百詩篇第2巻41番

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*原文 La grand'&sup(){1} estoile&sup(){2} par sept iours&sup(){3} bruslera, Nuée&sup(){4} fera deux soleils&sup(){5} apparoir&sup(){6}: Le gros mastin toute nuict hurlera&sup(){7} Quand&sup(){8} grand&sup(){9} pontife&sup(){10} changera de terroir&sup(){11}. **異文 (1) grand' : grand 1588-89 1605 1611 1627 1628 1649Xa 1653 1665, &u(){grand,} 1649Ca 1650Le 1668, grande 1660 1712Guy (2) estoile : Estoille 1672 1712Guy (3) iours : iour 1627 (4) Nuée : Nuict 1557B 1589PV, Nuë 1649Ca 1650Le 1668, Nuec 1716 (5) soleils : soleil 1568A 1590Ro, Soleils 1627 1644 1649Ca 1650Le 1653 1665 1668 1672 1712Guy (6) apparoir : apparoit 1600, s'apparoir 1589PV (7) hurlera : burlera 1557U (8) Quand : Qu'un 1557B (9) grand : Grand 1712Guy (10) pontife : Pontife 1588-89 1644 1650Ri 1653 1668P 1672 1716 1772Ri, Poutife 1665, Pontif 1712Guy (11) de terroir : terroir 1589Me (注記)1712Guy は[[バルタザール・ギノー]]による異文。 *日本語訳 大きな星が七日間燃えるだろう。 雲が太陽を二つ出現させるだろう。 太ったマスチフ犬が夜通し吠えるだろう、 大祭司が土地を変えるであろう時に。 **訳について  山根訳も大乗訳もほとんど問題ない。  彼らが訳しているように4行目 pontife は通常ならば「教皇」(法王)と訳すべきだが、ここでは「祭司」と訳した。白水社の『仏和大辞典』などにもあるように、この語はもともと古代ローマの神職に由来する語であり、「祭司」と訳すことはおかしなものではない。また、中期フランス語でも認められている用法である((cf. DMF))。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、4行目にある偉大な教皇が国を変えるときに起こる驚異が、最初の三行に語られているとしている((Garencieres [1672]))。  [[バルタザール・ギノー]]は、ローマ教皇庁とキリスト教国の君主たちの分断が予言されており、教皇がローマ以外の場所に住むことになると解釈した((Guynaud [1712] p.216))。  [[エリカ・チータム]]は、1行目を1986年のハレー彗星と理解し、「7日」は「7年」の比喩とした。それによって、この詩は1993年に第三次世界大戦が起こると予言したものだと解釈していた((Cheetham [1990]))。  解釈の内容は全く異なるが、[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]も第三次世界大戦の一幕と解釈していた((Fontbrune [1980/1982]))。  [[原秀人]]や[[飛鳥昭雄]]は、将来の中国軍の侵攻によってローマ教皇がバチカンから避難することになると解釈した((チータム [1988], あすかあきお『ノストラダムスの大真実・完全版』))。また、飛鳥は木星には固い地殻があり、大赤斑は超巨大火山だと主張しており、この詩の「二つの太陽」は、大赤斑から噴出されることになる新しい天体が地上で目撃されることと解釈した((飛鳥『アスカ・ファイルIV』1998年、p.306))。 *同時代的な視点  ここで語られているモチーフは、いずれもユリウス・カエサル暗殺直後について[[ユリウス・オブセクエンス]]が語っていることとほぼ一致している。  オブセクエンスは、その時に「彗星が七日間輝いたこと」「三つの太陽が現れたこと」「最高神祇官のレピドゥスの邸宅の前で犬が吠えたこと」を語っている。レピドゥスはカエサルの死後、彼の邸宅に移っている。  なお、太陽が複数現れるというモチーフはプリニウスなども含め古来繰り返し語られていたものであり、その原因を雲に求める言説は、ノストラダムスと同時代の[[ピエール・ボエスチュオー]]の『驚倒すべき物語』(1560年)などにも見出すことが出来る。  以上は、[[ピエール・ブランダムール]]の読み方であり、[[高田勇]]・[[伊藤進]]も支持している((Brind'Amour[1996] pp.250-253, 高田・伊藤[1999] pp.153-156))。また、[[ピーター・ラメジャラー]]も基本線は同一である((Lemesurier [2003b]))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は1527年10月に血の色をした彗星が数日間目撃され、人々を恐怖させたことと関連付けている。この年には晴天に三つの太陽が現れるという驚異が記録されたことや、同じ年のローマ略奪の際に教皇がオルヴィエートに避難したことなどが描写されているとする((Prévost [1999] p.126))。 ---- &bold(){コメントらん} 以下のコメント欄は[[コメントの著作権および削除基準>著作権について]]を了解の上でご使用ください。なお、当「大事典」としては、以下に投稿されたコメントの信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。 - 近況が符合?appariorとterroirを合成するとpatriot(パトリオット迎撃ミサイル) -- 星野光輝 (2017-06-03 08:32:27) #comment
