ノストラダムスの大予言II

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 『&bold(){ノストラダムスの大予言II}』は1979年に出版された[[五島勉]]の著書。  [[『ノストラダムスの大予言』シリーズ]]の第2弾で、1980年度のベストセラーランキング総合第3位((出版ニュース社調べ。塩澤実信『昭和ベストセラー世相史』による。))。  公称発行部数は1991年の時点で100万部((志水一夫『大予言の嘘』による。大元の出典は『SPA!』 1991年3月20日号の特集記事のようである。))、1997年の時点で92万部((『日経エンタテインメント!』調査 「[[本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)>>http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html]](ミラー・サイト)による。))とされていた。 #amazon(4396101619) 【画像】カバー表紙 *内容  まず、サブタイトルにもなっている[[グランド・クロス]]について、それをとりあげたテレビ番組を引き合いに出しつつ紹介している。  その際に、1999年8月18日に太陽系の惑星が地球からの見かけ上、十字に並ぶことが説明され、さらに[[フランク・スタッカート]]の説の紹介として当時のヨーロッパでは太陰暦が使われており、当時の暦でいう1999年7月は現在の暦の1999年8月だと指摘されている(第1章)。  そして、このグランド・クロスについて占星術師の[[フェニックス・ノア]]に電話取材した内容が紹介され、ノアの話として1999年のグランド・クロスは一部の占星術師からは「[[黙示録の十字]]」と呼ばれて恐れられていることが示されている(第2章)。  五島は次に『[[ブロワ城の問答]]』という史料からの要約として、ノストラダムスがカトリーヌ・ド・メディシスに[[恐怖の大王]]の正体は姿の見えないもので、それが降った後にすべてが変わり果てている情景が見えたと語ったと紹介している(第3章)。  第4章から第7章では、ノストラダムス予言と聖書の解釈結果として、1980年代以降に起こるであろう出来事が述べられている。  その筋書きは、ヨーロッパの統一と独裁者ヘンリー・Cの誕生のあと、1986年のハレー彗星接近の頃に第五次中東戦争が勃発、ソ連軍・統一ヨーロッパ軍・中国軍の相次ぐ参戦によって戦火が拡大しつづけ第三次世界大戦になだれ込むといったものである。  第8章ではそれに加えて極ジャンプが起こるかもしれないとする一方、『ブロワ城の問答』の続きの部分の要約として、ノストラダムスは恐怖の大王が降る前に「[[別のもの]]」が現れれば破局から救われるという見通しを持っていたことが語られている。 *コメント  五島の未来シナリオが完全に外れたことについては、いまさら検証するまでもないので詳述しない。  [[山本弘]]はのちの日本のノストラダムス本の定番といえる題材が出揃った本と評していた((山本 [1999] p.79))。  確かにこの本によって、 -当時のヨーロッパは太陰暦 -ノストラダムスは恐怖の大王が目に見えないと語った -『別のもの』はノストラダムス予言の重要なキーワード といったいずれも&color(red){事実と反する“基礎知識”が日本に定着してしまった}感がある。  特に「自分の集団こそが『別のもの』」と主張する宗教団体やオカルト系団体が続々現れる契機を作ってしまった点で、日本のノストラダムス現象の少なくとも一部を、国際的に見てきわめて異質な方向へ牽引したように思われる。  [[原田実]]も、「別のもの」が当時の霊能者たちに与えた影響の大きさを指摘している((『原田実の日本霊能史講座』楽工社、pp.455-456. なお、原田は「別のもの」による救済が『大予言』初巻で登場しているかのように書いているが、事実ではない。))。  実際にはスタッカートは当時のヨーロッパが太陰暦だったとは述べていなかったし((ジョン・ホワイト『地球の最期を予測する』三笠書房、p.272))、当然史実にも反している。『[[ブロワ城の問答]]』も実在しない。「別のもの」に至っては、[[ピエール・ブランダムール]]のように単なる誤植と見る者すらいるくらいで、なんら特別な用語とはみなせない([[第1巻48番>百詩篇第1巻48番]]を参照)。  [[田窪勇人]]はこの本の謎解きゲームのようなアプローチが類書の氾濫を招いたことを指摘している((田窪「日本におけるノストラダムス受容史」『ユリイカ』1999年2月号、p.149))。  それとの関連では、『大予言』初巻に比べて[[アナグラム]]が多用されていることも指摘しておきたい。  最後に副題にもなった「グランド・クロス」だが、羽仁礼によれば、これを『ヨハネの黙示録』と関連付けて「[[黙示録の十字]]」と呼んだのはフェニックス・ノアが最初らしい((羽仁『図解 西洋占星術』新紀元社、p.208))。  それが事実だとすれば、ノアの話は一定数の占星術師たちの共通認識というよりも、彼の個人的見解にすぎなかった可能性もある。 *書誌 :書名|ノストラダムスの大予言II :副題|1999年の破滅を不可避にする大十字(グランド・クロス) :著者|五島勉 :版元|祥伝社 :出版日|1979年12月5日 :注記|推薦文を寄せているのは、徳光和夫(日本テレビアナウンサー)、結城モイラ(西洋占星術師)、[[桜井邦朋]](神奈川大学教授)(肩書きはいずれも著書刊行時のもの)。 **外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre| Nostradamus no dai-yogen II. (trad. / Les Grandes Prophéties de Nostradamus, Tome II) :Sous-titre|1999nen no hakyoku wo fukahi ni suru Grand-Cross (trad. / L'an 1999, nous ne pourrons jamais éviter la catastrophe à cause de la Grande-Croix.) :Auteur| GOTÔ Ben :Publication| Shôdensha :Lieu|Tokyo, Japon :Date|le 5 Décembre 1979 :Note|examen des quatrains I-17, I-23, I-32, I-48, I-49, I-50, I-70, II-29, II-43, II-45, II-46, II-81, II-92, III-3, III-4, III-5, III-55, III-77, IV-15, IV-29, V-8, V-25, V-54, V-62, V-81, VI-5, VI-70, VII-40, IX-20, IX-34, IX-44, X-60, X-67, X-72, X-86 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。
 『&bold(){ノストラダムスの大予言II}』は1979年に出版された[[五島勉]]の著書。  [[『ノストラダムスの大予言』シリーズ]]の第2弾で、1980年度のベストセラーランキング総合第3位((出版ニュース社調べ。塩澤実信『昭和ベストセラー世相史』による。))。  公称発行部数は1991年の時点で100万部((志水一夫『大予言の嘘』による。大元の出典は『SPA!』 1991年3月20日号の特集記事のようである。))、1997年の時点で92万部((『日経エンタテインメント!』調査 「[[本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)>>http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html]](ミラー・サイト)による。))とされていた(数値が不自然なようだが、出典のママ)。 #amazon(4396101619) 【画像】カバー表紙 *内容  まず、サブタイトルにもなっている[[グランド・クロス]]について、それをとりあげたテレビ番組を引き合いに出しつつ紹介している。  その際に、1999年8月18日に太陽系の惑星が地球からの見かけ上、十字に並ぶことが説明され、さらに[[フランク・スタッカート]]の説の紹介として当時のヨーロッパでは太陰暦が使われており、当時の暦でいう1999年7月は現在の暦の1999年8月だと指摘されている(第1章)。  そして、このグランド・クロスについて占星術師の[[フェニックス・ノア]]に電話取材した内容が紹介され、ノアの話として1999年のグランド・クロスは一部の占星術師からは「[[黙示録の十字]]」と呼ばれて恐れられていることが示されている(第2章)。  五島は次に『[[ブロワ城の問答]]』という史料からの要約として、ノストラダムスがカトリーヌ・ド・メディシスに[[恐怖の大王]]の正体は姿の見えないもので、それが降った後にすべてが変わり果てている情景が見えたと語ったと紹介している(第3章)。  第4章から第7章では、ノストラダムス予言と聖書の解釈結果として、1980年代以降に起こるであろう出来事が述べられている。  その筋書きは、ヨーロッパの統一と独裁者ヘンリー・Cの誕生のあと、1986年のハレー彗星接近の頃に第五次中東戦争が勃発、ソ連軍・統一ヨーロッパ軍・中国軍の相次ぐ参戦によって戦火が拡大しつづけ第三次世界大戦になだれ込むといったものである。  第8章ではそれに加えて極ジャンプが起こるかもしれないとする一方、『ブロワ城の問答』の続きの部分の要約として、ノストラダムスは恐怖の大王が降る前に「[[別のもの]]」が現れれば破局から救われるという見通しを持っていたことが語られている。 *コメント  五島の未来シナリオが完全に外れたことについては、いまさら検証するまでもないので詳述しない。  [[山本弘]]はのちの日本のノストラダムス本の定番といえる題材が出揃った本と評していた((山本 [1999] p.79))。  確かにこの本によって、 -当時のヨーロッパは太陰暦 -ノストラダムスは恐怖の大王が目に見えないと語った -『別のもの』はノストラダムス予言の重要なキーワード といったいずれも&color(red){事実と反する“基礎知識”が日本に定着してしまった}感がある。  特に「自分の集団こそが『別のもの』」と主張する宗教団体やオカルト系団体が続々現れる契機を作ってしまった点で、日本のノストラダムス現象の少なくとも一部を、国際的に見てきわめて異質な方向へ牽引したように思われる。  [[原田実]]も、「別のもの」が当時の霊能者たちに与えた影響の大きさを指摘している((『原田実の日本霊能史講座』楽工社、pp.455-456. なお、原田は「別のもの」による救済が『大予言』初巻で登場しているかのように書いているが、事実ではない。))。  実際にはスタッカートは当時のヨーロッパが太陰暦だったとは述べていなかったし((ジョン・ホワイト『地球の最期を予測する』三笠書房、p.272))、当然史実にも反している。『[[ブロワ城の問答]]』も実在しない。「別のもの」に至っては、[[ピエール・ブランダムール]]のように単なる誤植と見る者すらいるくらいで、なんら特別な用語とはみなせない([[第1巻48番>百詩篇第1巻48番]]を参照)。  [[田窪勇人]]はこの本の謎解きゲームのようなアプローチが類書の氾濫を招いたことを指摘している((田窪「日本におけるノストラダムス受容史」『ユリイカ』1999年2月号、p.149))。  それとの関連では、『大予言』初巻に比べて[[アナグラム]]が多用されていることも指摘しておきたい。  最後に副題にもなった「グランド・クロス」だが、羽仁礼によれば、これを『ヨハネの黙示録』と関連付けて「[[黙示録の十字]]」と呼んだのはフェニックス・ノアが最初らしい((羽仁『図解 西洋占星術』新紀元社、p.208))。  それが事実だとすれば、ノアの話は一定数の占星術師たちの共通認識というよりも、彼の個人的見解にすぎなかった可能性もある。 *書誌 :書名|ノストラダムスの大予言II :副題|1999年の破滅を不可避にする大十字(グランド・クロス) :著者|五島勉 :版元|祥伝社 :出版日|1979年12月5日 :注記|推薦文を寄せているのは、徳光和夫(日本テレビアナウンサー)、結城モイラ(西洋占星術師)、[[桜井邦朋]](神奈川大学教授)(肩書きはいずれも著書刊行時のもの)。 **外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre| Nostradamus no dai-yogen II. (trad. / Les Grandes Prophéties de Nostradamus, Tome II) :Sous-titre|1999nen no hakyoku wo fukahi ni suru Grand-Cross (trad. / L'an 1999, nous ne pourrons jamais éviter la catastrophe à cause de la Grande-Croix.) :Auteur| GOTÔ Ben :Publication| Shôdensha :Lieu|Tokyo, Japon :Date|le 5 Décembre 1979 :Note|examen des quatrains I-17, I-23, I-32, I-48, I-49, I-50, I-70, II-29, II-43, II-45, II-46, II-81, II-92, III-3, III-4, III-5, III-55, III-77, IV-15, IV-29, V-8, V-25, V-54, V-62, V-81, VI-5, VI-70, VII-40, IX-20, IX-34, IX-44, X-60, X-67, X-72, X-86 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

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