に置かれる。 城と宮殿は大火災に。 94 ポーの大河はガリア人たちのせいで大災厄を受け取るだろう。 空虚な恐怖が海の獅子へと。 尽きせぬ人々が海を渡るだろう。 百万人の四分の一は逃げない。 95 人が住んでいる場所から人がいなくなる、 田野を大々的に分割するために。 諸王国が無能な臆病者たちに引き渡される。 それで偉大な兄弟たちに不和と死が。 96 燃える松明が夕方の空で見られるだろう、 [[ローヌ川]]の源流と河口近くで。 飢餓と剣。救いは遅れて用意される。 ペルシアはマケドニアに侵攻するために戻ってくる。 [[97>百詩篇第2巻97番]] [[ローマ]]の教皇よ、近づくことに御警戒めされよ、 二つの川が流れる都市へは。 そのそばにて御身の血を吐くことになりましょう。 御身とその御仲間は。薔薇が咲くであろう時に。 [[98>百詩篇第2巻98番]] その者の顔に飛び散るだろう、 近くで捧げられた生贄の血が。 ― [[雷鳴を轟かす者>ユピテル]]は獅子宮にて前兆による占いをさせる。 ― (その男は)婚約者のために殺される。 99 占いを解釈し(て区切られ) たローマ人の土地が、 ガリアの民族によって手ひどく襲われるだろう。 しかし、ケルトの民族は恐れるだろう、 ボレアスが艦隊をはるか遠くに押しやってしまう時期を。 100 島々で非常に恐ろしい騒擾が。 戦争に関する喧騒以外は何も聴こえないだろう。 略奪者たちの攻撃があまりにも激しいだろうから、 人々は大同盟に身を寄せることになるだろう。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 第二巻67詩は現在(2016年)のアメリカ大統領選を示しているようで怖い。 -- 小牧 太郎 (2016-02-21 14:57:14) - 第二巻67詩(追加)亡命者とはウィキリークスのアサンジ氏か?ロシアとの友好関係を結び直し海軍の縮小を図る意味なのか。 -- 小牧 太郎 (2016-11-10 16:48:45)
[[第1巻>詩百篇第1巻]]・&bold(){第2巻}・[[第3巻>百詩篇第3巻]]・[[第4巻>百詩篇第4巻]]・[[第5巻>百詩篇第5巻]]・[[第6巻>百詩篇第6巻]]・[[第7巻>百詩篇第7巻]]・[[第8巻>詩百篇第8巻]]・[[第9巻>詩百篇第9巻]]・[[第10巻>詩百篇第10巻]]・[[第11巻>詩百篇第11巻]]・[[第12巻>詩百篇第12巻]]  [[ミシェル・ノストラダムス師の予言集]]の&bold(){詩百篇第2巻}(&bold(){百詩篇第2巻})は、100篇の四行詩で構成されている。補遺篇などは存在しない。[[予言集初版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1555年リヨン)]]に収録されていた。 *翻訳  以下に詩百篇第2巻の全100篇の翻訳を提供する。  詩番号にリンクが貼ってあるものは、別ページに解説を用意してある。リンク先の原文の底本は1555Vである。ただし、&color(red){詩番号の隣の*にリンクが貼ってある場合は、当面、非公開なのでご理解いただきたい。}  訳文はいずれも不断の見直しを必要とする仮訳だが、とりわけ解説を作成していない詩については、今後の詳細な分析の中で、主として採用する訳文が大きく変更される可能性があることを、あらかじめご承知おきいただきたい。  ( )は言葉を補ったもの、〔 〕は難読語の読み、〔= 〕は簡略な語注を指す。 [[1>百詩篇第2巻1番]] アキテーヌの方では、ブリタニアの攻撃のせいで、 そして彼ら自身のせいで、大々的な侵入が(あるだろう)。 雨と霜は不正な耕地を生み出すだろう。 [[スランの港]]は苛烈な侵攻を生じさせるだろう。 [[2>詩百篇第2巻2番]] 青い頭が白い頭になすだろう、 害悪を。フランスが彼らに善をなしたのと同じくらいに。 