『
ノストラダムス神託集』(Oracles of Nostradamus)は、
チャールズ・ウォードが執筆したノストラダムス予言の解釈書。1891年にロンドンのレドンホール・プレス(Leadenhall Press)から出版された。20世紀以降の英語圏の解釈に大きな影響を与え、何度も再版されている。
【画像】『ノストラダムス神託集』(2007年の復刻版)の表紙
内容
最初にノストラダムスの伝記が載せられている。これは先行する伝記の英訳などではなく、ウォードが独自にまとめたものになっている。現代的視点で見れば、伝説的傾向の強さは否めない。
その後、「セザールへの手紙」と「アンリ2世への手紙」の英訳が載せられている。
MAGIC と題する方法論的トピックが続き、以降、時代ごとに予言の的中例を眺めてゆく形式になっている。的中例の最後はナポレオン3世時代であり、著書刊行時点(1891年)で未来に属していた事柄は対象になっていない。
コメント
その一方、英語圏の体系的な解釈書は D.D. (1715年)のものが最後であり、フランス革命以降に関して次々と積み重ねられていったフランス語圏の解釈は、英語圏では余り紹介されていなかった。
そういう意味では、19世紀末の時点での英語圏の解釈と仏語圏の解釈を統合した著書ということができ、信奉者側の著書としては記念碑的なものといえるだろう。
ウォードのこの著書は、1940年に再編集されて再版された。当時、急速に数を増やしていた英語圏の解釈書に影響を及ぼしたことはもちろんだが、日本でも
渡辺一夫や
黒沼健といった最初期の紹介者たちの参考文献にもなった。
その後、現在までに何度も復刻版が出版されており、復刻版の一部の版はインターネット上で閲覧することも可能である。
なお、念のため付言しておくと、実証主義的な観点からは余り見るべきものがない。
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最終更新:2010年06月28日 22:59