『
ノストラダムス予言集』(The Nostardamus Prophecies)は、2009年9月に出版された
マリオ・レディングの小説。イギリスで出版された後、日本を含む34カ国に版権が売れたという。
日本では『
ノストラダムス 封印された予言詩』という題名で刊行された。
【画像】英語版の表紙
内容
『ノストラダムスの私生活』という本を書いてベストセラーになった小説家アダム・サビアは、フリー・ペーパーに掲載された広告に興味を持つ。それは「ノストラダムスの失われた詩」を売るというもので、次回作の題材を探していたサビアにとってはうってつけのものであった。
だが、その広告にはもう一人、目的遂行のためなら人殺しもいとわないアコール・バールが特殊な理由から興味を示していた。
サビアは広告を出した人物と接触するが、そこで不可解な騒動に巻き込まれる。
以降、物語は騒動に巻き込まれた主人公サビア、手段を選ばないバール、騒動の中で持ち上がった殺人事件を追う警部カルクとその凡庸な部下マクロンの視点が交錯しつつ、スリリングに展開する。
そして、その果てに「ノストラダムスの失われた詩」の正体と、バールがそれを追い求めた理由が明らかにされる。
コメント
日本語版で「ノンストップ・スリラー」と位置付けられているように、物語の展開は非常にスピーディでスリリングである。
また、黒い聖母やジプシーの習俗など、様々な「異文化的」な要素が散りばめられ、物語に独特の雰囲気を加えており、ストーリーの魅力を増している。
日本語版で「純正エンターテインメント」と評価されているのは誇張でなく、十分に楽しめるスリラーといえるだろう。
ノストラダムス関連
ここでいう「失われた詩」とは、
詩百篇第7巻後半の欠落部分のことである。
ノストラダムスの
遺言補足書に見られる長女
マドレーヌへの遺贈品の中に、失われた詩篇のヒントが隠されていたという着想は面白い。だが、それがジプシーの娘に(ある種の必然性を持って)引き継がれたという設定は少々強引に思える。
なぜ第7巻だけ欠落したのかについても何一つ語られることがないが、ある程度リアリティを持たせた設定を組み立てようとするならば、その点は欠かすべきではなかっただろう。
もしくは、
アーサー・クロケットや
五島勉がやったように「失われた第12巻」とでも位置付けてしまう方が良かったのではないだろうか。
また、ストーリーの根幹に関わるので詳述しないが、「失われた詩篇」の構成と位置付けは既存の詩篇に比べて非常に不自然なものである。
他言語版
- ドイツ語版
- Die 52 : Thriller (52 : スリラー) 2009年
- トルコ語版
- 52 Nostradamus'un Kayip Kehanetleri (ノストラダムスの失われた52篇の予言) 2009年
- フランス語版
- Les prophéties perdues de Nostradamus (ノストラダムスの失われた予言集)
- デンマーク語版
- Jagten på Nostradamus' forsvundne profetier (ノストラダムスの失われた予言を求めて) 2010年8月
- スペイン語(カスティーリャ語)版
- Las 52 profecias (予言52篇の予言) 2010年9月
- カタルーニャ語
- Les 52 profecies: Les prediccions perdudes de Nostradamus (予言52篇:ノストラダムスの失われた予言集)
- ポルトガル語版
- As 52 Profecias Perdidas De Nostradamus (ノストラダムスの失われた予言52篇) 2010年
- ロシア語版
- 52, или Предсказание Нострадамуса (52、あるいはノストラダムスの予言) 2011年
【画像】 ドイツ語版の表紙
【画像】スペイン語版の表紙
続編
主人公サビアたちが活躍する続編として『マヤの絵文書』(The Mayan Codex, 未邦訳)が出版されている。
【画像】The Mayan Codex 表紙
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最終更新:2022年08月19日 23:39