raffe ne riffe

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 &bold(){raffe ne riffe} は、読み方に関する定説が存在しない句。  [[エドガー・レオニ]]はプロヴァンス語の de rifla ou de raffa のことで、by hook or by crook(是が非でも、何が何でも)の意味だとしている((Leoni [1982] p.294))。[[ピーター・ラメジャラー]]もこれを踏襲し、coûte que coûte(是が非でも)という現代フランス語訳まで添えている((Lemesurier [2003]))。訳し方の点では[[リチャード・スモーレー]]も同じである((Smoley [2006]))。  意味は異なるものの、成句と見るという点では[[テオフィル・ド・ガランシエール]]も同じだった。彼は、topse-turvy(topsy-turvy, あべこべに、めちゃくちゃに)という訳語をあてており、これは[[ヘンリー・C・ロバーツ]]も同じだった。  フランス語圏の解釈者や研究者は、別の見解を持っている。  [[アナトール・ル・ペルチエ]](1867年)は raffe をロマン語の raffla(掠奪、略取)とし、riffe もロマン語で「引っ掻き傷、擦り傷」の意味だとしている。これは[[シャルル・レノー=プランス]]や[[ミシェル・デュフレーヌ]]もそのまま踏襲した((Reynaud-Planse [1940] ; Dufresne, Dictionnaire Nostradamus,1989))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]は、raffe を rafler(掻っ払う)の古い形、riffe を rifler(盗む)の古い形と見た((Fontbrune [1980/1982]))。  [[ブリューノ・プテ=ジラール]]は、raffe は「掻っ払われたもの」、riffe は「火」または「引っ掻き傷」としている((Petey-Girard [2003]))。  [[マリニー・ローズ]]は、raffe はrafle(ブドウの空房、穀物の空穂)、riffe は rif(火)の綴り上の揺れという、現代フランス語辞典にも載っている通りの用法も載せているが、raffe ne riffe はむしろ通俗的な表現で「掠奪すべきものも掻っ払うべきものも何もない」ことを意味していると推測している((Rose [2002c] p.302))。ローズの読み方は比較的文脈に当てはまりうるように思う。百詩篇第6巻49番のこの句の直前は十字架(キリスト教)が追い払われる話、句の後は捕虜や財宝などの奪い去られた(?)項目が並んでいるからである。  正確な語義が何であれ、日本語でしばしば見られるような「カギ形に曲がった」といった訳は難しそうだという点を、とりあえずは確認しておきたい。riffe は griffe(カギ爪)の語頭音消失と見ることができるかもしれないが、直前に ne をとって否定してしまっているのは、「カギ形に曲がった」の支持者にとっては都合が悪いだろう。 *登場箇所 -[[百詩篇第6巻49番]] ---- #comment
 &bold(){raffe ne riffe} は、[[詩百篇第6巻49番>百詩篇第6巻49番]]に登場する、読み方に関する定説が存在しない句。  [[エドガー・レオニ]]はプロヴァンス語の de rifla ou de raffa のことで、by hook or by crook(是が非でも、何が何でも)の意味だとしている((Leoni [1982] p.294))。[[ピーター・ラメジャラー]]もこれを踏襲し、coûte que coûte(是が非でも)という現代フランス語訳まで添えている((Lemesurier [2003]))。訳し方の点では[[リチャード・スモーレー]]も同じである((Smoley [2006]))。  意味は異なるものの、成句と見るという点では[[テオフィル・ド・ガランシエール]]も同じだった。彼は、topse-turvy(topsy-turvy, あべこべに、めちゃくちゃに)という訳語をあてており、これは[[ヘンリー・C・ロバーツ]]も同じだった。  フランス語圏の解釈者や研究者は、別の見解を持っている。  [[アナトール・ル・ペルチエ]](1867年)は raffe をロマン語の raffla(掠奪、略取)とし、riffe もロマン語で「引っ掻き傷、擦り傷」の意味だとしている。これは[[シャルル・レノー=プランス]]や[[ミシェル・デュフレーヌ]]もそのまま踏襲した((Reynaud-Planse [1940] ; Dufresne, Dictionnaire Nostradamus,1989))。  [[ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ]]は、raffe を rafler(掻っ払う)の古い形、riffe を rifler(盗む)の古い形と見た((Fontbrune [1980/1982]))。  [[ブリューノ・プテ=ジラール]]は、raffe は「掻っ払われたもの」、riffe は「火」または「引っ掻き傷」としている((Petey-Girard [2003]))。  [[マリニー・ローズ]]は、raffe はrafle(ブドウの空房、穀物の空穂)、riffe は rif(火)の綴り上の揺れという、現代フランス語辞典にも載っている通りの用法も載せているが、raffe ne riffe はむしろ通俗的な表現で「掠奪すべきものも掻っ払うべきものも何もない」ことを意味していると推測している((Rose [2002c] p.302))。ローズの読み方は比較的文脈に当てはまりうるように思う。百詩篇第6巻49番のこの句の直前は十字架(キリスト教)が追い払われる話、句の後は捕虜や財宝などの奪い去られた(?)項目が並んでいるからである。  正確な語義が何であれ、日本語でしばしば見られるような「カギ形に曲がった」といった訳は難しそうだという点を、とりあえずは確認しておきたい。riffe は griffe(カギ爪)の語頭音消失と見ることができるかもしれないが、直前に ne をとって否定してしまっているのは、「カギ形に曲がった」の支持者にとっては都合が悪いだろう。 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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