予兆詩第110番

予兆詩第110番(旧100番) 1564年8月について

原文

Deluge près, peste bovine 1 , neuve
Secte flechir, aux hommes joye vaine.
De loy sans loy, mis au devant pour preuve.
Apast, embuche, & deceus couper veine. *1

異文

(1) bovine 1589Rec 1594JF : bouiue 1605 1628 1649Xa 1649Ca 1650Le 1668

(注記)1589Rec はジャン=エメ・ド・シャヴィニーの手稿『散文予兆集成』の異文。この年向けの予兆詩は、初出に当たるフランス語版の暦書どころか英語訳やイタリア語訳すら確認されていないため、復元にあたっての底本は1589Rec になる。

日本語訳

洪水が近い、牛のペスト、新しい
宗派は衰える。人々に空虚な喜び。
法なき法により、証拠として前に置かれる。
餌、罠、そして脈を断つために欺かれる。

訳について

 1行目から2行目は「新しい宗派は衰える」という形で繋がっている。変則的ではあるが、ベルナール・シュヴィニャールが採用した句読点の打ち方と、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーの読み方を尊重するとそれが妥当だろう。
 なお、そこでの「宗派」は便宜的な読み方であり、「党派」などとも訳せる。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、部分的に1564年の洪水と宗教上の対立についての予言とした。「牛のペスト」には触れていない。3行目は前の詩の4行目と関連があるのかもしれないとした。
 「新しい宗派が衰える」というのは1572年のサン=バルテルミーの虐殺でプロテスタント側の有力者達が殺されたことを指すという *2

同時代的な視点

 「牛のペスト」は牛疫のことだろう。これは古来、牛のペストとして知られていた *3


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