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「&bold(){この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言}」(Prédictions Admirables pour les ans courant en ce siècle)は、[[1605年版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1605年)]]で初めて登場した詩集である。
1605年版を偽年代版とみなす論者は、[[1611年のピエール・シュヴィヨ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・シュヴィヨ、1611年)]]を初出と見なしている。
四行詩で構成される[[詩百篇集]]や[[予兆詩集]]と異なり六行詩58篇で構成されていることから、その詩形に基づき単に「&bold(){六行詩集}」(シザン、Les Sixains / Sizains)と呼ばれることが多い。
*概要
**表題と献辞
表題と献辞については[[六行詩集の表題と献辞]]を参照のこと。
**来歴
六行詩集に当初添えられていた献辞によれば、[[ノストラダムスの甥]]に当たる[[アンリ・ノストラダムス]]が保管していたものであるという。しかし、甥どころか孫などまで含めても「アンリ」という名の血族の存在は確認されていない。
また、ノストラダムスの親族にはメルキオール・ド・スヴァないしメルキオール・セーヴという人物はいたものの、[[ヴァンサン・セーヴ]]との接点は不明である。郷土史家ジャン・ロシュは、ヴァンサン・セーヴがノストラダムスと「親戚関係にある」(apparenté)とし、ノストラダムスは「義父」(beau-père)だとしているが((Vincent Sève, La Fondation de la ville de Beaucaire, 1995, pp.2,76))、史料上の根拠は示されていない。ノストラダムスの娘[[アンヌ>アンヌ・ド・ノートルダム]]の夫ピエール・ド・スヴァから見れば、確かにノストラダムスは義父に当たるが、関連性はよく分からない。
他方で[[ダニエル・ルソ]]の指摘により、フランス国立図書館にこのオリジナルと思われる六行詩54篇からなる、ボーケールのヴァンサン・オカーヌないしオケール(Vincent Aucane ou Aucaire de Beaucaire)名義の草稿「[[1600年からの世紀のためのミシェル・ノストラダムス師の予言>Predictions de Me Michel Nostradamus pour le siecle de l'an 1600]]」があることが知られている。ただし、こちらの人物について、他の史料はまったくない。
フランス国立図書館には、六行詩集を盗用した[[ノエル=レオン・モルガール]]による『[[ノエル・レオン・モルガール師の予言集>Propheties de Maistre Noel Leon Morgard]]』も現存する。
また、17世紀のいくつかの証言では、本来の六行詩集は全132篇だったことになるが、およそ信じがたい。それについては記事「[[六行詩132篇説]]」を参照のこと。
**手稿との違い
上で述べたヴァンサン・オカーヌの手稿は54篇しかない。現在流布しているものに比べると、[[11番>六行詩11番]]、[[12番>六行詩12番]]、[[14番>六行詩14番]]、[[27番>六行詩27番]]が欠けているのである。
うち11、12、14番には1605年以前の年代が記されており、[[ロベール・ブナズラ]]は明らかに1605年に追加されたものであろうとしていた((Benazra [1990] p.163))。
つまりは、すでに過去になった出来事を追加することで、権威付けすることを狙った可能性が疑われる。27番はそれらと異質であり、何のために追加したのかよく分からない。
結果的に58篇になっていることについては、[[詩百篇第7巻>百詩篇第7巻]]が42篇で終わったことを補完する意図であったと考えられている。この点、[[エドガー・レオニ]]、[[ロベール・ブナズラ]]、[[ジャック・アルブロン]]、[[パトリス・ギナール]]が一致している((Leoni [1961], Benazra [1990], Halbronn [2002] p.141, Guinard [2008a] p.117))。
この点、立場を問わずに一致しているが、仮にこの認識が正しいとすれば、初出が1605年版であれ1611年シュヴィヨ版であれ、58篇にまとめた人物は、出版した人物と別人ということになる。
なぜならば、1605年版の第7巻は46篇、1611年のは47篇で、それぞれ補遺篇を含んでいて、58篇に揃えようという意図と一致していないからである(シュヴィヨ版には第7巻が39篇しかないバージョンもあるが、揃える意図と一致しない点では同じである)。
**「詩百篇第11巻」
1605年版は詩百篇(第11巻・第12巻の補遺篇を含む)、予兆詩集、六行詩集の順に収録しており、六行詩集は詩百篇と明確に分けていた。
これに対し、1611年シュヴィヨ版では、六行詩は「[[詩百篇第11巻]]」と位置づけられ、詩百篇第10巻と、四行詩による第11巻・第12巻の間に収録されている(予兆詩集は収録されていない)。
しかし、六行詩集がノストラダムスに由来すること自体がほぼありえない以上、もちろんノストラダムスがそのように位置づけていたとは思えない。
なお、1605年版の収録法は1628年ごろのピエール・デュ・リュオー版に引き継がれるが、仮に1605年版が偽版の場合、初出であるシュヴィヨ版がいきなり第11巻として位置づけていたのに、デュ・リュオー版がわざわざその分類を無視して、大幅に構成を組み替えたことになる。
別に存在していた文書がまず別扱いで収録され、後で詩百篇へと再構成された版が出たと理解する方が自然に思われるが、1605年版が偽版の場合は、逆に詩百篇に組み込まれた状態しか知らないはずのデュ・リュオーが大幅な再構成を行い、それにあわせて書式を整えたことになる(もしくはシュヴィヨとは独立に、シュヴィヨが使ったのとほぼ同じ素材を使って一から構成したか)。
**真作か偽作か
[[五島勉]]は1950年代に発見されたと述べていたが((五島『ノストラダムスの大予言・中東編』p.155))、もちろん事実ではない。
