ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (シクスト・ドニーズ、1556年)

 『 ミシェル・ノストラダムス師の予言集 』は1556年のリヨンで、シクスト・ドニーズによって出版されたという説がある。しかし、現在までのところ、実在したかどうかの結論は出されていない。

出典

 ラ・クロワ・デュ・メーヌの言及が唯一の書誌的証言であり、以降の情報は全てそこから派生している。

「ノストラダムスの四行詩集すなわち予言集はリヨンで1556年にシクスト・ドニーズによって刊行され、なおまたパリや他の場所で複数の年に刊行された」(Les Quadrains ou Propheties dudit Nostradamus, ont été imprimées à Lyon l'an 1556, par Sixte Denyse, & encore à Paris & autres lieux, à diverses annees)

 わずかこれだけの証言であり、詳細は全く不明である。そもそもシクスト・ドニーズという業者自体が、リヨン出版史の専門家たちの調査でも確認できていない *1パトリス・ギナール(未作成)のように疑問符付きながらパリのエチエンヌ・ドニーズと推測する者も現れている *2

内容

 かつて1557年9月6日版が未発見で11月3日版しか知られていなかったときには、それとの関連から、粗雑な1557年11月3日版に先行するオリジナルの増補版と想定されることもあった *3
 例えばエヴリット・ブライラーは、11月3日版において第6巻のラテン語詩と第7巻の2篇が省略されているのは、先行する版に比べて版型を小さくしたために入りきらなくなったのだろうと推測した(当時は版型に応じて増えるページが決まっていた。十六折版の11月3日版の場合、32ページ単位で増えたため、現状の160ページをわずかでもオーバーすれば32ページ分増やす羽目になったはずである)。このことから、先行する版はより大きな版型で詩篇が省略されていなかった可能性を指摘した *4
 この分析は鋭いもので、のちに発見された9月6日版が八つ折版で詩篇の省略がないことを正しく予見していたといえる。逆に言えば、9月6日版の発見によって、ブライラーの推測はドニーズ版実在論の根拠とはならなくなった。

 ドニーズ版が実在するのだとしても、その内容は全くわからない。1556年はまだ1555年にマセ・ボノムが得た2年間の特認の期間中だったので、非正規にボノム版をコピーしただけの可能性などもあるだろう。


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