詩百篇第9巻62番

「詩百篇第9巻62番」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

詩百篇第9巻62番」(2020/03/11 (水) 03:05:30) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

[[詩百篇第9巻]]>62番* *原文 Au grand de Cheramon agora&sup(){1} Seront [[croisez>croiser]] par ranc&sup(){2} tous attachez, Le [[pertinax]]&sup(){3} [[Oppi]]&sup(){4}, & Mandragora&sup(){5}, [[Raugon]]&sup(){6} d'Octobre le tiers seront laschez. **異文 (1) Cheramon agora : Chera mon agora 1606PR 1607PR 1610Po 1611B, Cheramonagora 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1672Ga, Chera aussi de mon agora 1627Ma, Cherra aussi de mon agora 1627Di 1644Hu 1650Ri, Charamon agora 1650Mo, Cherra aussi le mon agora 1653AB 1665Ba 1720To, Chera aussi de mont agora 1650Le 1667Wi 1668, Cherra mon agora 1716PR, Cherra monagora 1840, Chera aussi mon agora 1981EB (2) ranc : rang 1603Mo 1610Po 1611B 1644Hu 1650Mo 1650Ri 1650Le 1653AB 1665Ba 1667Wi 1668 1720To 1840 1981EB, rangs 1672Ga (3) pertinax : portinaux 1605sn 1649Xa, Pertinax 1672Ga (4) Oppi : Appi 1627Di (5) Mandragora : mandragora 1568X 1590Ro (6) Raugon : Rogon 1650Mo, Reugon 1665Ba 1720To (7) d'Octobre : doctobre 1650Le **校訂  1行目の音節が足りておらず一語欠けていると推測される。このことは[[エヴリット・ブライラー]]、[[ジャン=ポール・クレベール]]らによって指摘されているが、何を入れるべきかについては誰も指摘していない。前半律の切れ目からすれば、grand の後に何かが欠けていると見るのが自然だろう。  [[Raugon]]には何らかの修正が必要だろう。当「大事典」では、Rançon とする[[ピーター・ラメジャラー]]の校訂を支持する。 *訳について ケラモンの大いなる広場で、 十字軍参加者たちが順番に全員繋がれるだろう。 効き目の長いアヘンとマンドラゴラ、 身代金によって、彼らは十月三日に解放されるだろう。 **訳について  1行目は grand と agora を関連させる[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従った。強引なようだが、こういう繋がり方の詩は他にも指摘されている。[[エヴリット・ブライラー]]は At the great [----] of the pottery market ((LeVert [1979]))と訳しており、これはこれで説得的で本来ならば「ケラモン・アゴラの大きな・・・で」としたかったが、単語の欠落を強調するような読みを採用することは極力避けたかったため、ここでは採用しなかった。  2行目 par ranc (rang) は中期フランス語で「決まった順序に従って」を意味する成句((DMF))。  4行目 [[Raugon]] はとりあえず[[ピーター・ラメジャラー]]の読み方に従い、「身代金」とした。ラメジャラーや[[ジャン=ポール・クレベール]]は「10月のRaugon(によって)、三分の一が解放されるだろう」と読んでいる。たしかに前半律と後半律の切れ方からすると悪くないが、動詞は複数形の主語に対応しており、単数の le tiers に対応しているようには読めない。そこで当「大事典」では、とりあえず「彼らは」が略されているとした[[エヴリット・ブライラー]]の読み方に従った。  山根訳1行目「シェラモン・アゴラの大立者に」は可能な訳。ただし、それに続く2行目「階級によるすべての十字が付属させられよう」はおかしい。2行目の seront croisez は「十字を付けられる」とも訳せるが、複数形の主語に対応しているので、単数の「大立者」は主語にならないし、前置詞 au の存在も不自然である。  3行目「鬼のながい阿片とマンダラゲ」の「鬼のながい」は根拠も意味も不明。ちなみに[[エリカ・チータム]]の原書で当てられている英訳は long lasting である。  4行目「ルーゴンは赦免されよう 十月三日に」は、[[エドガー・レオニ]]もしていた訳である。ただし、上でも述べたように「解放される」は複数形の主語に対応しているので、不適切だろう。なお、「ルーゴン」はチータムの原書で Rougon と綴られていたことを踏まえたものだろうから、底本の訳としては誤りではない。  大乗訳1行目「ケラモナゴラの一人に」((大乗 [1975] p.273))は、grand の意味合いが反映されていない。