帆桁〔ほげた〕には死体が、枝には偉人が吊るされる。 臣下の捕虜(の数)がいかほどかを王が語るであろう時に。 [[3>百詩篇第2巻3番]] 海上の太陽の暑さのせいで ネグロポンテの魚が半焼けになる。 住民たちはそれに手をつけに来るだろう。 [[ロードス]]とジェノヴァが彼らへの堅パンを欠くであろう時に。 4[[*>詩百篇第2巻4番]] モナコから[[シチリア>シチリア島]]付近に至るまで、 海辺は荒涼としたままになるだろう。 市外区にも市内区にも町にもないだろう、 [[バルバロイ]]によって掠奪も強奪もされないところは。 [[5>百詩篇第2巻5番]] 鉄器と手紙のせいで投獄された者が 外に出てから、戦争をするであろう時に、 彼の艦隊は多くの櫂で海へと漕ぎ出すだろう、 [[ラティウム]]の大地近くに現われて。 [[6>百詩篇第2巻6番]] 二つの都市の門の近くと市内とで、 決して見られたことがないような二つの災禍があるだろう。 内部で飢餓と[[悪疫]]があり、剣によって外に出された人々は、 不死にして偉大なる神に救いを求めて叫ぶだろう。 7 島流しになった多くの人々の中で、 一人、喉に二本の歯を持つ者が生まれるだろう。 木々が食べつくされ、彼らは餓死するだろう。 彼らのために新たな王が新たな勅令を作る。 [[8>百詩篇第2巻8番]] 聖なる殿堂は[[ローマ]]の当初のやり方で、 粗雑な土台を拒絶するだろう。 最初の人間的な法を手に入れて、 全てではないが聖人崇拝を駆逐しつつ。 [[9>百詩篇第2巻9番]] 九年間、やせた男が王国を平和に保つだろう。 それから、彼はひどく血に渇いた状態に陥り、 彼のせいで多くの人々が、信仰も法もなしに死ぬだろう。 はるかに温厚な人物によって殺される。 [[10>百詩篇第2巻10番]] 遠からずして全てが抑えつけられるだろう。 我々には非常に不吉な世紀が待ち受けるだろう。 顔を隠した者たちと独身者たちの地位はひどく変えられて、 その地位に留まりたい者はほとんどいないだろう。 [[11>百詩篇第2巻11番]] 驢馬引き人の跡取り息子が成り上がるだろう、 強者たちの支配にまで並ぶほどに高く。 その荒々しい栄光を誰もが恐れるだろう。 しかし、その子供たちは王国の外へと追い出される。 12[[*>詩百篇第2巻12番]] 両目が閉じられ、古式ゆかしい夢想に見開かれる。 独身者たちの服装は無価値なものになるだろう。 偉大な君主が懲らしめるだろう、 以前に神殿の財宝に心奪われていた者たちの熱狂を。 [[13>百詩篇第2巻13番]] 魂のない肉体はもはや生贄とはならない。 誕生に転化する死の日。 聖霊は幸いなものにするであろう、 永遠の内にて[[みことば]]を目にする魂を。 [[14>百詩篇第2巻14番]] ジャンの塔に炯眼の歩哨たちがいて、 遠くにやんごとなき貴人を見つけるだろう。 その御方と侍従たちが港に入るだろう、 「悶着を退けよ、至上の権力 (の御成り)である」と。 [[15>百詩篇第2巻15番]] 君主が弑せられるほんの少し前に、 船上にて[[カストールとポリュデウケース]]、長髪の星が(目撃される)。 国庫は海と陸のせいで空ろになるだろう。 [[ピサ]]、[[アスティ]]、[[フェッラーラ]]、[[トリノ]]は禁じられた土地に。 16 [[ナポリ]]、[[パレルモ]]と[[シチリア>シチリア島]]の[[シラクーザ]]では 新しい暴君たちと雷鳴と天の火とが。 ロンドン、[[ヘント]]、ブリュッセル、スーザからの軍隊が、 大規模な[[ヘカトンベ]]をして、勝利し、祝祭を挙行する。 [[17>百詩篇第2巻17番]] [[ウェスタ]]に仕える乙女の神殿がある平原は エルヌからもピレネーの山々からも遠くない。 偉大な導き手は郵便馬車に隠される。 北では河川と交配種のブドウが凍る。 [[18>百詩篇第2巻18番]] 新しく烈しい突然の雨が、 二つの軍隊を不意に妨げるだろう。 