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*原文
Les [[Artomiques]]&sup(){1} par Agen & [[l'Estore]]&sup(){2},
A sainct&sup(){3} Felix&sup(){4} feront leur&sup(){5} parlement&sup(){6} :
Ceulx de Basas viendront à&sup(){7} la mal'heure&sup(){8},
Saisir Condon&sup(){9} & Marsan promptement&sup(){10}.
**異文
(1) Artomiques : Artoniques 1557B 1589PV, Attomiques 1597 1600 1610, Atomiques 1611A
(2) l'Estore : l'Estoure 1590Ro, Lectore 1627 1644 1650Le 1650Ri 1653 1668 1840, ectore 1665, Lectoure 1672
(3) saint : Saint 1660
(4) Felix : felix 1590Ro
(5) leur : le 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668
(6) parlement : Parlement 1605 1611B 1649Xa, parliament 1672
(7) à : a 1588Rf
(8) mal'heure : malheure 1649Ca 1650Le 1668, malhoure 1672, mal-heure 1650Ri
(9) Condon : condon 1627, Condou 1665, Coudom 1668
(10) promptement : promprement 1665
**校訂
[[Artomiques]] については判断が難しい。
[[l'Estore]] が Lectore(Lectoure)の誤植であろうことにはほとんど異論がない。
saint Felix は Saint Felix または Saint-Félix の方が望ましい。
Condon は Condom と綴られているべきだろう。
*日本語訳
アレコミキ人たちはアジャンとレクトゥールを通り、
サン・フェリックスで会合を持つだろう。
バザスの人々が運悪く来るだろう、
コンドンとマルサンをすばやく占領しようとして。
**訳について
Artomiques は一般的な Arécomiques と同一視する見解に従った。
2行目のサン・フェリックスは地名で訳したが、祝日(聖フェリックスの日)の可能性もある。その場合、「聖フェリックスの日に会合を持つだろう」となる。
山根訳は特に問題はない。大乗訳は固有名詞の読みに問題が多いが、構文理解としては十分許容範囲内である。
*信奉者側の見解
[[セルジュ・ユタン]]はアトミック(Attomiques)とある版を採用し、原子爆弾の発明が明確に予言されているとした((Hutin [1978] p.55))。[[ボードワン・ボンセルジャン]]はさらに推測を進め、フランス南西部に核兵器が配備されることとした((Hutin [2002]))。
[[エリカ・チータム]]の『[[ノストラダムス全予言>ノストラダムス全予言 (二見書房)]]』日本語版でも、原子力関連の詩の可能性があることが示されていた。チータム自身、原書で触れてはいたが、日本語版の場合小見出しにも使っており、より強調されている。
こうした見解については、[[エリザベート・ベルクール]]のように、信奉者の中にも批判する者がいる。
そのベルクールはというと、[[Artomiques]]を異端者、[[l'Estore]]を聖書のエステル記、Basas をサバト(Sabbat)のアナグラム、サン=フェリックスはユルゲル大司教を務めた聖フェリックスからの連想でユルゲルと解釈している。ただし、具体的な解釈内容については[[アルベール・スロスマン]]の希望で明かせないとした((ベルクール [1982] pp.108-112))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は具体的なモデルは特定できないとしつつも、中世のアルビジョワ十字軍と関連があるのではないかとした((Lemesurier [2003b]))。
アトミックとある版を採用した[[ルイ・シュロッセ]]は、ノストラダムスが1530年代前半にアジャンの[[ジュール=セザール・スカリジェ]]のもとで学んでいたときに、古代ギリシャの原子論(atomisme)にも触れていたのだろうとした。原子論者たちは当時サン=フェリックス=ド=フォンコードで会合を持ったことがあったという((Schlosser [1986] pp.111-112))。
#ref(bazas.PNG)
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#comment
*原文
Les [[Artomiques]]&sup(){1} par Agen & [[l'Estore]]&sup(){2},
A sainct&sup(){3} Felix&sup(){4} feront leur&sup(){5} parlement&sup(){6} :
Ceulx de Basas viendront à&sup(){7} la mal'heure&sup(){8},
Saisir Condon&sup(){9} & Marsan promptement&sup(){10}.
**異文
(1) Artomiques : Artoniques 1557B 1589PV, Attomiques 1597 1600 1610, Atomiques 1611A
(2) l'Estore : l'Estoure 1590Ro, Lectore 1627 1644 1650Le 1650Ri 1653 1668 1840, ectore 1665, Lectoure 1672
(3) saint : Saint 1660
(4) Felix : felix 1590Ro
(5) leur : le 1557B 1589PV 1649Ca 1650Le 1668
(6) parlement : Parlement 1605 1611B 1649Xa, parliament 1672
(7) à : a 1588Rf
(8) mal'heure : malheure 1649Ca 1650Le 1668, malhoure 1672, mal-heure 1650Ri
(9) Condon : condon 1627, Condou 1665, Coudom 1668
(10) promptement : promprement 1665
**校訂
[[Artomiques]] については判断が難しい。
[[l'Estore]] が Lectore(Lectoure)の誤植であろうことにはほとんど異論がない。
saint Felix は Saint Felix または Saint-Félix の方が望ましい。
Condon は Condom と綴られているべきだろう。
*日本語訳
アレコミキ人たちはアジャンとレクトゥールを通り、
サン・フェリックスで会合を持つだろう。
バザスの人々が運悪く来るだろう、
コンドンとマルサンをすばやく占領しようとして。
**訳について
Artomiques は一般的な Arécomiques と同一視する見解に従った。
2行目のサン・フェリックスは地名で訳したが、祝日(聖フェリックスの日)の可能性もある。その場合、「聖フェリックスの日に会合を持つだろう」となる。
山根訳は特に問題はない。大乗訳は固有名詞の読みに問題が多いが、構文理解としては十分許容範囲内である。
*信奉者側の見解
[[セルジュ・ユタン]]はアトミック(Attomiques)とある版を採用し、原子爆弾の発明が明確に予言されているとした((Hutin [1978] p.55))。[[ボードワン・ボンセルジャン]]はさらに推測を進め、フランス南西部に核兵器が配備されることとした((Hutin [2002]))。
[[エリカ・チータム]]の『[[ノストラダムス全予言>ノストラダムス全予言 (二見書房)]]』日本語版でも、原子力関連の詩の可能性があることが示されていた。チータム自身、原書で触れてはいたが、日本語版の場合小見出しにも使っており、より強調されている。
こうした見解については、[[エリザベート・ベルクール]]のように、信奉者の中にも批判する者がいる。
そのベルクールはというと、[[Artomiques]]を異端者、[[l'Estore]]を聖書のエステル記、Basas をサバト(Sabbat)のアナグラム、サン=フェリックスはユルゲル大司教を務めた聖フェリックスからの連想でユルゲルと解釈している。ただし、具体的な解釈内容については[[アルベール・スロスマン]]の希望で明かせないとした((ベルクール [1982] pp.108-112))。
*同時代的な視点
[[ピーター・ラメジャラー]]は具体的なモデルは特定できないとしつつも、中世のアルビジョワ十字軍と関連があるのではないかとした((Lemesurier [2003b]))。
アトミックとある版を採用した[[ルイ・シュロッセ]]は、ノストラダムスが1530年代前半にアジャンの[[ジュール=セザール・スカリジェ]]のもとで学んでいたときに、古代ギリシャの原子論(atomisme)にも触れていたのだろうとした。原子論者たちは当時サン=フェリックス=ド=フォンコードで会合を持ったことがあったという((Schlosser [1986] pp.111-112))。
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