2行目「すべてをむすんで列を交差させ」や4行目「十月三日にローゴンは解放されるだろう」の問題点は山根訳とほぼ同じ。 *信奉者側の見解  信奉者側ではほとんど解釈されてこなかった詩である。  [[セルジュ・ユタン]]は Raugon を Rouge (赤)と見なして、1917年の十月革命と解釈した((Hutin [1978]))。  [[川尻徹]]はいくつかの文字を抜き出して Dalai と並べ替えたり Raugon をレーガン大統領(Reagan, 当時)とみなすなどして、ダライ・ラマが初めてアメリカ議会と対話した年(1987年)に起こった、チベット自治区での約30年ぶりの暴動を予言したものとした((川尻 [1988] pp.58-61))。 *同時代的な視点  ケラモンないしケラモン・アゴラが現在のウシャク(トルコ)のことだとする点は一致している。この地名はクセノフォンによって言及されているという。  細部の読み方はともかく、出典を特定できないまま十字軍に関する知られざる逸話が元になっていると推測した[[ピーター・ラメジャラー]]の読み方は、十分に説得力がある。  他方で、陶器市で知られた都市であったことからケラモン・アゴラを陶器市(pottery market)の隠喩とした上で、アヘンやマンドラゴラが登場していることを踏まえて薬学や錬金術に関する詩ではないかとした[[エヴリット・ブライラー]]の読み方にも一定の説得力は認められる。  ただいずれにしても、その他[[エドガー・レオニ]]、[[ジャン=ポール・クレベール]]らも含め、この詩のモデルなどについて整合的な解釈を提示した論者はいないようである。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 満州人の清王朝で起こったアヘン戦争とアロー戦争などを予言。 -- とある信奉者 (2010-04-02 22:14:56) - 実は「身代金」が開放される. -- とある信奉者 (2011-08-06 12:16:57) - Raugon d'Octobre → GORDON OCTBRE [AU=O]: 太平天国の乱を鎮圧したチャールズ・ゴードンのアナグラム -- とある信奉者 (2011-08-06 12:27:03)
[[詩百篇第9巻]]>62番* *原文 Au grand de Cheramon agora&sup(){1} Seront [[croisez>croiser]] par ranc&sup(){2} tous attachez, Le [[pertinax]]&sup(){3} [[Oppi]]&sup(){4}, & Mandragora&sup(){5}, [[Raugon]]&sup(){6} d'Octobre le tiers seront laschez. **異文 (1) Cheramon agora : Chera mon agora 1606PR 1607PR 1610Po 1611B, Cheramonagora 1605sn 1628dR 1649Ca 1649Xa 1672Ga, Chera aussi de mon agora 1627Ma, Cherra aussi de mon agora 1627Di 1644Hu 1650Ri, Charamon agora 1650Mo, Cherra aussi le mon agora 1653AB 1665Ba 1720To, Chera aussi de mont agora 1650Le 1667Wi 1668, Cherra mon agora 1716PR, Cherra monagora 1840, Chera aussi mon agora 1981EB (2) ranc : rang 1603Mo 1610Po 1611B 1644Hu 1650Mo 1650Ri 1650Le 1653AB 1665Ba 1667Wi 1668 1720To 1840 1981EB, rangs 1672Ga (3) pertinax : portinaux 1605sn 1649Xa, Pertinax 1672Ga (4) Oppi : Appi 1627Di (5) Mandragora : mandragora 1568X 1590Ro (6) Raugon : Rogon 1650Mo, Reugon 1665Ba 1720To (7) d'Octobre : doctobre 1650Le **校訂  1行目の音節が足りておらず一語欠けていると推測される。このことは[[エヴリット・ブライラー]]、[[ジャン=ポール・クレベール]]らによって指摘されているが、何を入れるべきかについては誰も指摘していない。前半律の切れ目からすれば、grand の後に何かが欠けていると見るのが自然だろう。  [[Raugon]]には何らかの修正が必要だろう。当「大事典」では、Rançon とする[[ピーター・ラメジャラー]]の校訂を支持する。 *訳について ケラモンの大いなる広場で、 十字軍参加者たちが順番に全員繋がれるだろう。 効き目の長いアヘンとマンドラゴラ、 身代金によって、彼らは十月三日に解放されるだろう。 **訳について  1行目は grand と agora を関連させる[[ジャン=ポール・クレベール]]の読み方に従った。強引なようだが、こういう繋がり方の詩は他にも指摘されている。  [[エヴリット・ブライラー]]は At the great [----] of the pottery market ((LeVert [1979]))と訳している。