石と空と火が石だらけの海を作り出す。 七人の死が海と陸とで突然に。 [[19>百詩篇第2巻19番]] 新参たちが、建物はあるが無防備な場所であり その時点で人のいない場所を占有する。 草地、邸宅、田畑、都市を気の向くままに手に入れる。 [[飢餓、悪疫、戦争>災厄の三要素]]。狭い土地も耕作するには時間がかかる。 20 様々な場所に捕らわれている兄弟姉妹は 君主のそばを通ることに気付くだろう。 その注意深き子供たちは彼らを凝視し、 その顎、額、鼻にある印を見て傷つくだろう。 21 二段櫂船で送られた大使は、 道程の途中で見知らぬ者たちに追い返されるだろう。 かような (勢力の) 増援から四隻の三段櫂船が来るだろう。 ネグロポンテでは (人々は) 綱と鎖で縛られるだろう。 [[22>百詩篇第2巻22番]] アソポスの陣営がエウロタスを発つだろう。 沈んだ島の近くに接すると、 艦隊は帆柱を折るだろう。 世界のへそで、最も偉大な声が仰がれる。 23 宮殿では鳥が鳥に追い払われる。 直後に先入観をいだく君主が、 敵は川の向こうに追い返されていたのに、 外で鳥の羽のついた矢に襲われる。 [[24>百詩篇第2巻24番]] 野獣が空腹のせいで川を泳いで渡る。 軍隊の大部分が[[ヒステル>Hister]]の方に向かい、 偉大な者を鉄の檻の中に入れさせるだろう。 ゲルマニアの子がライン川を監視するであろう時に。 25[[*>詩百篇第2巻25番]] 異国の娘が砦を裏切るだろう、 より高き結婚の希望と口実で。 衛兵は欺かれ、砦は戦いで奪われる。 ロワール、ソーヌ、[[ローヌ>ローヌ川]]、ガロンヌでは死に至る暴力。 26 都市は好意を示すであろう、 戦場ですぐ負けることになり、 その隊列が逃げる大物に。その (好意の) せいでポーはティチーノを引っくり返すだろう。 血が流れ出て死ぬ者たちや、斬撃で溺れ死ぬ者たち。 [[27>百詩篇第2巻27番]] [[みことば]]が空から打たれ、 そこから先のことができなくなるだろう。 啓示するそれの秘密は隠蔽され、 人々はその上を前へと行進するだろう。 [[28>百詩篇第2巻28番]] 予言者の異名をとる最後から二番目の者が、 [[ユピテル]]の日を自分の安息日とするだろう。 譫妄の頭で遠くへと彷徨し、 多くの人々を租税から解放するだろう。 [[29>百詩篇第2巻29番]] 東方の者がその座から出立するだろう、 アッペンニーノ山脈を越えて、ガリアを見るために。 彼は天の水と雪とを突き抜けて、 おのおのをその鞭で打ち据えるだろう。 [[30>百詩篇第2巻30番]] その男はハンニバルの地獄の神々を 生き返らせるであろうところの、人類に恐れられる者である。 かつて存在したどれよりも大きい戦慄とより悪しきかまどが [[バベル>バビロン]]によって[[ローマ]]人たちへとやってくるだろう。 [[31>百詩篇第2巻31番]] カンパーニア地方にて[[カシリヌム>カプア]]は、 野原を覆う大水しか見えないほどだろう。 前にも後にも長いあいだ雨が。 (水面から突き出た)木々を除けば、緑は一切見られないだろう。 [[32>百詩篇第2巻32番]] [[ダルマティア>ダルマチア]]には乳と血と蛙が振り撒かれる。 紛争が始まり、[[バレンネ>Balenne]]近くでは[[悪疫]]が。 [[スクラウォニア>スラヴォーニヤ]]の全域では叫びが大きいだろう、 [[ラヴェンナ]]付近と市内で怪物が生まれるであろう時に。 33 [[ヴェローナ]]から下った奔流によって、 その頃にポー川でその入り口が高くなるだろう。 大規模な難破。ガロンヌ川でも劣らずに。 [[ジェノヴァ]]の人々が故国に行進するであろう時に。 34 激昂した対立による常軌を逸した怒りが、 食卓で兄弟たちに剣を抜かせるだろう。 彼らを引き離そうと注意が向けられる。死者と負傷者。 凄絶な決闘がフランスに害をなすだろう。 [[35>百詩篇第2巻35番]] 二軒の宿屋で夜に火がつくだろう。 中にいた多くが窒息させられ、焼かれる。 それは確かに二つの川の近くで生じるであろう。 太陽(が)、人馬宮と磨羯宮(にある間)、すべてが滅ぼされるだろう。 [[36>百詩篇第2巻36番]] 偉大な預言者の書簡が奪われ、 暴君の手中に届くだろう。 彼らの企てはその王を欺くことだが、 その掠奪がすぐに彼を損ねるだろう。 37 その多くの者たちが派遣されるだろう、 砦で攻囲されている人々を救うために。 [[悪疫]]と飢餓が彼ら全員を貪り食うだろう、 打ち倒される七十人を除けば。 38 あまりにも多くの人々が刑を宣告されるだろう、 君主たちが和解するであろう時に。 しかし、彼らの一人にあまりにも妨害があるので、 一緒に結びつき続けることはほとんどないだろう。 [[39>百詩篇第2巻39番]] ゲルマニア人、ガリア人、スペイン人が砦をめぐって繰り広げる イタリアの紛争の一年前、 共和国の建物である学舎が崩れるだろう。 そこではごくわずかな例外を除き、(人々が)窒息死するだろう。 40 直後、長い中断をはさむことなく、 海と陸とで大きな騒擾が起こされるだろう。 その海戦はあまりにも大きなものとなるだろう。 荒れ狂う炎がいっそう侵掠するだろう。 [[41>百詩篇第2巻41番]] 大きな星が七日間燃えるだろう。 雲が太陽を二つ出現させるだろう。 太ったマスチフ犬が夜通し吠えるだろう、 大祭司が土地を変えるであろう時に。 42 雄鶏たち、犬たち、猫たちは喜ぶだろう、 死体で発見された暴君の血と傷に。 ― (その死体は)他人の寝床で、両手両足を砕かれていた。 ― その暴君は残酷な死に様をも恐れない人物だった。 [[43>百詩篇第2巻43番]] 髪のある星が現れている間、 三人の偉大な君主たちは敵同士になるだろう。 平和は天から打たれ、大地は震える。 ポーとテヴェレは氾濫し、蛇は岸辺に置かれる。 [[44>百詩篇第2巻44番]] 天幕の辺りに止まるその鷲は 別の鳥によってその辺りから追い払われるだろう。 シンバル、[[喇叭>ラッパ]]、鈴の騒々しさが 婦人の感覚を麻痺させるであろう時に。 [[45>百詩篇第2巻45番]] 天は[[アンドロギュノス]]が生まれたことに大いに涙する。 この空 〔=場所〕 の近くで人の血が流される。 あまりにも遅い死によって、偉大な人々は再生される。 遅かれ早かれ期待された救いが来る。 [[46>百詩篇第2巻46番]] 人類の大きな騒擾の後には、より大きな騒擾が控えている。 偉大な原動力が諸世紀を更新する。 雨、血、乳、[[飢餓、鉄、悪疫、>災厄の三要素]] 空で目にされるのは火と、駆け巡る長い火花。 47 老いた大敵は悲嘆に暮れて、毒によって死ぬ。 主権者たちは零細な人々に従わされるだろう。 石つぶてが雨下する。毛並みの中に隠される。 死によって、諸条項が無駄に引き合いに出される。 [[48>百詩篇第2巻48番]] 大軍隊が山々を通り過ぎるだろう。 [[土星>サトゥルヌス]]が人馬宮にあり、[[火星>マルス]]は双魚宮で向きを変える。 鮭の頭に毒が隠される。 そのかしらは荷造り紐で吊るされる。 49 最初の同盟の評議員たちは、 ― 征服者たちがマルタに目がくらんで、 [[ロードス]]と[[ビュザンティオン>イスタンブル]]を彼らのために野ざらしにするから ― 土地を失うだろう。逃走の追跡者たち。 50 [[エノー]]、[[ヘント]]、ブリュッセルの人々は ラングルの前で攻囲戦を見るだろう。 彼らの側面の後ろでは残酷な戦いがあるだろう。 いにしえの災禍は敵よりも厄介だろう。 [[51>百詩篇第2巻51番]] 正義の血はロンドンでは欠けるだろう。 二十三人のうちの六人が雷によって焼かれる。 高齢の貴婦人が高い場所から落ちるだろう。 同じ派の中の多くが殺されるだろう。 [[52>百詩篇第2巻52番]] 何夜もの間、大地が震えるだろう。 