17世紀初頭の初登場以降多くの版で引き写されており、失われていた時期など存在しない(厳密に言えば、18世紀には六行詩を収録した版はほとんど出されなかったが、それは『予言集』の版自体が少なかったことと、六行詩登場以前の版を底本とする業者が何人か現れたせいである)。
[[アナトール・ル・ペルチエ]]は信奉者であり、なおかつ六行詩もいくつか解釈していたものの、ノストラダムス自身の作かどうかには慎重な見方も示していた。[[ジェイムズ・レイヴァー]]や[[シャルル・レノー=プランス]]らも同様の立場であった。
懐疑派の[[エドガー・レオニ]]は偽物と断定しており、信奉者の[[ジョン・ホーグ]]もその見解を踏襲している。
来歴に疑惑がある点、他のノストラダムスの詩とは文体が違う点、事後予言と思われるものが混じっている点などからすれば、偽作であろうことはほぼ疑いない。
[[マリニー・ローズ]]のように真筆扱いしている論者もいないわけではないが、無批判に受け入れることは慎むべきだろう。
*本編の全訳
詩番号にリンクがあるものは別ページで解説がなされている。解説ページに掲載された原文の底本は1605snである。
凡例については[[原文比較の凡例 (六行詩)]]を参照のこと。
なお、各解説ページの項目のうち、偽作説に立つ「同時代的な視点」の節は、実証的な見解の蓄積がほとんどないことから、多くは当「大事典」の独自見解である。
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ノストラダムス師の他の予言集
この世紀のいずれかの年に向けて
[[1>六行詩1番]]
新たな世紀、新たな結びつき
揺り籠に置かれた侯国
それを奪い去るであろう二人のうちのより強い方へと
(その二人とは)片や大公、片や王。フィレンツェのガレー船、
マルセイユの港、フランスの乙女
カトリーヌの主要な要塞を、人々は取り壊すだろう
[[2>六行詩2番]]
どれほど多くの金銀を費やさせるのだろうか、
伯爵が都市を手に入れようとする時には。
何千という兵士たちが
そこで何もしないまま殺され、溺死させられる。
より強い土地に足を踏み入れて、
ピュグマイオイは監察官たちに助けられる。
[[3>六行詩3番]]
都市は上も下もなく
掻き乱されるだろう。一千発の
砲弾によって。地下の要塞群。
全てが元通りになるには五年かかるだろう。
そして、その敵たちに開放される。
戦争の後で水が彼らに為すだろう。
[[4>六行詩4番]]
環の中から、百合の中から、とても偉大な王子が生まれるだろう。
遅かれ早かれ彼の故郷に来る。
天秤宮に土星があり興となる一方、
金星のある宮は力を失う。
それに続いて、婦人と男性は樹皮の下へ、
ブルボン家の幸いなる血筋を維持するために。
[[5>六行詩5番]]
それは公国が
大きな苦悩によって保つことになるものである。
ついには彼らは大軍隊を目撃するだろう、
非常に危険な火の攻撃を通じて。
協定によって、より良いことが為せるだろう。
さもなくば、オレンジの搾り汁を飲むだろう。
[[6>六行詩6番]]
ロバンの卑劣な企てが
領主たちと偉大な君主に痛手を与えるであろう時、
ラ・ファンによって知られ、彼の頭は斬り落とされるだろう。
羽が風に舞い、スペインで受け入れられた者。
伝書使は田野にあるときに罠にかけられる。
そして代書人は水に投げ込まれるだろう。
[[7>六行詩7番]]
蛭が狼に加担するだろう、
海で小麦が不足するであろう時に。
しかし欲のない偉大な君主は、
大使館を通じて彼に贈るだろう、
彼を生かすための小麦を。
欲求に応じてそれを用意するだろう。
[[8>六行詩8番]]
交易が開かれる少し前に、
大使がペルシアから来るだろう、
自由の国に報告をもたらすために。
しかし受け入れられず、希望は空回り。
彼の大神への不敬があるだろう、
それを棄てたいかのように装いつつの。
[[9>六行詩9番]]
オーヴェルニュの側からの二つの軍旗は、
左が取られ、一時の間、監獄が支配する。
そして婦人は子供たちを連れて行きたいと思うだろう、
監察官の方へ。しかし、厄介事が露わになる。
死の危険が地上でざわめく。
血の繋がった兄弟姉妹はバスチーユに投獄される。
[[10>六行詩10番]]
婦人のための大使は、
その船で櫂を置くだろう、
偉大な医師に祈るために。
(その医師は)そんな痛みを取り除いてくれる。
しかし、王妃はそのことに反対するだろう。
その終わりを見る前の大きな痛み。
[[11>六行詩11番]]
この世紀の間に人々は見るだろう。二つの渓流が
その水によってある地方全体を水浸しにするのを。
そして渓流や泉によって沈むのは
コン、モンフラン、ブコワラン、アレスで、
ガルドン川によってとても頻繁に苦労させられる。
六百と四、別れた者たちと三十人の修道士たち。
[[12>六行詩12番]]
六百と五、とても大きなニュース。
二人の領主の大喧嘩が
[[ジェヴォーダン]]近くで起こるだろう。
寄付の後の教会では、
殺人が犯される。司祭は請願し、
恐怖で身震いしつつ逃走するだろう。
[[13>六行詩13番]]
危険を冒す者は、六百と六ないし九に、
卵に入った苦味に不意を打たれ、
ほどなくして力を揮えなくなるだろう。
強大な皇帝にして将軍で、
世界に比肩する者も互角の者もなく、
誰もが恭順の意を示す者によって。
[[14>六行詩14番]]
大攻囲にて、なおも大重罪を、
彼らはかつてないほどに繰り返すから、
六百と五、緑野にて、
占領と奪還があるだろう、
戦場の兵士達が凍えるまで。
それから後に(占領と奪還が)再開するだろう。
[[15>六行詩15番]]
新しく選ばれた大きな船の船長は、
長い間、明るい松明が輝くのを見るだろう。
それはその偉大な領土でランプの代わりに使われる。
そしてその時に、その名の下に集う軍隊は、
ブルボンの幸いなる者の軍隊と合流させられる。
日の出の方角にも大西洋にも日の入りの方角にもその記憶が。
[[16>六行詩16番]]
六百と五の十月に、
海の怪物を提供する者が、
至上の者から聖油を受け取るだろう。
あるいは六百と六の六月に、
偉人たちと庶民への大きな喜びや
大きな諸事件がその大いなる洗礼の後にある。
[[17>六行詩17番]]
さる偉人が同時に受け入れるだろう、
喜びと不健康を。その年が終わるのを見届けないだろう。
そして何人かの者たちが祝祭に参加するだろう、
その日、ただ一人のための祝祭に。
しかし、長くとどまることなしにその後間もなく、
