予兆詩第50番

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予兆詩第50番(旧46番) 1559年12月について *原文 La joye en larmes viendra captiver Mars. Devant le grand&sup(){1} seront esmeus divins&sup(){2}. Sans sonner mot entreront par trois [[pars>part]]. Mars assoupi, dessus [[glas]] [[trouter]]&sup(){3} vins. ((原文は Chevignard [1999] p.138 による。)) **異文 (1) le grand : le Grand 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668 (2) divins : Diuins 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668 (3) trouter : troutent 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668A, troute 1668P *英訳版原文 The joye in teares shall subdue Mars, Before the great shall divines be moved. Without seking any word shal enter on thre partes. Mars beyng appeased upon the yce all wynes. (注記)この英訳は[[英訳版『1559年向けの暦』>An Almanacke for the yeare of oure Lorde God, 1559.]]に掲載されていたものである。1559年向けの予兆詩はオリジナルが現存していないこともあるので、参考のため掲載しておく。 *日本語訳 涙に暮れた悦びが[[マルス]]を捕らえに来るだろう。 偉大な者を前に、神々しい者たちは動揺するだろう。 彼らは言葉を発することなく、三方向から入るだろう。 マルスは鎮められ、氷の上をブドウ酒が駆け巡る。 **訳について  4行目 [[glas]] は同時代の英訳や[[エドガー・レオニ]]の英訳に従って「氷」とした。12月向けであることからして、そうおかしなものではないと思うが、「喧騒の上をブドウ酒が駆け巡る」とも訳せるのかもしれない。  なお、1559年の英訳で all wines となっているのは、[[trouter]] を [[trestous]] か何かと見間違えたものだろうと、[[ベルナール・シュヴィニャール]]から指摘されている。 *信奉者側の見解  [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1行目を1559年6月30日のアンリ2世の負傷、最後の行を商人たちが平和な中で取引を行うことと解釈した((Chavigny [1594] p.62))。  中2行は1560年3月にプロテスタント(「神々しい者たち」)が国王(「偉大な者」)をさらおうとした「アンボワーズの陰謀」の描写と解釈した((Chavigny [1594] p.70))。 *同時代的な視点  [[マリニー・ローズ]]は、4行目について、祝祭によって戦いが中断され、氷が張っている場所で、ワインが行ったり来たりする様子の描写と推測している((Rose [2002c] p.370))。 ---- #comment
予兆詩第50番(旧46番) 1559年12月について *原文 La joye en larmes viendra captiver Mars. Devant le grand&sup(){1} seront esmeus divins&sup(){2}. Sans sonner mot entreront par trois [[pars>part]]. Mars assoupi, dessus [[glas]] [[trouter]]&sup(){3} vins. ((原文は Chevignard [1999] p.138 による。)) **異文 (1) le grand : le Grand 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668 (2) divins : Diuins 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668 (3) trouter : troutent 1594JF 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668A, troute 1668P *英訳版原文 The joye in teares shall subdue Mars, Before the great shall divines be moved. Without seking any word shal enter on thre partes. Mars beyng appeased upon the yce all wynes. (注記)この英訳は[[英訳版『1559年向けの暦』>An Almanacke for the yeare of oure Lorde God, 1559.]]に掲載されていたものである。1559年向けの予兆詩はオリジナルが現存していないこともあるので、参考のため掲載しておく。 *日本語訳 涙に暮れた悦びが[[マルス]]を捕らえに来るだろう。 偉大な者を前に、神々しい者たちは動揺するだろう。 彼らは言葉を発することなく、三方向から入るだろう。 マルスは鎮められ、氷の上をブドウ酒が駆け巡る。 **訳について  4行目 [[glas]] は同時代の英訳や[[エドガー・レオニ]]の英訳に従って「氷」とした。12月向けであることからして、そうおかしなものではないと思うが、「喧騒の上をブドウ酒が駆け巡る」とも訳せるのかもしれない。  なお、1559年の英訳で all wines となっているのは、[[trouter]] を [[trestous]] か何かと見間違えたものだろうと、[[ベルナール・シュヴィニャール]]から指摘されている。 *信奉者側の見解  [[ジャン=エメ・ド・シャヴィニー]]は、1行目を1559年6月30日のアンリ2世の負傷、最後の行を商人たちが平和な中で取引を行うことと解釈した((Chavigny [1594] p.62))。  中2行は1560年3月にプロテスタント(「神々しい者たち」)が国王(「偉大な者」)をさらおうとした「アンボワーズの陰謀」の描写と解釈した((Chavigny [1594] p.70))。 *同時代的な視点  [[マリニー・ローズ]]は、4行目について、祝祭によって戦いが中断され、氷が張っている場所で、ワインが行ったり来たりする様子の描写と推測している((Rose [2002c] p.370))。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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