春に二度の震動が続くのだ。 [[コリントス]]と[[エフェソス]]は二つの海で泳ぐだろう。 戦争が二人の勇敢な戦士によって惹き起こされる。 [[53>百詩篇第2巻53番]] 海辺の都市の大規模な[[悪疫]]は 死が復讐されることでしか止まらないだろう、 ― 代償として罪なくして咎められた公正な血の(死が)― 偽りによって辱められた偉大な婦人によって。 [[54>百詩篇第2巻54番]] [[ローマ]]人たちから隔たった異邦人によって、 水辺の彼らの大都市はひどく悩まされる。 手のない娘。領土が四分五裂となり、 指導者が捕らわれても、錠前が奪われることはない。 55 戦いであまり価値のなかった貴人が、 最後に素晴らしいことを成し遂げるだろう。 アドリアが自分の欲しいものを見ている間に 宴席で高慢な者を一突きする。 56 [[悪疫]]も剣も仕留められなかった者が 天頂より打たれ、井戸の中で死ぬ。 大修道院長は見るときに死ぬだろう、 難破した人々が岩礁に取り縋ろうとして滅びゆくのを。 57 衝突に先立ち、大きな壁が崩れるだろう。 偉人は死ぬ、突然の悲しまれる死。 五体満足でない誕生。大部分の人が泳ぐだろう。 川の近くで大地は血に染まるだろう。 [[58>百詩篇第2巻58番]] 足も手も持たず、鋭く強い歯を備え、 額に球を持つものが雄豚と雌猪から生まれる。 不誠実な者が門扉の近くへと赴く。 セレネは輝く。小人も大人も連れ去られる。 [[59>百詩篇第2巻59番]] ガリアの艦隊は偉大なる[[ガルド>ラ・ガルド男爵]]の、 偉大なる[[ネプトゥヌス]]の、そしてその三叉戟の兵士たちの支援によって。 プロヴァンスは大軍を援助するために貪られるだろう。 くわえて[[ナルボ・マルティウス>ナルボンヌ]]は投槍や槍によって。 [[60>百詩篇第2巻60番]] フェニキアの信頼が東方で砕かれるだろう。 ガンジス、インダス、[[ローヌ>ローヌ川]]、ロワール、[[テージョ>テージョ川]]は変わるだろう。 雄ラバの飢えが満たされるであろうとき、 艦隊は散らされ、血と体が泳ぐだろう。 [[61>百詩篇第2巻61番]] テムズ川がジロンド川とラ・ロッシェルを増長させる。 おお、[[トロイアの血]]よ! [[マルス]]は[[ラ・フレシュ]]の港に。 その川の裏手で砦に梯子が取りつけられ、 壁の裂け目では火縄銃で多くの死者が。 [[62>百詩篇第2巻62番]] そして[[マビュス>Mabus]]がその時すぐに死ぬと、到来するだろう、 人々と獣たちの恐るべき崩壊が。 そして突然目撃されるだろう、報復と 手無し、渇き、飢餓が。彗星が巡るであろう時に。 63 ガリア人たちは[[アウソニア]]をろくに従属させられないだろう。 ポーとマルヌとセーヌはパルマで虐殺を行うだろう。 (パルマは)彼らに対する大きな壁を打ちたてるだろう。 その壁では、偉人が最下級の者によって命を落とすだろう。 [[64>百詩篇第2巻64番]] [[ジュネーヴ]]の人々は飢えと渇きで干からびるだろう。 近くの希望は消えてしまうだろう。 すぐさま[[ゲベンナ>セヴェンヌ]]の宗教が震えるだろう。 艦隊は大きな港で受け入れられない。 [[65>百詩篇第2巻65番]] 緯度上の北極地方が大規模な破局を [[ヘスペリア]]と[[インスブリア>Insubre]]とを介して生み出すだろう。 船には火、[[悪疫]]と捕囚。 [[メルクリウス]]は人馬宮に。[[サトゥルヌス]]は刈り取るだろう。 66 大きな危険を冒して囚人が逃がれ、 間をおかず貴人が、― 運命が変わって ― 宮殿で民衆に捕らえられるだろう。 吉兆によって都市は攻囲される。 67 金髪は鷲鼻と対決することになるだろう、 決闘によって。そして外に追い出すだろう。 亡命者たちを中に戻してやるだろう、 海の配置を最も強い者たちに委託しつつ。 68 [[アクィロ]]の力は大きいものだろう。 