両者が互いに頭をぶつけ合うだろう。
[[18>六行詩18番]]
悲しき[[ピロメラ]]が
その涙と叫びで苦痛を新たにし、
そうした手段で日々を短くしていくことにより、
六百と五、彼女はその出口を見るだろう。
その責め苦から、布はすでに織り上げられた。
その不吉な方法により、彼女は救いを得るだろう。
[[19>六行詩19番]]
六百と五、六百と六と七、
我々に対して十七の年まで示すだろう。
火付け役の怒り、憎悪、羨望は、
オリーヴの木の下に十分に長い間隠される。
ワニは地面に隠した。
死んでいた者がそのときに生き返るだろう。
[[20>六行詩20番]]
その者は何度も
籠を持ち、次いで木々を持った。
彼は最初の状態に戻っている。
安全な命が程なくして出発し、
知るべきこともまだ分からないまま、
死すべき臣民を探すだろう。
[[21>六行詩21番]]
諸悪を生み出す者が支配し始めるだろう、
六百と七の年に、例外を設けることなく、
蛭に従っている臣民たち全てを。
ほどなくして、徐々にやって来るだろう、
自由の国に再び火を灯すべく、
蛭が生まれた場所から戻って来つつ。
[[22>六行詩22番]]
その者は事件を暴きつつ語るだろう、
その死者によって、死がどのようにして上首尾に、
彼らが誘導した一人による短剣の一撃を生み出せるのかを。
その結末は彼がさせていたことよりも悪くなるだろう。
終わりが人々を導く、
昼も夜も至る所で見張られているその土地で。
[[23>六行詩23番]]
自由の国の大きな船体、舳先、舵、
そしてその生命の真髄が、
暗礁と波とで海に揺さぶられる時、
六百と七、そして十、心臓部が攻囲され、
胴体の衰えに悩まされるだろう。
その生命はこの災禍の上で更新される。
[[24>六行詩24番]]
その雄弁な者はあまり長命ではない。
六百と八と二十、大きな病。
その上、火と水の一層悪い危うさ。
彼の偉大な友人はそのとき彼に敵対するだろう。
そういう危険によってきちんと思いとどまれればよいのだが、
すぐに鉄が彼に墓を作るだろう。
[[25>六行詩25番]]
六百と六、六百と九、
牡牛のように大きく、
この世の[[フェニックス]]のように年老いた大法官は、
その領地ではもはや輝かず、
忘却の船で行くだろう、
エリュシオンの野へと巡視のために。
[[26>六行詩26番]]
二人の兄弟が聖職者の位階に属している。
その一人がフランスのために槍を手にするだろう。
もう一度、もしも六百と六の年に
大病に襲われることがなければ、
六百と十までその手に武器はあるが、
その生命がさらに延びることはほとんどない。
[[27>六行詩27番]]
天の火が西側から、
そして南方から日の出の方角へとめぐる。
虫たちは木の根も見つけられずに半死の状態。
第三の時代、好戦的な[[マルス]]へと、
火が柘榴石のように輝くのが目撃されるだろう。
柘榴石の時代、そして最後に飢餓。
[[28>六行詩28番]]
千六百と九ないし十四の年、
老いた[[カロン]]は四旬節に復活祭を行うだろう。
六百と六、それを書きとめておくだろう。
医師はそのことにすっかり驚く。
同時に個人で召喚されるが
彼らのうち一人が確実に出頭するだろう。
[[29>六行詩29番]]
[[グリフィン]]が準備しているのかもしれない、
敵に抵抗し、
まさにその軍備を増強するために。
他方、象が来るだろう。
それは近づくや彼を急襲するだろう。
六百と八、海が燃やされる。
[[30>六行詩30番]]
間もなく大病を治す医師と、
序列も地位も不釣合いな蛭が、
オリーヴの枝に火をつけるだろう。
伝書使はどちらの側も巡り、
そして、そんな火が彼らの帝国に近づく、
自由な者の終わった議論を再燃させつつ。
[[31>六行詩31番]]
その者はそれらの危険に打ち勝った者で、
鉄にも火にも水にも決して怯えることがなかった。
そして[[バザークル>Basacle]]にとても近い地方からの
鉄器の一撃に皆が驚かされる。
奇妙にもワニによって与えられる、
そんな光景を見て人々は激昂する。
[[32>六行詩32番]]
騎兵たちのためのワインはとても上質でたっぷりとある。
涙と溜息、嘆き、叫びと憂慮。
天は雷鳴を轟かせ雨を降らせるだろう。
火、水、血の全てが一緒に混ざりあう。
日が照る空は慄き震えている。
彼がまさに見うるものを生者が見ることはない。
[[33>六行詩33番]]
もう間もなく非常に大きな困窮があるだろう、
穀類がほとんど無いせいで。それが起こるであろう土地は
ドーフィネ、プロヴァンス、ヴィヴァレで、
ヴィヴァレにはかすかな予兆が存在している。
息子の父親は人食いとなるだろう。
そして彼らは森の木の根やドングリも食べるだろう。
[[34>六行詩34番]]
君主たちと領主たちは互いに皆戦うだろう、
本従兄弟も、兄と弟も。
ブルボンの幸いなる者の調停によって終えられる。
エルサレムの大いに愛されるべき君主たちは、
委託された並外れで忌まわしい事柄によって、
財布の底がなくなったと感じるだろう。
[[35>六行詩35番]]
婦人は死によって大いに心を痛める。
血の繋がった後見人である母は彼女を見捨てた。
婦人と領主たちにより、孤児たちが生み出される。
マムシたちとワニたちによって、
砦、町、城、都市の数々は急襲されるだろう。
全能の神よ、彼らを邪なることどもから護りたまえ。
[[36>六行詩36番]]
大きな騒擾がフランス中であるだろう。
無力な者たちは力を持つことを望むだろう。
蜜を塗った舌と真のカメレオンたちは
火付け役たち、蝋燭を灯す者たちの中から。
知らせをもたらす者たちであるカササギたちとカケスたち、
その刺し傷はサソリのようだろう。
[[37>六行詩37番]]
弱き者と強き者が大きな不和の中にあり、
合意に至る前に多くの者たちが死ぬだろう。
弱き者は強き者に勝利者と呼ばせるだろう。
最も強き者は若者に譲るだろう。
二人のうちでより年老いた者が歿するだろう、
彼らのうちの一人が帝国を侵略するであろう時に。
[[38>六行詩38番]]
水によって、鉄によって、大病によって、
提供する者は生命の危機に瀕し、
1キンタルの木材にどれだけの価値があるのかを知るだろう。
六百と十五ないし十九に、
人々は刻むだろう、五番目の偉大な君主の
不滅の名を、十字架のもとに。
[[39>六行詩39番]]
比類のない怪物を提供する者が、
太陽に等しいと自ら認識するだろう、
子午線沿いに北上し、
象や狼を追いかけつつ。
このような打撃はどんな皇帝も加えたことがない。
その君主に、より悪いことが何も起こらぬことを。
