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&bold(){Anglique} は、意味の推定に2つの説がある単語。
*意味
**イングランド説
まずは、Angles(アングル人;アングロ・サクソンの部族の一つ)の派生語として、[[イングランド]]あるいはイギリスと結び付ける説である。
イングランドは「アングル人の土地」の意味であり、フランス語名Angleterreも同じ意味である。
この読み方は[[D.D.]](1715年)が最初だったようだが、[[チャールズ・ウォード]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]らの信奉者に引き継がれた。
現代の実証的な論者でも、[[ピーター・ラメジャラー]]がこの読み方を支持している((Lemesurier [2003b]))。
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&color(gray){【画像】桜井俊彰『イングランド王国前史―アングロサクソン七王国物語』}
この読み方の派生として、[[エドガー・レオニ]]や[[ジャン=ポール・クレベール]]による、Anglican(イングランド国教会の)と捉える読み方がある((Leoni [1961/1982], Clébert [2003]))。
Anglican と捉えるのは[[ミシェル・デュフレーヌ]]も同じだが、彼の場合、それを「イギリス国籍を持つ」の意味に理解している((Dufresne [1989]))。
**天使説
イングランド説などと明らかに異なるのが、「天使の」という意味に解する場合である。
[[マリニー・ローズ]]はフランス語で古くは天使 (ange) を Angle とも綴ったことから、その形容詞として「天使の」という意味としている((Rose [2002c]))。
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&color(gray){【画像】Howard Hibbard, &italic(){Bernini} (Pelican S.)}
エドモン・ユゲの『16世紀フランス語辞典』には、この語の副詞形と思われるAnglicquementという語が登場しており、用例としてラブレーの『パンタグリュエル』(第二の書)第11章の以下の箇所が挙げられている。
-Par bien soy bassiner anglicquement
この個所は日本では以下のように訳されている。
-天使のようにしっぽり体を濡して([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第二之書パンタグリュエル物語』岩波文庫、1973年、p.95))
-ただただ天使のように身体をば濡らして(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『パンタグリュエル』ちくま文庫、2006年、p.151))
天使のように体を濡らす、というのは意味が分からないかもしれないが、もともとこの11章は支離滅裂な弁論の場面であるので((渡辺、上掲書、p.285;宮下、上掲書、p.149))、深入りする意味はない。
ただ、このような同時代の用例を踏まえれば、「天使の」と訳すことにも一定の説得力はあるように思われる。
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&color(gray){【画像】宮下志朗訳『パンタグリュエル(ガルガンチュアとパンタグリュエル2)』}
*登場箇所
-[[詩百篇第10巻42番]]
-[[詩百篇第10巻56番]]
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※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
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&bold(){コメントらん}
以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。
なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。
- ペルチエが「天使」と解釈していて萎えた。 -- とある信奉者 (2010-09-05 01:12:04)
&bold(){Anglique} は、意味の推定に2つの説がある単語。
*意味
**イングランド説
まずは、Angles(アングル人;アングロ・サクソンの部族の一つ)の派生語として、[[イングランド]]あるいはイギリスと結び付ける説である。
イングランドは「アングル人の土地」の意味であり、フランス語名Angleterreも同じ意味である。
この読み方は[[D.D.]](1715年)が最初だったようだが、[[チャールズ・ウォード]]、[[ジェイムズ・レイヴァー]]らの信奉者に引き継がれた。
現代の実証的な論者でも、[[ピーター・ラメジャラー]]がこの読み方を支持している((Lemesurier [2003b]))。
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&color(gray){【画像】桜井俊彰『イングランド王国前史―アングロサクソン七王国物語』}
この読み方の派生として、[[エドガー・レオニ]]や[[ジャン=ポール・クレベール]]による、Anglican(イングランド国教会の)と捉える読み方がある((Leoni [1961/1982], Clébert [2003]))。
Anglican と捉えるのは[[ミシェル・デュフレーヌ]]も同じだが、彼の場合、それを「イギリス国籍を持つ」の意味に理解している((Dufresne [1989]))。
**天使説
イングランド説などと明らかに異なるのが、「天使の」という意味に解する場合である。
[[マリニー・ローズ]]はフランス語で古くは天使 (ange) を Angle とも綴ったことから、その形容詞として「天使の」という意味としている((Rose [2002c]))。
#amazon(0140207015)
&color(gray){【画像】Howard Hibbard, &italic(){Bernini} (Pelican S.)}
エドモン・ユゲの『16世紀フランス語辞典』には、この語の副詞形と思われるAnglicquementという語が登場しており、用例としてラブレーの『パンタグリュエル』(第二の書)第11章の以下の箇所が挙げられている。
-Par bien soy bassiner anglicquement
この個所は日本では以下のように訳されている。
-天使のようにしっぽり体を濡して([[渡辺一夫]]訳)((渡辺一夫訳『第二之書パンタグリュエル物語』岩波文庫、1973年、p.95))
-ただただ天使のように身体をば濡らして(宮下志朗訳)((宮下志朗訳『パンタグリュエル』ちくま文庫、2006年、p.151))
天使のように体を濡らす、というのは意味が分からないかもしれないが、もともとこの11章は支離滅裂な弁論の場面であるので((渡辺、上掲書、p.285;宮下、上掲書、p.149))、深入りする意味はない。
ただ、このような同時代の用例を踏まえれば、「天使の」と訳すことにも一定の説得力はあるように思われる。
*登場箇所
-[[詩百篇第10巻42番]]
-[[詩百篇第10巻56番]]
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&bold(){コメントらん}
以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。
なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。
- ペルチエが「天使」と解釈していて萎えた。 -- とある信奉者 (2010-09-05 01:12:04)