*原文 La grand'&sup(){1} estoile&sup(){2} par sept iours&sup(){3} bruslera, Nuée&sup(){4} fera deux soleils&sup(){5} apparoir&sup(){6}: Le gros mastin toute nuict hurlera&sup(){7} Quand&sup(){8} grand&sup(){9} pontife&sup(){10} changera de terroir&sup(){11}. **異文 (1) grand' : grand 1588-89 1605 1611 1627 1628 1649Xa 1653 1665, &u(){grand,} 1649Ca 1650Le 1668, grande 1660 1712Guy (2) estoile : Estoille 1672 1712Guy (3) iours : iour 1627 (4) Nuée : Nuict 1557B 1589PV, Nuë 1649Ca 1650Le 1668, Nuec 1716 (5) soleils : soleil 1568A 1590Ro, Soleils 1627 1644 1649Ca 1650Le 1653 1665 1668 1672 1712Guy (6) apparoir : apparoit 1600, s'apparoir 1589PV (7) hurlera : burlera 1557U (8) Quand : Qu'un 1557B (9) grand : Grand 1712Guy (10) pontife : Pontife 1588-89 1644 1650Ri 1653 1668P 1672 1716 1772Ri, Poutife 1665, Pontif 1712Guy (11) de terroir : terroir 1589Me (注記)1712Guy は[[バルタザール・ギノー]]による異文。 *日本語訳 大きな星が七日間燃えるだろう。 雲が太陽を二つ出現させるだろう。 太ったマスチフ犬が夜通し吠えるだろう、 大祭司が土地を変えるであろう時に。 **訳について  山根訳も大乗訳もほとんど問題ない。  彼らが訳しているように4行目 pontife は通常ならば「教皇」(法王)と訳すべきだが、ここでは「祭司」と訳した。白水社の『仏和大辞典』などにもあるように、この語はもともと古代ローマの神職に由来する語であり、「祭司」と訳すことはおかしなものではない。また、中期フランス語でも認められている用法である((cf. DMF))。 *信奉者側の見解  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、4行目にある偉大な教皇が国を変えるときに起こる驚異が、最初の三行に語られているとしている((Garencieres [1672]))。  [[バルタザール・ギノー]]は、ローマ教皇庁とキリスト教国の君主たちの分断が予言されており、教皇がローマ以外の場所に住むことになると解釈した((Guynaud [1712] p.216))。  [[エリカ・チータム]]は、1行目を1986年のハレー彗星と理解し、「7日」は「7年」の比喩とした。それによって、この詩は1993年に第三次世界大戦が起こると予言したものだと解釈していた((Cheetham [1990]))。  解釈の内容は全く異なるが、[[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]も第三次世界大戦の一幕と解釈していた((Fontbrune [1980/1982]))。  [[原秀人]]や[[飛鳥昭雄]]は、将来の中国軍の侵攻によってローマ教皇がバチカンから避難することになると解釈した((チータム [1988], あすかあきお『ノストラダムスの大真実・完全版』))。また、飛鳥は木星には固い地殻があり、大赤斑は超巨大火山だと主張しており、この詩の「二つの太陽」は、大赤斑から噴出されることになる新しい天体が地上で目撃されることと解釈した((飛鳥『アスカ・ファイルIV』1998年、p.306))。 *同時代的な視点  ここで語られているモチーフは、いずれもユリウス・カエサル暗殺直後について[[ユリウス・オブセクエンス]]が語っていることとほぼ一致している。  オブセクエンスは、その時に「彗星が七日間輝いたこと」「三つの太陽が現れたこと」「最高神祇官のレピドゥスの邸宅の前で犬が吠えたこと」を語っている。レピドゥスはカエサルの死後、彼の邸宅に移っている。  なお、太陽が複数現れるというモチーフはプリニウスなども含め古来繰り返し語られていたものであり、その原因を雲に求める言説は、ノストラダムスと同時代の[[ピエール・ボエスチュオー]]の『驚倒すべき物語』(1560年)などにも見出すことが出来る。  以上は、[[ピエール・ブランダムール]]の読み方であり、[[高田勇]]・[[伊藤進]]も支持している((Brind'Amour[1996] pp.250-253, 高田・伊藤[1999] pp.153-156))。また、[[ピーター・ラメジャラー]]も基本線は同一である((Lemesurier [2003b]))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は1527年10月に血の色をした彗星が数日間目撃され、人々を恐怖させたことと関連付けている。この年には晴天に三つの太陽が現れるという驚異が記録されたことや、同じ年のローマ略奪の際に教皇がオルヴィエートに避難したことなどが描写されているとする((Prévost [1999] p.126))。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 近況が符合?appariorとterroirを合成するとpatriot(パトリオット迎撃ミサイル) -- 星野光輝 (2017-06-03 08:32:27)

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