これはこれで説得的で、本来ならば当「大事典」も、「ケラモン・アゴラの大きな・・・で」としたかったが、単語の欠落を強調するような読みを採用することは極力避けたかったため、ここでは採用しなかった。  2行目 par ranc (rang) は中期フランス語で「決まった順序に従って」を意味する成句((DMF))。  4行目 [[Raugon]] はとりあえず[[ピーター・ラメジャラー]]の読み方に従い、「身代金」とした。ラメジャラーや[[ジャン=ポール・クレベール]]は「10月のRaugon(によって)、三分の一が解放されるだろう」と読んでいる。  たしかに前半律と後半律の切れ方からすると悪くないが、動詞は複数形の主語に対応しており、単数の le tiers に対応しているようには読めない。そこで当「大事典」では、とりあえず「彼らは」が略されているとした[[エヴリット・ブライラー]]の読み方に従った。  既存の訳についてもコメントしておく。  山根訳1行目「シェラモン・アゴラの大立者に」は可能な訳。ただし、それに続く2行目「階級によるすべての十字が付属させられよう」はおかしい。2行目の seront croisez は「十字を付けられる」とも訳せるが、複数形の主語に対応しているので、単数の「大立者」は主語にならないし、前置詞 au の存在も不自然である。  3行目「鬼のながい阿片とマンダラゲ」の「鬼のながい」は根拠も意味も不明。ちなみに[[エリカ・チータム]]の原書で当てられている英訳は long lasting である。  4行目「ルーゴンは赦免されよう 十月三日に」は、[[エドガー・レオニ]]もしていた訳である。ただし、上でも述べたように「解放される」は複数形の主語に対応しているので、不適切だろう。なお、「ルーゴン」はチータムの原書で Rougon と綴られていたことを踏まえたものだろうから、底本の訳としては誤りではない。  大乗訳1行目「ケラモナゴラの一人に」((大乗 [1975] p.273))は、grand の意味合いが反映されていない。2行目「すべてをむすんで列を交差させ」や4行目「十月三日にローゴンは解放されるだろう」の問題点は山根訳とほぼ同じ。 *信奉者側の見解  信奉者側ではほとんど解釈されてこなかった詩である。  [[セルジュ・ユタン]]は Raugon を Rouge (赤)と見なして、1917年の十月革命と解釈した((Hutin [1978]))。  [[川尻徹]]はいくつかの文字を抜き出して Dalai と並べ替えたり Raugon をレーガン大統領(Reagan, 当時)とみなすなどして、ダライ・ラマが初めてアメリカ議会と対話した年(1987年)に起こった、チベット自治区での約30年ぶりの暴動を予言したものとした((川尻 [1988] pp.58-61))。 *同時代的な視点  ケラモンないしケラモン・アゴラが現在のウシャク(トルコ)のことだとする点は一致している。この地名はクセノフォンによって言及されているという。  細部の読み方はともかく、出典を特定できないまま十字軍に関する知られざる逸話が元になっていると推測した[[ピーター・ラメジャラー]]の読み方は、十分に説得力がある。  他方で、陶器市で知られた都市であったことからケラモン・アゴラを陶器市(pottery market)の隠喩とした上で、アヘンやマンドラゴラが登場していることを踏まえて薬学や錬金術に関する詩ではないかとした[[エヴリット・ブライラー]]の読み方にも、一定の説得力は認められる。  ただいずれにしても、その他[[エドガー・レオニ]]、[[ジャン=ポール・クレベール]]らも含め、この詩のモデルなどについて整合的な解釈を提示した論者はいないようである。 #googlemaps(){<iframe src="https://www.google.com/maps/embed?pb=!1m18!1m12!1m3!1d99683.76025247523!2d29.33616001036007!3d38.66916741580691!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x14c87fd9700e8031%3A0xe9e1c5b72df9bba3!2z44OI44Or44KzIOOCpuOCt-ODo-OCryBVxZ9hayBNZXJrZXosIOOCpuOCt-ODo-OCrw!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1583892559222!5m2!1sja!2sjp" width="600" height="450"></iframe>} ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。 ---- &bold(){コメントらん} 以下に投稿されたコメントは&u(){書き込んだ方々の個人的見解であり}、当「大事典」としては、その信頼性などをなんら担保するものではありません (当「大事典」管理者である sumaru 自身によって投稿されたコメントを除く)。  なお、現在、コメント書き込みフォームは撤去していますので、新規の書き込みはできません。 - 満州人の清王朝で起こったアヘン戦争とアロー戦争などを予言。 -- とある信奉者 (2010-04-02 22:14:56) - 実は「身代金」が開放される. -- とある信奉者 (2011-08-06 12:16:57) - Raugon d'Octobre → GORDON OCTBRE [AU=O]: 太平天国の乱を鎮圧したチャールズ・ゴードンのアナグラム -- とある信奉者 (2011-08-06 12:27:03)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: