百詩篇第6巻4番

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*原文 Le Celtiq fleuue&sup(){1} changera de riuaige&sup(){2}, Plus ne tiendra&sup(){3} la cité&sup(){4} d'Agripine&sup(){5}: Tout&sup(){6} transmué ormis&sup(){7} le vieil&sup(){8} langaige&sup(){9}, Saturne, &sup(){10} Leo, Mars&sup(){11}, Cancer&sup(){12} en [[rapine]]. **異文 (1) Le Celtiq fleuue : Le Celtiq^ fleuue 1557B, Le Celtique fleuue 1644 1649Ca 1650Le 1650Ri 1653 1660 1665 16671668, Le celtique fleuue 1588-89, La Celtiq fleuue 1600 1610 1716, Fluue Celtique 1594JF(p.288), Fleuue Celtique 1605 1628 1649Xa 1672 (2) riuaige 1557U 1557B 1568 : riuage &italic(){T.A.Eds.}(&italic(){sauf} Rivage 1672) (3) Plus ne tiendra : Plus tiendra 1588-89 (4) cité : Cité 1672 (5) Agripine : Aripine 1557B 1589PV 1649Ca, agripine 1588-89 1627 (6) Tout : Pour 1588-89 (7) ormis : hormis 1588-89 1590Ro 1597 1600 1610 1627 1650Le 1665 1716 1772Ri 1840, horsmis 1644 1650Ri 1653 1672 (8) vieil : viel 1605 1649Xa 1653 1660 1672 (9) langaige 1557U 1557B 1568 : langage &italic(){T.A.Eds.}(&italic(){sauf} Language 1672) (10) Saturne,: Saturue, 1590Ro, Saturn. 1594JF 1605 1628 1649Xa, Saturn, 1672 (11) Mars : Marc 1600 (12) Cancer : cancer 1588-89 (注記1)1557Bの一行目の異文の^はqの直上の波線の代用。 (注記2)1594JF(p.288)は1行目と4行目の途中までだけを抜粋する変則的な引用をしている(Fluue Celtique changera de riuage./Saturn. Leo, Mars Cancer.)。 **校訂  3行目 ormis は hormis の方が好ましいが、この程度は綴りの揺れの範囲かもしれない。 *日本語訳 ケルトの川が岸を変え、 もはやアグリッピナの都市を流れることはないだろう。 古い言葉以外の全てが変えられる。 土星は獅子宮、火星は巨蟹宮にて略奪。 **訳について  4行目 [[rapine]] の訳は論者によってまちまちである。ここでは中期フランス語の直訳に一番近いように「略奪」とした。  山根訳はケルトを「フランス」と訳すことの当否を措けば、特に問題はない。  大乗訳前半2行「ライン川は岸辺を変え/植民地の町にはもはやふれず」((大乗 [1975] p.176))は[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳の直訳だが、the city of Cologne を「植民地の町」と訳すのは明らかに誤訳。ちなみに解説部分に出てくる「植民地的国家」も原語は単なる Cologne である。 *信奉者側の見解  [[アンドレ・ラモン]](1943年)は1947年までにフランス国境がライン川を越えることになると解釈した((Lamont [1943] p.306))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]](1980年)は、ここでの都市をパリと解釈し、ネロとアグリッピナに対比させつつパリが共産主義者に炎上させられる予言とした。ノストラダムスが1983年パリ壊滅を予言したとして、かつてフランスではフォンブリュヌの本がベストセラーになったが、これはその中核に位置する詩のひとつだった。  [[エリザベート・ベルクール]]はフォンブリュヌの解釈を批判し、アグリッピナの都市はケルンと解釈すべきで、パリと強引に結びつけるのはこじつけだと批判した((ベルクール [1982] pp.118-122))。 *同時代的な視点  アグリッピナの都市はコロニア・アグリッピナ(アグリッピナの植民都市)を語源に持つ都市ケルンのことだろう。この点は、フォンブリュヌ親子のような例外を除けば、信奉者側の解釈も一致している。  [[ピエール・ブランダムール]]は4行目の土星が獅子宮にあり、火星が巨蟹宮にある星位は1594年5月を指していると考えた。その時にはライン川がケルンを流れなくなっていることなどを表現したものだという((Brind’Amour [1993] p.252))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は4行目の [[rapine]] は失墜(chute)の意味であり、土星が獅子宮にあり、火星が巨蟹宮で失墜している星位とし、それは1564年が該当するとした。レオウィティウスを始めとして占星術師の中には1564年を重要な転機と位置づける者もいた。ノストラダムスもまたこの年が大動乱を前にした重要な年と見ていたのではないかという。  ライン川への言及があるのは、ケルト周辺でのライン川の流れが何度も変わってきたことになぞらえ、ラテン諸国家(「古い言語」)を除いて様々な国々が大きな変化に見舞われることを表現したものだという((Prévost [1999] pp.114-115))。  [[ピーター・ラメジャラー]]は、4行目の星位が1536年を示しているとし、この年にカール5世がライン川を越えてフランスに侵攻したことがモデルになっていると判断した((Lemesurier [2003b]))。 ---- #comment
