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[[六行詩集]]>4番*
*原文
D'vn rond, d'vn lis&sup(){1}, naistra vn si grand Prince,
Bien tost, & tard venu dans&sup(){2} sa Prouince,
Saturne en Libra&sup(){3} en exaltation:
Maison de Venus en descroissante&sup(){4} force,
Dame en apres&sup(){5} masculin soubs l'[[escorse]]&sup(){6},
Pour maintenir&sup(){7} l'heureux sang de Bourbon.
**異文
(1) D'vn rond, d'vn lis : D'vn noble lis 1600Au, Du rond d'vn Lis 1600Mo 1672Ga, D'vn rond d'vn Lys 1644Hu
(2) dans : en 1600Au
(3) Libra : lira 1600Mo, libra 1611B
(4) descroissante : decroissante 1600Mo 1611B 1627Ma 1644Hu, decroissant 1627Di
(5) Dame en apres : Dans vn an apres 1600Mo
(6) soubs l'escorse : sur escorse 1600Mo, soubs l'Escorce 1672Ga
(7) maintenir : marntenir 1628dR
*日本語訳
環の中から、百合の中から、とても偉大な王子が生まれるだろう。
遅かれ早かれ彼の故郷に来る。
天秤宮に土星があり興となる一方、
金星のある宮は力を失う。
それに続いて、婦人と男性は樹皮の下へ、
ブルボン家の幸いなる血筋を維持するために。
**訳について
1行目「環と百合」は区切り方によっては「百合の環」とも訳せる。
5行目は[[escorse]]の読み方によっては、いくつかの可能性がある。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]はルイ13世の誕生(1601年)と解釈し、彼が天秤座生まれだったことが予言されているとした((Garencieres [1672]))。
[[ジャック・ド・ジャン]]もルイ13世と解釈していて、「百合の環」はメディチ家の紋章が百合の花の上に球形(丸薬)が載っている図柄であることを指すとした。2行目は結婚の成立から9ヵ月後の誕生という「早さ」と、アンリ4世が高齢になってからの待望の世継ぎという「遅さ」を指すという。5行目は(読み方が今ひとつ分からないが)女性的な装いの下に男性的な心を持つ女性のことが言われているとし、ルイの妹エリザベート(のちのスペイン王妃)の男勝りの性格が描かれているとした((Jant [1673] pp.62-63))。
[[マリニー・ローズ]]もルイ13世の誕生としていて、「環」はアルファベットの O を示し、オルレアン家(アンリ4世の血筋を遡ると中世のオルレアン公に辿り着く)、「百合」はメディチ家の家紋とした。5行目はマルセイユからパリに北上したマリーを待ちきれずに、リヨンまで迎えに行ったアンリ4世のことが予言されていたのではないかとした((Rose [2002a]))。
*同時代的な視点
六行詩偽作説では、その作成時期は1600年から1605年頃と推測されており、マリー・ド・メディシスの懐妊時、あるいは王太子誕生後に偽作されたとしても何もおかしくない。
ルイ13世が歴史的に見て名君だったかはともかく、父アンリ4世にとっては待望の世継ぎであり、彼の誕生は当時大いに歓迎された。ノストラダムスの息子[[セザール>セザール・ド・ノートルダム]]も、『王太子殿下御生誕に寄せる讃歌』(1602年)を歌い上げて祝っていた。
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#comment
[[六行詩集]]>4番*
*原文
D'vn rond, d'vn lis&sup(){1}, naistra vn si grand Prince,
Bien tost, & tard venu dans&sup(){2} sa Prouince,
Saturne en Libra&sup(){3} en exaltation:
Maison de Venus en descroissante&sup(){4} force,
Dame en apres&sup(){5} masculin soubs l'[[escorse]]&sup(){6},
Pour maintenir&sup(){7} l'heureux sang de Bourbon.
**異文
(1) D'vn rond, d'vn lis : D'vn noble lis 1600Au, Du rond d'vn Lis 1600Mo 1672Ga, D'vn rond d'vn Lys 1644Hu
(2) dans : en 1600Au
(3) Libra : lira 1600Mo, libra 1611B
(4) descroissante : decroissante 1600Mo 1611B 1627Ma 1644Hu, decroissant 1627Di
(5) Dame en apres : Dans vn an apres 1600Mo
(6) soubs l'escorse : sur escorse 1600Mo, soubs l'Escorce 1672Ga
(7) maintenir : marntenir 1628dR
*日本語訳
環の中から、百合の中から、とても偉大な王子が生まれるだろう。
遅かれ早かれ彼の故郷に来る。
天秤宮に土星があり興となる一方、
金星のある宮は力を失う。
それに続いて、婦人と男性は樹皮の下へ、
ブルボン家の幸いなる血筋を維持するために。
**訳について
1行目「環と百合」は区切り方によっては「百合の環」とも訳せる。
5行目は[[escorse]]の読み方によっては、いくつかの可能性がある。
*信奉者側の見解
[[テオフィル・ド・ガランシエール]]はルイ13世の誕生(1601年)と解釈し、彼が天秤座生まれだったことが予言されているとした((Garencieres [1672]))。
[[ジャック・ド・ジャン]]もルイ13世と解釈していて、「百合の環」はメディチ家の紋章が百合の花の上に球形(丸薬)が載っている図柄であることを指すとした。2行目は結婚の成立から9ヵ月後の誕生という「早さ」と、アンリ4世が高齢になってからの待望の世継ぎという「遅さ」を指すという。5行目は(読み方が今ひとつ分からないが)女性的な装いの下に男性的な心を持つ女性のことが言われているとし、ルイの妹エリザベート(のちのスペイン王妃)の男勝りの性格が描かれているとした((Jant [1673] pp.62-63))。
[[マリニー・ローズ]]もルイ13世の誕生としていて、「環」はアルファベットの O を示し、オルレアン家(アンリ4世の血筋を遡ると中世のオルレアン公に辿り着く)、「百合」はメディチ家の家紋とした。5行目はマルセイユからパリに北上したマリーを待ちきれずに、リヨンまで迎えに行ったアンリ4世のことが予言されていたのではないかとした((Rose [2002a]))。
*同時代的な視点
六行詩偽作説では、その作成時期は1600年から1605年頃と推測されており、マリー・ド・メディシスの懐妊時、あるいは王太子誕生後に偽作されたとしても何もおかしくない。
ルイ13世が歴史的に見て名君だったかはともかく、父アンリ4世にとっては待望の世継ぎであり、彼の誕生は当時大いに歓迎された。ノストラダムスの息子[[セザール>セザール・ド・ノートルダム]]も、『王太子殿下御生誕に寄せる讃歌』(1602年)を歌い上げて祝っていた。
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