六行詩1番

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[[六行詩集]]>1番* *原文 SIecle nouueau, alliance nouuelle, Vn Marquisat&sup(){1} mis dans&sup(){2} la nacelle&sup(){3}, A qui plus fort des&sup(){4} deux l'emportera, D'vn&sup(){5} Duc d'vn Roy, gallere de Florance&sup(){6}, Port&sup(){7} à&sup(){8} Marseil, Pucelle&sup(){9} dans la France, De Catherine&sup(){10} fort chef&sup(){11} on rasera&sup(){12}. **異文 (1) Marquisat : Marquiat 1627Di (2) dans 1605sn 1649Xa : dedans 1600Au 1600Mo 1611 1627Di 1628dR 1649Ca 1672Ga (3) nacelle : nasselle 1600Au 1644Hu, Nacelle 1600Mo 1672Ga (4) des : de 1600Mo (5) D’vn : D vn 1605sna (6) Florence : Provence [?] 1600Au (7) Port : Porte 1600Mo (8) à : de 1672Ga (9) Pucelle : pucelle 1600Mo 1644Hu (10) Catherine : Caterine 1627Ma 1627Di (11) fort chef : Fort Chef 1672Ga (12) rasera : razera 1600Au (注記1)SIecleのIが大文字なのは冒頭の飾り文字の影響なので、特に異文を採録することはしていない。 (注記2)1649Xa(確認したのはリヨン市立図書館の2伝本およびドイツ博物館の伝本)は6行目が丸ごと欠落。 *日本語訳 新たな世紀、新たな結び付き。 揺り籠に置かれた侯国、 それを奪い去るであろう二人のうちのより強い方へと。 (二人とは)片や公爵、片や王。[[フィレンツェ]]のガレー船、 マルセイユの港、フランスの乙女。 カトリーヌの主要な要塞を、人々は取り壊すだろう。 **訳について  [[五島勉]]訳((五島『ノストラダムスの大予言V』pp.83-84. ))についてコメントしておく。  2行目「マルキーザは小さな船(ナセル)の中に置かれる」は誤りではないが、その語注で「マルキーザ」を「辺境を守る大将軍」としているのは誤り。Marquis (侯爵、辺塞司令)と混同したものだろう。Marquisat は「侯爵領、侯国」の意味。  3行目「それをより強い者が破滅さす」も少々疑問。l'emporter は「打ち勝つ」という意味もありはするが、「破滅させる」というニュアンスは無い。  6行目「人々は強い指導者カトリーヌに飽きるだろう」は誤訳。raser (剃る、取り壊す)には「うんざりさせる」という意味もあるが、この場合、主語は on (人々は)なので「人々がうんざりさせる」という意味になってしまう。また、その訳では行頭の De の役割が不明。 *信奉者側の解釈  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、1600年代初頭のことと解釈した。 「新たな結びつき」は、1600年に[[アンリ4世]]とカトリーヌ・ド・メディシス(原文ママ。マリー・ド・メディシスの誤り)が結婚したことを指す(allianceには結婚の意味もある)。  王と公が争っている侯国とはサルッツォ侯国(marquisat de Salluces)で、当時、帰属を巡ってアンリ4世とサヴォワ公の間で争点になっていた(1601年のリヨン条約でサヴォワ公国への帰属が決定)。  4行目から5行目にかけては、フィレンツェにいたマリー・ド・メディシスが、フランスの船でマルセイユに上陸したことを指す(1600年11月3日)。  カトリーヌの主要な要塞とは、[[ジュネーヴ]]近郊のサント=カトリーヌ要塞(Fort Sainte-Catherine)で、サヴォワ公と争っていたアンリ4世は、陥落させるとすぐに取り壊した((Garencieres [1672]))。  [[マリニー・ローズ]]もこの解釈を踏襲した((Rose [2002a] pp.226-227))。  [[五島勉]]は「新たな世紀」を21世紀と捉え、それまで考えられなかった同盟関係が成立することと解釈した。ただし、2行目以降の詩句についてはほとんど解説していない((五島『ノストラダムスの大予言V』))。 *同時代的な視点  ローズやガランシエールの解釈は詩の情景をよく説明している。彼らは六行詩を本物と見た上で解釈しているが、むしろこの詩は1600年末以降に偽造された事後予言と見るのが妥当だろう。 ---- #comment