大洋では門が開かれるだろう。 島では王国が元に戻るだろう。 ロンドンは発見された帆のせいで震えるだろう。 69 ガリアの王はケルトの右手によって 偉大な君主国の不和を見ながら、 三方面で王杖を開花させるだろう、 大いなる[[ヒエラルキア]]の袖なし外套に対抗しつつ。 70 天の投槍は拡がりを見せるだろう。 話すことで死ぬ者たちの大規模な処刑。 木に石。尊大な民族が降伏するだろう。 動物的、人間的な怪物。浄化と贖罪。 71 亡命者たちは[[シチリア>シチリア島]]に来るだろう、 異邦人を飢えから解き放つために。 夜明け、ケルト人たちはその異邦人たちにたがえるだろう。 命は残る、国王が理性を保つから。 72 ケルトの軍隊はイタリアで悩まされる、 すべての方向から。紛争と大損害。 ローマ人たちを避けよ、おお、押し返されたガリアよ! ティチーノとルビコンの近くでは不確かな戦闘。 73 ベナクスの湖岸がフーチノ湖に 捕らわれ、[[レマンの>レマン湖]]は[[オグミオス]]の港に(捕らわれる)。 三つの王冠によるエンデュミオンへの 戦争に関する形象を三本腕の誕生が予言する。 74 サンスとオータンからローヌ川まで来るだろう、 ピレネーの山々の方へとさらに行くために。 マルカ・ディ・アンコーナから出た一群は、 海と陸とを通って大々的な旅程で彼らについていくだろう。 [[75>百詩篇第2巻75番]] 異様な鳥の声が聞こえる、 直立する換気用の煙突の上から。 小麦の入ったボワソー枡が余りに高くなるので、 人が人を食べるようになるだろう。 76 雷がブルゴーニュでなすだろう、驚倒すべき かつて火砲でもできなかったことを。 元老院によって香部屋係に任命された跛者が、 敵に事情を知らせるだろう。 77 弓、火のついた松脂、火によって押し返され、 真夜中に叫びと怒号とが聞かれる。 (敵たちは)城壁の崩落部分から中に入り、 裏切り者たちは地下道から逃げる。 [[78>百詩篇第2巻78番]] 海の底からの偉大な[[ネプトゥヌス]](には)、 フェニキアの民族とガリアの血統が混ぜ合わされている。 島々は血に(染まり)、のろまのために漕ぐことは、 下手に隠れた潜伏者以上に彼を害するだろう。 [[79>百詩篇第2巻79番]] 縮れた黒[[鬚髯>barbe]] 〔くろひげ〕 は、計略によって 残酷で高慢な民族を服従させるだろう。 偉大な[[シラン>Chyren]]は不浄な場所から取り去るだろう、 月の旗によって、捕らわれている全ての人々を。 80 衝突の後、被害者の雄弁で しばしの間、見せかけの休戦が企てられる。 貴人たちの釈放はいっさい認められない。 敵たちは時宜にかなって戻される。 [[81>百詩篇第2巻81番]] 天からの火によって都市のほとんどが焼かれる。 宝瓶宮がなおも[[デウカリオン]]を脅かす。 [[サルデーニャ>サルデーニャ島]]はフェニキアの軽量船に悩まされる、 天秤宮がその[[パエトン]]と別れた後に。 82 空腹のせいで、家畜につられた狼が捕まるだろう。 それで侵略者たちは極度の苦境に陥るだろう。 前面に臀部がついて生まれる子供。 それで貴人は騒乱の只中から逃れられない。 83 大いなる[[リヨン]]の大規模な流通が変わり、 大部分が原初の衰微した状態に戻る。 兵たちの虜になり掠奪によって荒らされる、 霧に紛れてジュラ山脈や[[スエビ人]](の土地)の辺りで。 84 カンパーニア、シエーナ、[[フローラ]]、[[トゥスキア]]の間では 六ヶ月と九日、一滴の雨も降らないだろう。 異国語 (の話し手) がダルマティアの地で 全土を荒らしながら駆け巡るだろう。 85 [[鬚髯>barbe]] 〔ひげ〕 の長い老人が厳しい命令のもとで [[リヨン]]でケルトの鷲を凌駕するだろう。 小人と大人はそれ以上に辛抱するだろう。 空では武器の音が。リグリアの赤き海。 86 アドリア海の近くで艦隊が難破。 