[[40>六行詩40番]]
父が生きている時には知らなかったことを
彼は戦争か火によって身につけ、
苛立つ蛭と戦うだろう。
もしくは父の財産に恵まれるだろう。
そして永遠なる大神に気に入られ、
すぐにでも相続した地方を手に入れるだろう。
[[41>六行詩41番]]
軍旗を掲げた艦船やガレー船が、
ジルバタルの山の近くで戦い合うだろう。
そしてその時パンプローナで蚊帳の外に置かれるだろう、
その富のせいで一千の災厄に見舞われるだろう者が。
何度となく襲撃に耐えるだろう、
しかし最後には王冠に結び付けられる。
[[42>六行詩42番]]
第一位の者がいる大都市は、
― 私はあなた方にまさしく十分にその名を挙げている。―
すっかり不安になる。兵士は戦場に。
鉄と水によって大々的に襲われる。
最後にはフランス人たちによって鎮められるとはいえ、
そのことは六百十年間経つとすぐに起こるだろう。
[[43>六行詩43番]]
小さな片隅で叛乱を起こした諸州は、
強大な城に支配されていることを自覚するだろう。
もう一度、軍人たちによって
瞬く間に厳しく攻囲されるだろう。
しかし、彼らは助け出されるだろう、
ボーケールに入市していた大偉人によって。
[[44>六行詩44番]]
フランスで認められた美しい薔薇は
仕舞いには非常に偉大な君主によって所望される。
六百と十、そのとき彼の恋情が生まれるだろう。
五年の後、(薔薇は)ある偉人によって傷つけられるだろう。
愛神の矢によって彼女は虜になるだろう、
もしも十五の年に天からの救いを受け取るならば。
[[45>六行詩45番]]
鉄器の一撃に皆が驚かされる、
(それは)奇妙にもワニによって与えられる、
蛭の縁者である非常に偉大な者への(一撃だ)。
そして程なくして別の一撃があるだろう。
(それは)悪意を持って狼に対して犯された(一撃だ)。
そうした諸事件により、その結果が目撃されるだろう。
[[46>六行詩46番]]
提供する者は全てを混乱させるだろう。
蛭と狼は私の言うことを聞かない。
火星が羊の星座に位置するであろう時に、
土星と合になり、土星は月とも合になる。
その時に、汝の不幸は最大になるだろう。
おりしも、太陽は興になる。
[[47>六行詩47番]]
ハンガリーの偉人は吊り籠の中に行くだろう。
新たに生まれた者が新たな戦争を仕掛けるだろう、
攻囲し続けているであろう隣人に。
そして黒髪で浅黒い顔の者はその殿下とともに、
彼を極度に弾圧することを許さずに、
三年の間、その従者たちを整列させておくだろう。
[[48>六行詩48番]]
老いた[[カロン]]によって人々は見るだろう、[[フェニックス]]を。
それは彼の息子たちの最初にして最後の者であり、
フランスで再び輝き、皆から愛されるべき者であり、
全ての名誉とともに長きにわたって君臨する者である。
― 先人たちは誰一人(そのような名誉を)持つことはないだろう。 ―
その記憶すべき栄光を彼はもたらすだろう。
[[49>六行詩49番]]
金星と太陽、木星と水星が、
性質の部門を増大させるだろう。
フランスで偉大な結びつきが生まれるだろう。
そして南仏からは同じような蛭が。
火は極限の方法で消され、
固い土地にオリーヴが植樹されるだろう。
[[50>六行詩50番]]
少し前か後にイングランドは、
狼の死によって地べたと同じ低さに置かれ、
水に抵抗する火を見るだろう。
そんな力とともに再燃したものが、
人の血の中から人の表皮に。
パンは足りないが、刃物は豊富。
[[51>六行詩51番]]
その都市はかの時代に
時の流れに抗っていた。
その流れはかの勝利者によって命脈を保っている。
その都市は最初に彼を急襲したが、
ほどなくしてフランス人たちが奪還し、
戦いにより今一度弱められた。
[[52>六行詩52番]]
その大都市はパンを半分しか持てず、
さらに聖バルトロマイの一撃は、
その魂の奥底に刻み込むだろう。
ニーム、ラ・ロシェル、ジュネーヴ、モンペリエ、
カストル、[[リヨン]]。[[マルス]]は白羊宮に入っている。
一人の婦人のせいで皆が争い合うだろう。
[[53>六行詩53番]]
[[フェニックス]]が死ぬ前に多くの者が死ぬだろう。
六百七十まで彼はとどまる、
十五年、二十一年、三十九年と過ぎて。
最初の時期に彼は病気に罹りやすく、
次は鉄器で生命の危機に陥り、
三十九には火と水に脅かされやすい。
[[54>六行詩54番]]
六百と十五、二十、偉大な婦人が死ぬだろう。
そしてその後間もなく非常に長い間雨が降るだろう。
多くの地方、フランドル、そしてイングランドは
火と鉄器によって荒廃し、
彼らの隣人たちによって長期間攻囲され、
その者たちへの戦争を余儀なくされるだろう。
[[55>六行詩55番]]
少し前ないし後に、非常に偉大な貴婦人の
魂は天に、体は刃の下にある。
彼女は多くの人々から惜しまれるだろう。
近親者たちはみな大いに悲しむだろう。
あるうら若き婦人の涙と嘆息。
そして二人の偉人に死別の悲しみを残すだろう。
[[56>六行詩56番]]
すぐに象はあらゆる方向から見るだろう、
供給する者が[[グリフィン]]と結びつくであろう時に。
その破滅は近い。そして、[[マルス]]は始終唸りどおしで、
聖地の近くで大きな諸事件を起こすだろう。
大地にも海にも偉大な軍旗の数々がはためくことになる、
もしも舟が二人の兄弟に取り囲まれたのならば。
[[57>六行詩57番]]
その後まもなく同盟が結ばれる。
祝祭を盛大に挙行する前に、
皇帝は全てをかき乱すだろう。
そして新婦は
運命によって自由の国に結び付けられ、
間をおかずに死ぬだろう。
[[58>六行詩58番]]
蛭が間もなく死ぬだろう。
その死は我々には吉兆となるだろう。
フランスの発展のために、
同盟が企てられ、
二つの偉大な王国は互いに結びつくだろう。
フランス人は彼らを上回る力を持つだろう。
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※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
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&bold(){コメントらん}
以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません。
なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。