[[六行詩集]]>1番* *原文 SIecle nouueau, alliance nouuelle, Vn Marquisat&sup(){1} mis dans&sup(){2} la nacelle&sup(){3}, A qui plus fort des&sup(){4} deux l'emportera, D'vn&sup(){5} Duc d'vn Roy, gallere de Florance&sup(){6}, Port&sup(){7} à&sup(){8} Marseil, Pucelle&sup(){9} dans la France, De Catherine&sup(){10} fort chef&sup(){11} on rasera&sup(){12}. **異文 (1) Marquisat : Marquiat 1627Di (2) dans 1605sn 1649Xa : dedans 1600Au 1600Mo 1611 1627Di 1628dR 1649Ca 1672Ga (3) nacelle : nasselle 1600Au 1644Hu, Nacelle 1600Mo 1672Ga (4) des : de 1600Mo (5) D’vn : D vn 1605sna (6) Florence : Provence [?] 1600Au (7) Port : Porte 1600Mo (8) à : de 1672Ga (9) Pucelle : pucelle 1600Mo 1644Hu (10) Catherine : Caterine 1627Ma 1627Di (11) fort chef : Fort Chef 1672Ga (12) rasera : razera 1600Au (注記1)SIecleのIが大文字なのは冒頭の飾り文字の影響なので、特に異文を採録することはしていない。 (注記2)1649Xa(確認したのはリヨン市立図書館の2伝本およびドイツ博物館の伝本)は6行目が丸ごと欠落。 *日本語訳 新たな世紀、新たな結び付き。 揺り籠に置かれた侯国、 それを奪い去るであろう二人のうちのより強い方へと。 (二人とは)片や公爵、片や王。[[フィレンツェ]]のガレー船、 マルセイユの港、フランスの乙女。 カトリーヌの主要な要塞を、人々は取り壊すだろう。 **訳について  [[五島勉]]訳((五島『ノストラダムスの大予言V』pp.83-84. ))についてコメントしておく。  2行目「マルキーザは小さな船(ナセル)の中に置かれる」は誤りではないが、その語注で「マルキーザ」を「辺境を守る大将軍」としているのは誤り。Marquis (侯爵、辺塞司令)と混同したものだろう。Marquisat は「侯爵領、侯国」の意味。  3行目「それをより強い者が破滅さす」も少々疑問。l'emporter は「打ち勝つ」という意味もありはするが、「破滅させる」というニュアンスは無い。  6行目「人々は強い指導者カトリーヌに飽きるだろう」は誤訳。raser (剃る、取り壊す)には「うんざりさせる」という意味もあるが、この場合、主語は on (人々は)なので「人々がうんざりさせる」という意味になってしまう。また、その訳では行頭の De の役割が不明。 *信奉者側の解釈  [[テオフィル・ド・ガランシエール]]は、1600年代初頭のことと解釈した。 「新たな結びつき」は、1600年に[[アンリ4世]]とカトリーヌ・ド・メディシス(原文ママ。マリー・ド・メディシスの誤り)が結婚したことを指す(allianceには結婚の意味もある)。  王と公が争っている侯国とはサルッツォ侯国(marquisat de Salluces)で、当時、帰属を巡ってアンリ4世とサヴォワ公の間で争点になっていた(1601年のリヨン条約でサヴォワ公国への帰属が決定)。  4行目から5行目にかけては、フィレンツェにいたマリー・ド・メディシスが、フランスの船でマルセイユに上陸したことを指す(1600年11月3日)。  カトリーヌの主要な要塞とは、[[ジュネーヴ]]近郊のサント=カトリーヌ要塞(Fort Sainte-Catherine)で、サヴォワ公と争っていたアンリ4世は、陥落させるとすぐに取り壊した((Garencieres [1672]))。  [[マリニー・ローズ]]もこの解釈を踏襲した((Rose [2002a] pp.226-227))。  [[五島勉]]は「新たな世紀」を21世紀と捉え、それまで考えられなかった同盟関係が成立することと解釈した。ただし、2行目以降の詩句についてはほとんど解説していない((五島『ノストラダムスの大予言V』))。 *同時代的な視点  ローズやガランシエールの解釈は詩の情景をよく説明している。彼らは六行詩を本物と見た上で解釈しているが、むしろこの詩は1600年末以降に偽造された事後予言と見るのが妥当だろう。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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