*原文 Le Celtiq fleuue&sup(){1} changera de riuaige&sup(){2}, Plus ne tiendra&sup(){3} la cité&sup(){4} d'Agripine&sup(){5}: Tout&sup(){6} transmué ormis&sup(){7} le vieil&sup(){8} langaige&sup(){9}, Saturne, &sup(){10} Leo, Mars&sup(){11}, Cancer&sup(){12} en [[rapine]]. **異文 (1) Le Celtiq fleuue : Le Celtiq^ fleuue 1557B, Le Celtique fleuue 1644 1649Ca 1650Le 1650Ri 1653 1660 1665 16671668, Le celtique fleuue 1588-89, La Celtiq fleuue 1600 1610 1716, Fluue Celtique 1594JF(p.288), Fleuue Celtique 1605 1628 1649Xa 1672 (2) riuaige 1557U 1557B 1568 : riuage &italic(){T.A.Eds.}(&italic(){sauf} Rivage 1672) (3) Plus ne tiendra : Plus tiendra 1588-89 (4) cité : Cité 1672 (5) Agripine : Aripine 1557B 1589PV 1649Ca, agripine 1588-89 1627 (6) Tout : Pour 1588-89 (7) ormis : hormis 1588-89 1590Ro 1597 1600 1610 1627 1650Le 1665 1716 1772Ri 1840, horsmis 1644 1650Ri 1653 1672 (8) vieil : viel 1605 1649Xa 1653 1660 1672 (9) langaige 1557U 1557B 1568 : langage &italic(){T.A.Eds.}(&italic(){sauf} Language 1672) (10) Saturne,: Saturue, 1590Ro, Saturn. 1594JF 1605 1628 1649Xa, Saturn, 1672 (11) Mars : Marc 1600 (12) Cancer : cancer 1588-89 (注記1)1557Bの一行目の異文の^はqの直上の波線の代用。 (注記2)1594JF(p.288)は1行目と4行目の途中までだけを抜粋する変則的な引用をしている(Fluue Celtique changera de riuage./Saturn. Leo, Mars Cancer.)。 **校訂  3行目 ormis は hormis の方が好ましいが、この程度は綴りの揺れの範囲かもしれない。 *日本語訳 ケルトの川が岸を変え、 もはやアグリッピナの都市を流れることはないだろう。 古い言葉以外の全てが変えられる。 土星は獅子宮、火星は巨蟹宮にて略奪。 **訳について  4行目 [[rapine]] の訳は論者によってまちまちである。ここでは中期フランス語の直訳に一番近いように「略奪」とした。  山根訳はケルトを「フランス」と訳すことの当否を措けば、特に問題はない。  大乗訳前半2行「ライン川は岸辺を変え/植民地の町にはもはやふれず」((大乗 [1975] p.176))は[[ヘンリー・C・ロバーツ]]の英訳の直訳だが、the city of Cologne を「植民地の町」と訳すのは明らかに誤訳。ちなみに解説部分に出てくる「植民地的国家」も原語は単なる Cologne である。 *信奉者側の見解  [[アンドレ・ラモン]](1943年)は1947年までにフランス国境がライン川を越えることになると解釈した((Lamont [1943] p.306))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]](1980年)は、ここでの都市をパリと解釈し、ネロとアグリッピナに対比させつつパリが共産主義者に炎上させられる予言とした。ノストラダムスが1983年パリ壊滅を予言したとして、かつてフランスではフォンブリュヌの本がベストセラーになったが、これはその中核に位置する詩のひとつだった。  [[エリザベート・ベルクール]]はフォンブリュヌの解釈を批判し、アグリッピナの都市はケルンと解釈すべきで、パリと強引に結びつけるのはこじつけだと批判した((ベルクール [1982] pp.118-122))。 *同時代的な視点  アグリッピナの都市はコロニア・アグリッピネンシス(アグリッピナの植民都市)を語源に持つ都市ケルンのことだろう。この点は、フォンブリュヌ親子のような例外を除けば、信奉者側の解釈も一致している。  [[ピエール・ブランダムール]]は4行目の土星が獅子宮にあり、火星が巨蟹宮にある星位は1594年5月を指していると考えた。その時にはライン川がケルンを流れなくなっていることなどを表現したものだという((Brind’Amour [1993] p.252))。  [[ロジェ・プレヴォ]]は4行目の [[rapine]] は失墜(chute)の意味であり、土星が獅子宮にあり、火星が巨蟹宮で失墜している星位とし、それは1564年が該当するとした。[[レオウィティウス>キュプリアヌス・レオウィティウス]]を始めとして占星術師の中には1564年を重要な転機と位置づける者もいた。ノストラダムスもまたこの年が大動乱を前にした重要な年と見ていたのではないかという。  ライン川への言及があるのは、ケルト周辺でのライン川の流れが何度も変わってきたことになぞらえ、ラテン諸国家(「古い言語」)を除いて様々な国々が大きな変化に見舞われることを表現したものだという((Prévost [1999] pp.114-115))。  [[ピーター・ラメジャラー]]は、4行目の星位が1536年を示しているとし、この年にカール5世がライン川を越えてフランスに侵攻したことがモデルになっていると判断した((Lemesurier [2003b]))。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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