- 6行詩からは、まったく神秘性を感じられない。変性意識状態に入って見て、書き表した未来ではないと断言する。 -- とある信奉者 (2019-12-16 09:38:35)
「&bold(){この世紀のいずれかの年のための驚くべき予言}」(Prédictions Admirables pour les ans courant en ce siècle)は、[[1605年版『予言集』>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (1605年)]]で初めて登場した詩集である。
1605年版を偽年代版とみなす論者は、[[1611年のピエール・シュヴィヨ版>ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・シュヴィヨ、1611年)]]を初出と見なしている。
四行詩で構成される[[詩百篇集]]や[[予兆詩集]]と異なり六行詩58篇で構成されていることから、その詩形に基づき単に「&bold(){六行詩集}」(シザン、Les Sixains / Sizains)と呼ばれることが多い。
*概要
**表題と献辞
表題と献辞については[[六行詩集の表題と献辞]]を参照のこと。
**来歴
六行詩集に当初添えられていた献辞によれば、[[ノストラダムスの甥]]に当たる[[アンリ・ノストラダムス]]が保管していたものであるという。しかし、甥どころか孫などまで含めても「アンリ」という名の血族の存在は確認されていない。
また、ノストラダムスの親族にはメルキオール・ド・スヴァないしメルキオール・セーヴという人物はいたものの、[[ヴァンサン・セーヴ]]との接点は不明である。郷土史家ジャン・ロシュは、ヴァンサン・セーヴがノストラダムスと「親戚関係にある」(apparenté)とし、ノストラダムスは「義父」(beau-père)だとしているが((Vincent Sève, La Fondation de la ville de Beaucaire, 1995, pp.2,76))、史料上の根拠は示されていない。ノストラダムスの娘[[アンヌ>アンヌ・ド・ノートルダム]]の夫ピエール・ド・スヴァから見れば、確かにノストラダムスは義父に当たるが、関連性はよく分からない。
他方で[[ダニエル・ルソ]]の指摘により、フランス国立図書館にこのオリジナルと思われる六行詩54篇からなる、ボーケールのヴァンサン・オカーヌないしオケール(Vincent Aucane ou Aucaire de Beaucaire)名義の草稿「[[1600年からの世紀のためのミシェル・ノストラダムス師の予言>Predictions de Me Michel Nostradamus pour le siecle de l'an 1600]]」があることが知られている。ただし、こちらの人物について、他の史料はまったくない。
フランス国立図書館には、六行詩集を盗用した[[ノエル=レオン・モルガール]]による『[[ノエル・レオン・モルガール師の予言集>Propheties de Maistre Noel Leon Morgard]]』も現存する。
また、17世紀のいくつかの証言では、本来の六行詩集は全132篇だったことになるが、およそ信じがたい。それについては記事「[[六行詩132篇説]]」を参照のこと。
**手稿との違い
上で述べたヴァンサン・オカーヌの手稿は54篇しかない。現在流布しているものに比べると、[[11番>六行詩11番]]、[[12番>六行詩12番]]、[[14番>六行詩14番]]、[[27番>六行詩27番]]が欠けているのである。
うち11、12、14番には1605年以前の年代が記されており、[[ロベール・ブナズラ]]は明らかに1605年に追加されたものであろうとしていた((Benazra [1990] p.163))。
つまりは、すでに過去になった出来事を追加することで、権威付けすることを狙った可能性が疑われる。27番はそれらと異質であり、何のために追加したのかよく分からない。
結果的に58篇になっていることについては、[[詩百篇第7巻>百詩篇第7巻]]が42篇で終わったことを補完する意図であったと考えられている。この点、[[エドガー・レオニ]]、[[ロベール・ブナズラ]]、[[ジャック・アルブロン]]、[[パトリス・ギナール]]が一致している((Leoni [1961], Benazra [1990], Halbronn [2002] p.141, Guinard [2008a] p.117))。
この点、立場を問わずに一致しているが、仮にこの認識が正しいとすれば、初出が1605年版であれ1611年シュヴィヨ版であれ、58篇にまとめた人物は、出版した人物と別人ということになる。
なぜならば、1605年版の第7巻は46篇、1611年のは47篇で、それぞれ補遺篇を含んでいて、58篇に揃えようという意図と一致していないからである(シュヴィヨ版には第7巻が39篇しかないバージョンもあるが、揃える意図と一致しない点では同じである)。
**「詩百篇第11巻」
1605年版は詩百篇(第11巻・第12巻の補遺篇を含む)、予兆詩集、六行詩集の順に収録しており、六行詩集は詩百篇と明確に分けていた。
これに対し、1611年シュヴィヨ版では、六行詩は「[[詩百篇第11巻]]」と位置づけられ、詩百篇第10巻と、四行詩による第11巻・第12巻の間に収録されている(予兆詩集は収録されていない)。
しかし、六行詩集がノストラダムスに由来すること自体がほぼありえない以上、もちろんノストラダムスがそのように位置づけていたとは思えない。
なお、1605年版の収録法は1628年ごろのピエール・デュ・リュオー版に引き継がれるが、仮に1605年版が偽版の場合、初出であるシュヴィヨ版がいきなり第11巻として位置づけていたのに、デュ・リュオー版がわざわざその分類を無視して、大幅に構成を組み替えたことになる。
別に存在していた文書がまず別扱いで収録され、後で詩百篇へと再構成された版が出たと理解する方が自然に思われるが、1605年版が偽版の場合は、逆に詩百篇に組み込まれた状態しか知らないはずのデュ・リュオーが大幅な再構成を行い、それにあわせて書式を整えたことになる(もしくはシュヴィヨとは独立に、シュヴィヨが使ったのとほぼ同じ素材を使って一から構成したか)。
**真作か偽作か
[[五島勉]]は1950年代に発見されたと述べていたが((五島『ノストラダムスの大予言・中東編』p.155))、もちろん事実ではない。
17世紀初頭の初登場以降多くの版で引き写されており、失われていた時期など存在しない(厳密に言えば、18世紀には六行詩を収録した版はほとんど出されなかったが、それは『予言集』の版自体が少なかったことと、六行詩登場以前の版を底本とする業者が何人か現れたせいである)。
[[アナトール・ル・ペルチエ]]は信奉者であり、なおかつ六行詩もいくつか解釈していたものの、ノストラダムス自身の作かどうかには慎重な見方も示していた。[[ジェイムズ・レイヴァー]]や[[シャルル・レノー=プランス]]らも同様の立場であった。
懐疑派の[[エドガー・レオニ]]は偽物と断定しており、信奉者の[[ジョン・ホーグ]]もその見解を踏襲している。
来歴に疑惑がある点、他のノストラダムスの詩とは文体が違う点、事後予言と思われるものが混じっている点などからすれば、偽作であろうことはほぼ疑いない。
[[マリニー・ローズ]]のように真筆扱いしている論者もいないわけではないが、無批判に受け入れることは慎むべきだろう。
*本編の全訳
詩番号にリンクがあるものは別ページで解説がなされている。解説ページに掲載された原文の底本は1605snである。
凡例については[[原文比較の凡例 (六行詩)]]を参照のこと。
なお、各解説ページの項目のうち、偽作説に立つ「同時代的な視点」の節は、実証的な見解の蓄積がほとんどないことから、多くは当「大事典」の独自見解である。
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ノストラダムス師の他の予言集
この世紀のいずれかの年に向けて
[[1>六行詩1番]]
新たな世紀、新たな結びつき
揺り籠に置かれた侯国
それを奪い去るであろう二人のうちのより強い方へと
(その二人とは)片や大公、片や王。フィレンツェのガレー船、
マルセイユの港、フランスの乙女
カトリーヌの主要な要塞を、人々は取り壊すだろう
[[2>六行詩2番]]
どれほど多くの金銀を費やさせるのだろうか、
伯爵が都市を手に入れようとする時には。
何千という兵士たちが
そこで何もしないまま殺され、溺死させられる。
より強い土地に足を踏み入れて、
ピュグマイオイは監察官たちに助けられる。
[[3>六行詩3番]]
都市は上も下もなく
掻き乱されるだろう。一千発の
砲弾によって。地下の要塞群。
全てが元通りになるには五年かかるだろう。
そして、その敵たちに開放される。
戦争の後で水が彼らに為すだろう。
[[4>六行詩4番]]
環の中から、百合の中から、とても偉大な王子が生まれるだろう。
遅かれ早かれ彼の故郷に来る。
天秤宮に土星があり興となる一方、
金星のある宮は力を失う。
それに続いて、婦人と男性は樹皮の下へ、
ブルボン家の幸いなる血筋を維持するために。
[[5>六行詩5番]]
それは公国が
大きな苦悩によって保つことになるものである。
ついには彼らは大軍隊を目撃するだろう、
非常に危険な火の攻撃を通じて。
協定によって、より良いことが為せるだろう。
さもなくば、オレンジの搾り汁を飲むだろう。
[[6>六行詩6番]]
ロバンの卑劣な企てが
領主たちと偉大な君主に痛手を与えるであろう時、
ラ・ファンによって知られ、彼の頭は斬り落とされるだろう。
羽が風に舞い、スペインで受け入れられた者。
伝書使は田野にあるときに罠にかけられる。
そして代書人は水に投げ込まれるだろう。
[[7>六行詩7番]]
蛭が狼に加担するだろう、
海で小麦が不足するであろう時に。
しかし欲のない偉大な君主は、
大使館を通じて彼に贈るだろう、
彼を生かすための小麦を。
欲求に応じてそれを用意するだろう。
[[8>六行詩8番]]
交易が開かれる少し前に、
大使がペルシアから来るだろう、
自由の国に報告をもたらすために。
しかし受け入れられず、希望は空回り。
彼の大神への不敬があるだろう、
それを棄てたいかのように装いつつの。
[[9>六行詩9番]]
オーヴェルニュの側からの二つの軍旗は、
左が取られ、一時の間、監獄が支配する。
そして婦人は子供たちを連れて行きたいと思うだろう、
監察官の方へ。しかし、厄介事が露わになる。
死の危険が地上でざわめく。
血の繋がった兄弟姉妹はバスチーユに投獄される。
[[10>六行詩10番]]
婦人のための大使は、
その船で櫂を置くだろう、
偉大な医師に祈るために。
(その医師は)そんな痛みを取り除いてくれる。
しかし、王妃はそのことに反対するだろう。
その終わりを見る前の大きな痛み。
[[11>六行詩11番]]
この世紀の間に人々は見るだろう。二つの渓流が
その水によってある地方全体を水浸しにするのを。
そして渓流や泉によって沈むのは
コン、モンフラン、ブコワラン、アレスで、
ガルドン川によってとても頻繁に苦労させられる。
六百と四、別れた者たちと三十人の修道士たち。
[[12>六行詩12番]]
六百と五、とても大きなニュース。
二人の領主の大喧嘩が
[[ジェヴォーダン]]近くで起こるだろう。
寄付の後の教会では、
殺人が犯される。司祭は請願し、
恐怖で身震いしつつ逃走するだろう。
[[13>六行詩13番]]
危険を冒す者は、六百と六ないし九に、
卵に入った苦味に不意を打たれ、
ほどなくして力を揮えなくなるだろう。
強大な皇帝にして将軍で、
世界に比肩する者も互角の者もなく、
誰もが恭順の意を示す者によって。
[[14>六行詩14番]]
大攻囲にて、なおも大重罪を、
彼らはかつてないほどに繰り返すから、
六百と五、緑野にて、
占領と奪還があるだろう、
戦場の兵士達が凍えるまで。
それから後に(占領と奪還が)再開するだろう。
[[15>六行詩15番]]
新しく選ばれた大きな船の船長は、
長い間、明るい松明が輝くのを見るだろう。
それはその偉大な領土でランプの代わりに使われる。
そしてその時に、その名の下に集う軍隊は、
ブルボンの幸いなる者の軍隊と合流させられる。
日の出の方角にも大西洋にも日の入りの方角にもその記憶が。
[[16>六行詩16番]]
六百と五の十月に、
海の怪物を提供する者が、
至上の者から聖油を受け取るだろう。
あるいは六百と六の六月に、
偉人たちと庶民への大きな喜びや
大きな諸事件がその大いなる洗礼の後にある。
[[17>六行詩17番]]
さる偉人が同時に受け入れるだろう、
喜びと不健康を。その年が終わるのを見届けないだろう。
そして何人かの者たちが祝祭に参加するだろう、
その日、ただ一人のための祝祭に。
しかし、長くとどまることなしにその後間もなく、