大地が空中に動かされ、地表に戻される。 エジプトは[[ムハンマド]]主義者の増大に震える。 叫んで降伏するための伝令官が任命される。 87 その後、最果ての諸地方から来るであろう、 ゲルマニアの君主が黄金の玉座へと。 隷属は彼の忠臣たちの内で出くわすことになる。 臣従する婦人、彼女の時代はもはや続かなかった。 [[88>百詩篇第2巻88番]] その偉人の行軍は破滅的な事柄になる。 第五番目の者の第七番目の名は 三分の一だけ偉大だろう。好戦的な異邦人は 破城槌を[[ルテティア]]にもエクスにも振るわずにはいないだろう。 [[89>百詩篇第2巻89番]] 二人の偉大な指揮官たちが軛 〔くびき〕 から解放され、 彼らの偉大な権力が増大するのが見られるだろう。 新しい土地は、彼らの高貴な部屋で、 血まみれの男へとその数字が語られるだろう。 [[90>百詩篇第2巻90番]] 生と死によってハンガリーの王国は変えられ、 法は奉仕よりも過酷なものとなるだろう。 彼らの大都市は悲鳴、嘆き、叫びに包まれる。 [[カストールとポリュデウケース]]は闘技場で敵対するだろう。 [[91>百詩篇第2巻91番]] 日の出に大きな火が見られるだろう、 騒音と閃光を[[アクィロ]]の方へ差し出しつつ。 球形の中で死と叫びが聞かれるだろう。 剣、火、飢餓によって居合わせた人々は死ぬ。 [[92>百詩篇第2巻92番]] 天の金色の火が地上で目撃される。 高みから打たれる。赤子によってなされた驚異の事件。 人類の大虐殺。偉大な者の甥は捕らわれる。 目撃者達の死。高慢な者は逃れる。 [[93>百詩篇第2巻93番]] [[テヴェレ川]]のすぐ近くにリビティナが急迫する。 やや先立って大氾濫が。 舟の長は捕らえられ、淦溝 〔あかみぞ〕 に置かれる。 城と宮殿は大火災に。 94 ポーの大河はガリア人たちのせいで大災厄を受け取るだろう。 空虚な恐怖が海の獅子へと。 尽きせぬ人々が海を渡るだろう。 百万人の四分の一は逃げない。 95 人が住んでいる場所から人がいなくなる、 田野を大々的に分割するために。 諸王国が無能な臆病者たちに引き渡される。 それで偉大な兄弟たちに不和と死が。 96 燃える松明が夕方の空で見られるだろう、 [[ローヌ川]]の源流と河口近くで。 飢餓と剣。救いは遅れて用意される。 ペルシアはマケドニアに侵攻するために戻ってくる。 [[97>百詩篇第2巻97番]] [[ローマ]]の教皇よ、近づくことに御警戒めされよ、 二つの川が流れる都市へは。 そのそばにて御身の血を吐くことになりましょう。 御身とその御仲間は。薔薇が咲くであろう時に。 [[98>百詩篇第2巻98番]] その者の顔に飛び散るだろう、 近くで捧げられた生贄の血が。 ― [[雷鳴を轟かす者>ユピテル]]は獅子宮にて前兆による占いをさせる。 ― (その男は)婚約者のために殺される。 99 占いを解釈し(て区切られ) たローマ人の土地が、 ガリアの民族によって手ひどく襲われるだろう。 しかし、ケルトの民族は恐れるだろう、 ボレアスが艦隊をはるか遠くに押しやってしまう時期を。 100 島々で非常に恐ろしい騒擾が。 戦争に関する喧騒以外は何も聴こえないだろう。 略奪者たちの攻撃があまりにも激しいだろうから、 人々は大同盟に身を寄せることになるだろう。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 第二巻67詩は現在(2016年)のアメリカ大統領選を示しているようで怖い。 -- 小牧 太郎 (2016-02-21 14:57:14) - 第二巻67詩(追加)亡命者とはウィキリークスのアサンジ氏か?ロシアとの友好関係を結び直し海軍の縮小を図る意味なのか。 -- 小牧 太郎 (2016-11-10 16:48:45)

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