ミシェル・ノストラダムス師の新予言 (1603年)

 『 ミシェル・ノストラダムス師の新予言 』(Nouuelle Prophetie de M. Michel Nostradamus)は、ノストラダムスの『予言集』の版の一つである。1603年にパリのシルヴェストル・モローが出版 (販売) した。題名はそれ以前に全く用いられなかったもので、それ以後も1650年の再版(偽版?)を除けば全く引き継がれることがなかった。

【画像】1603年版の扉 *1

正式名

  • NOVVELLE Prophetie de M. Michel Nostradamus, qui n'ont iamais esté veuës, n'y imprimees, que en ceste presente annee.
    • DEDIE’ AV ROY.
    • A PARIS,
    • Pour Syluestre Moreau, Libraire.
    • 1603.
    • AVEC PERMISSION.
  • 今年まで出版されることも一切目にされることもなかったミシェル・ノストラダムス師の新予言
    • 王に捧げられた版
    • パリにて、
    • 書肆シルヴェストル・モローのために。
    • 1603年。
    • 特認付き。

 Nouvelle Prophetie とあるのは Nouvelles Propheties とある方が本来は正しい。なお、業者名は普通 Par, Chez などが使われる場合が多いが、少なくとも当時の特認の表記では、Par (~により) が印刷業者を示すのに対し、Pour (~のために) は書籍商を示すのに使われたという *2

構成

 第二部のみ、つまり第二序文 (アンリ2世への手紙) と百詩篇第8巻1番から第10巻100番から成り立っている。第8巻と第10巻には補遺篇はついていない。
 当「大事典」でいくらか原文比較した範囲では、1597年ころの「ブノワ・リゴーの後継者たち」の版(未作成)などとかなり一致するように思われる。この認識が正しければ、比較的近い時期の出版で入手しやすかった版を安易に底本にしたのだろう。
 ただし、現存する版の中で、第二部のみの単独出版は非常に珍しい。理由は定かではないが、可能性としてはコストを抑える観点などが考えられる。

 なお、エドガー・レオニが第二序文の宛名から「アンリ2世」の名が削除されていると指摘していた通り、第二序文の宛名は 「最も無敵にして極めて強大、そして敬虔なキリスト教徒であらせられるフランス王へ。そのとても賤しく、とても従順な従僕にして臣下であるミシェル・ノストラダムス(が)、勝利と至福を(お祈り申し上げます)」(A L'INVICTISSIME,TRES-PVISSANT, ET Tres-Chrestien, Roy de France : Michel Nostradamus, son Tres-humble, & Tres-obeyssant seruiteur, & subiect, victoire, & felicité.) となっている。アンリ2世の表記の仕方が時代によって違うことはあっても、名前そのものを削除した版は、おそらくモロー版以外にないだろう。

偽作説

 ダニエル・ルソは18世紀の偽年代版を疑っている。理由として挙げているのは半世紀隔たっている1650年の再版との間でティポグラフィー(Typographie)が一致するためとしている。

 ミシェル・ショマラロベール・ブナズラはそのまま1603年と位置付け、パトリス・ギナール(未作成)も支持している *3

所蔵先

  • アルスナル図書館、マザラン図書館

 カール・フォン・クリンコヴシュトレム(未作成)の書誌(1913年)ではアルスナル(現在はフランス国立図書館の一部門)ではなくフランス国立図書館にも所蔵されていることになっている。しかし、この版は現存していない。パトリス・ギナールは失われたか、1650年版と混同したのだろうとしている。


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