両者が互いに頭をぶつけ合うだろう。
[[18>六行詩18番]]
悲しき[[ピロメラ]]が
その涙と叫びで苦痛を新たにし、
そうした手段で日々を短くしていくことにより、
六百と五、彼女はその出口を見るだろう。
その責め苦から、布はすでに織り上げられた。
その不吉な方法により、彼女は救いを得るだろう。
[[19>六行詩19番]]
六百と五、六百と六と七、
我々に対して十七の年まで示すだろう。
火付け役の怒り、憎悪、羨望は、
オリーヴの木の下に十分に長い間隠される。
ワニは地面に隠した。
死んでいた者がそのときに生き返るだろう。
[[20>六行詩20番]]
その者は何度も
籠を持ち、次いで木々を持った。
彼は最初の状態に戻っている。
安全な命が程なくして出発し、
知るべきこともまだ分からないまま、
死すべき臣民を探すだろう。
[[21>六行詩21番]]
諸悪を生み出す者が支配し始めるだろう、
六百と七の年に、例外を設けることなく、
蛭に従っている臣民たち全てを。
ほどなくして、徐々にやって来るだろう、
自由の国に再び火を灯すべく、
蛭が生まれた場所から戻って来つつ。
[[22>六行詩22番]]
その者は事件を暴きつつ語るだろう、
その死者によって、死がどのようにして上首尾に、
彼らが誘導した一人による短剣の一撃を生み出せるのかを。
その結末は彼がさせていたことよりも悪くなるだろう。
終わりが人々を導く、
昼も夜も至る所で見張られているその土地で。
[[23>六行詩23番]]
自由の国の大きな船体、舳先、舵、
そしてその生命の真髄が、
暗礁と波とで海に揺さぶられる時、
六百と七、そして十、心臓部が攻囲され、
胴体の衰えに悩まされるだろう。
その生命はこの災禍の上で更新される。
[[24>六行詩24番]]
その雄弁な者はあまり長命ではない。
六百と八と二十、大きな病。
その上、火と水の一層悪い危うさ。
彼の偉大な友人はそのとき彼に敵対するだろう。
そういう危険によってきちんと思いとどまれればよいのだが、
すぐに鉄が彼に墓を作るだろう。
[[25>六行詩25番]]
六百と六、六百と九、
牡牛のように大きく、
この世の[[フェニックス]]のように年老いた大法官は、
その領地ではもはや輝かず、
忘却の船で行くだろう、
エリュシオンの野へと巡視のために。
[[26>六行詩26番]]
二人の兄弟が聖職者の位階に属している。
その一人がフランスのために槍を手にするだろう。
もう一度、もしも六百と六の年に
大病に襲われることがなければ、
六百と十までその手に武器はあるが、
その生命がさらに延びることはほとんどない。
[[27>六行詩27番]]
天の火が西側から、
そして南方から日の出の方角へとめぐる。
虫たちは木の根も見つけられずに半死の状態。
第三の時代、好戦的な[[マルス]]へと、
火が柘榴石のように輝くのが目撃されるだろう。
柘榴石の時代、そして最後に飢餓。
[[28>六行詩28番]]
千六百と九ないし十四の年、
老いた[[カロン]]は四旬節に復活祭を行うだろう。
六百と六、それを書きとめておくだろう。
医師はそのことにすっかり驚く。
同時に個人で召喚されるが
彼らのうち一人が確実に出頭するだろう。
[[29>六行詩29番]]
[[グリフィン]]が準備しているのかもしれない、
敵に抵抗し、
まさにその軍備を増強するために。
他方、象が来るだろう。
それは近づくや彼を急襲するだろう。
六百と八、海が燃やされる。
[[30>六行詩30番]]
間もなく大病を治す医師と、
序列も地位も不釣合いな蛭が、
オリーヴの枝に火をつけるだろう。
伝書使はどちらの側も巡り、
そして、そんな火が彼らの帝国に近づく、
自由な者の終わった議論を再燃させつつ。
[[31>六行詩31番]]
その者はそれらの危険に打ち勝った者で、
鉄にも火にも水にも決して怯えることがなかった。
そして[[バザークル>Basacle]]にとても近い地方からの
鉄器の一撃に皆が驚かされる。
奇妙にもワニによって与えられる、
そんな光景を見て人々は激昂する。
[[32>六行詩32番]]
騎兵たちのためのワインはとても上質でたっぷりとある。
涙と溜息、嘆き、叫びと憂慮。
天は雷鳴を轟かせ雨を降らせるだろう。
火、水、血の全てが一緒に混ざりあう。
太陽天は慄き震えている。
彼がまさに見うるものを生者が見ることはない。
[[33>六行詩33番]]
もう間もなく非常に大きな困窮があるだろう、
穀類がほとんど無いせいで。それが起こるであろう土地は
ドーフィネ、プロヴァンス、ヴィヴァレで、
ヴィヴァレにはかすかな予兆が存在している。
息子の父親は人食いとなるだろう。
そして彼らは森の木の根やドングリも食べるだろう。
[[34>六行詩34番]]
君主たちと領主たちは互いに皆戦うだろう、
本従兄弟も、兄と弟も。
ブルボンの幸いなる者の調停によって終えられる。
エルサレムの大いに愛されるべき君主たちは、
委託された並外れで忌まわしい事柄によって、
財布の底がなくなったと感じるだろう。
[[35>六行詩35番]]
婦人は死によって大いに心を痛める。
血の繋がった後見人である母は彼女を見捨てた。
婦人と領主たちにより、孤児たちが生み出される。
マムシたちとワニたちによって、
砦、町、城、都市の数々は急襲されるだろう。
全能の神よ、彼らを邪なることどもから護りたまえ。
[[36>六行詩36番]]
大きな騒擾がフランス中であるだろう。
無力な者たちは力を持つことを望むだろう。
蜜を塗った舌と真のカメレオンたちは
火付け役たち、蝋燭を灯す者たちの中から。
知らせをもたらす者たちであるカササギたちとカケスたち、
その刺し傷はサソリのようだろう。
[[37>六行詩37番]]
弱き者と強き者が大きな不和の中にあり、
合意に至る前に多くの者たちが死ぬだろう。
弱き者は強き者に勝利者と呼ばせるだろう。
最も強き者は若者に譲るだろう。
二人のうちでより年老いた者が歿するだろう、
彼らのうちの一人が帝国を侵略するであろう時に。
[[38>六行詩38番]]
水によって、鉄によって、大病によって、
提供する者は生命の危機に瀕し、
1キンタルの木材にどれだけの価値があるのかを知るだろう。
六百と十五ないし十九に、
人々は刻むだろう、五番目の偉大な君主の
不滅の名を、十字架のもとに。
[[39>六行詩39番]]
比類のない怪物を提供する者が、
太陽に等しいと自ら認識するだろう、
子午線沿いに北上し、
象や狼を追いかけつつ。
このような打撃はどんな皇帝も加えたことがない。
その君主に、より悪いことが何も起こらぬことを。
[[40>六行詩40番]]
父が生きている時には知らなかったことを
彼は戦争か火によって身につけ、
苛立つ蛭と戦うだろう。
もしくは父の財産に恵まれるだろう。
そして永遠なる大神に気に入られ、
すぐにでも相続した地方を手に入れるだろう。
[[41>六行詩41番]]
軍旗を掲げた艦船やガレー船が、
ジルバタルの山の近くで戦い合うだろう。
そしてその時パンプローナで蚊帳の外に置かれるだろう、
その富のせいで一千の災厄に見舞われるだろう者が。
何度となく襲撃に耐えるだろう、
しかし最後には王冠に結び付けられる。
[[42>六行詩42番]]
第一位の者がいる大都市は、
― 私はあなた方にまさしく十分にその名を挙げている。―
すっかり不安になる。兵士は戦場に。
鉄と水によって大々的に襲われる。
最後にはフランス人たちによって鎮められるとはいえ、
そのことは六百十年間経つとすぐに起こるだろう。
[[43>六行詩43番]]
小さな片隅で叛乱を起こした諸州は、
強大な城に支配されていることを自覚するだろう。
もう一度、軍人たちによって
瞬く間に厳しく攻囲されるだろう。
しかし、彼らは助け出されるだろう、
ボーケールに入市していた大偉人によって。
[[44>六行詩44番]]
フランスで認められた美しい薔薇は
仕舞いには非常に偉大な君主によって所望される。
六百と十、そのとき彼の恋情が生まれるだろう。
五年の後、(薔薇は)ある偉人によって傷つけられるだろう。
愛神の矢によって彼女は虜になるだろう、
もしも十五の年に天からの救いを受け取るならば。
[[45>六行詩45番]]
鉄器の一撃に皆が驚かされる、
(それは)奇妙にもワニによって与えられる、
蛭の縁者である非常に偉大な者への(一撃だ)。
そして程なくして別の一撃があるだろう。
(それは)悪意を持って狼に対して犯された(一撃だ)。
そうした諸事件により、その結果が目撃されるだろう。
[[46>六行詩46番]]
提供する者は全てを混乱させるだろう。
蛭と狼は私の言うことを聞かない。
火星が羊の星座に位置するであろう時に、
土星と合になり、土星は月とも合になる。
その時に、汝の不幸は最大になるだろう。
おりしも、太陽は興になる。
[[47>六行詩47番]]
ハンガリーの偉人は吊り籠の中に行くだろう。
新たに生まれた者が新たな戦争を仕掛けるだろう、
攻囲し続けているであろう隣人に。
そして黒髪で浅黒い顔の者はその殿下とともに、
彼を極度に弾圧することを許さずに、
三年の間、その従者たちを整列させておくだろう。
[[48>六行詩48番]]
老いた[[カロン]]によって人々は見るだろう、[[フェニックス]]を。
それは彼の息子たちの最初にして最後の者であり、
フランスで再び輝き、皆から愛されるべき者であり、
全ての名誉とともに長きにわたって君臨する者である。
― 先人たちは誰一人(そのような名誉を)持つことはないだろう。 ―
その記憶すべき栄光を彼はもたらすだろう。
[[49>六行詩49番]]
金星と太陽、木星と水星が、
性質の部門を増大させるだろう。
フランスで偉大な結びつきが生まれるだろう。
そして南仏からは同じような蛭が。
火は極限の方法で消され、
固い土地にオリーヴが植樹されるだろう。
[[50>六行詩50番]]
少し前か後にイングランドは、
狼の死によって地べたと同じ低さに置かれ、
水に抵抗する火を見るだろう。
そんな力とともに再燃したものが、
人の血の中から人の表皮に。
パンは足りないが、刃物は豊富。
[[51>六行詩51番]]
その都市はかの時代に
時の流れに抗っていた。
その流れはかの勝利者によって命脈を保っている。
その都市は最初に彼を急襲したが、
ほどなくしてフランス人たちが奪還し、
戦いにより今一度弱められた。
[[52>六行詩52番]]
その大都市はパンを半分しか持てず、
さらに聖バルトロマイの一撃は、
その魂の奥底に刻み込むだろう。
ニーム、ラ・ロシェル、ジュネーヴ、モンペリエ、
カストル、[[リヨン]]。[[マルス]]は白羊宮に入っている。
一人の婦人のせいで皆が争い合うだろう。
[[53>六行詩53番]]
[[フェニックス]]が死ぬ前に多くの者が死ぬだろう。
六百七十まで彼はとどまる、
十五年、二十一年、三十九年と過ぎて。
最初の時期に彼は病気に罹りやすく、
次は鉄器で生命の危機に陥り、
三十九には火と水に脅かされやすい。
[[54>六行詩54番]]
六百と十五、二十、偉大な婦人が死ぬだろう。
そしてその後間もなく非常に長い間雨が降るだろう。
多くの地方、フランドル、そしてイングランドは
火と鉄器によって荒廃し、
彼らの隣人たちによって長期間攻囲され、
その者たちへの戦争を余儀なくされるだろう。
[[55>六行詩55番]]
少し前ないし後に、非常に偉大な貴婦人の
魂は天に、体は刃の下にある。
彼女は多くの人々から惜しまれるだろう。
近親者たちはみな大いに悲しむだろう。
あるうら若き婦人の涙と嘆息。
そして二人の偉人に死別の悲しみを残すだろう。
[[56>六行詩56番]]
すぐに象はあらゆる方向から見るだろう、
供給する者が[[グリフィン]]と結びつくであろう時に。
その破滅は近い。そして、[[マルス]]は始終唸りどおしで、
聖地の近くで大きな諸事件を起こすだろう。
大地にも海にも偉大な軍旗の数々がはためくことになる、
もしも舟が二人の兄弟に取り囲まれたのならば。
[[57>六行詩57番]]
その後まもなく同盟が結ばれる。
祝祭を盛大に挙行する前に、
皇帝は全てをかき乱すだろう。
そして新婦は
運命によって自由の国に結び付けられ、
間をおかずに死ぬだろう。
[[58>六行詩58番]]
蛭が間もなく死ぬだろう。
その死は我々には吉兆となるだろう。
フランスの発展のために、
同盟が企てられ、
二つの偉大な王国は互いに結びつくだろう。
フランス人は彼らを上回る力を持つだろう。
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&bold(){コメントらん}
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なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。
- 6行詩からは、まったく神秘性を感じられない。変性意識状態に入って見て、書き表した未来ではないと断言する。 -- とある信奉者 (2019-12-16 09:38:35)