ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・リゴー、17世紀初頭)

 リヨンピエール・リゴーは、17世紀初頭に『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』を少なくとも三度出版した。それらは出版者名の直前についている前置詞 PAR, Par, Chez によって区別される。

【画像】Chez の第一部扉(左)、第二部扉(右) *1

正式名

第一部
  • LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
    • Dont il y en a trois cens qui n'ont encores iamais esté imprimees. Adioustees de nouueau par ledict Autheur.
    • A LYON, PAR PIERRE RIGAVD, en rue Merciere au coing de rue Ferrandiere.
    • Auec Permission.
  • ミシェル・ノストラダムス師の予言集
    • 前述の著者によって新たに加えられた未刊の300篇を含む。
    • リヨンにて、メルシエール通りのフェランディエール通りとの角に住むピエール・リゴーによる。
    • 特認とともに。

第二部
  • LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
    • Centuries VIII. IX. X. Qui n'ont encores iamais esté imprimees.
    • A LYON, PAR PIERRE RIGAVD, en rue Merciere au coing de rue Ferrandiere.
  • ミシェル・ノストラダムス師の予言集
    • 未刊であった百詩篇第八・九・十巻
    • リヨンにて、メルシエール通りのフェランディエール通りとの角に住むピエール・リゴーによる。

 出版者名は PAR PIERRE RIGAVD, Par PIERRE RIGAVD, Chez PIERRE RIGAVD の3種類がある。使われている木版画はいずれも同じである。

【画像】Par の第二部の扉 *2

内容

 どの版も十六折版で第一部が64葉、第二部が40葉というのは同じであり、この形式はブノワ・リゴーの後継者たち版と全く同じである。
 内容も1568年ブノワ・リゴー版や後継者たち版と同じで、第一部は第一序文(セザールへの手紙)、百詩篇第1巻1番から第7巻42番までの642篇、第二部は第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第8巻1番から第10巻100番までの300篇で、補遺篇などは一切含んでいない。

特色

 1568年版や後継者たち版に比べると改変箇所が多くなっている。例えば百詩篇第10巻17番Ergasteを estrange に改変するなど、分かりやすくしようとした形跡も認められるが、その結果、本来の原文が持っていた意味内容から離れてしまっていることもしばしばである。

 この原文は、以降のリヨン版の基礎になったほか、1611年のピエール・シュヴィヨ版などにも引き継がれた。

刊行年

 刊行年の記載はないので、推測するほかはないが、論者によってまちまちである。
 19世紀にはフランス帝国図書館(現・国立図書館)に所蔵されていた Chez の版を利用したアナトール・ル・ペルチエが、そこに書き込まれていた手書きの年代(上掲の画像参照)をもとに、第一部を1558年、第二部を1566年の刊行と推測した *3
 20世紀以降でもシャルル・レノー=プランスヴライク・イオネスク竹本忠雄など、ル・ペルチエの見解を引き継いだ者たちはいるが *4 、不適切である。ピエール・リゴーは1600年ごろから自身の出版活動を本格化させており、1566年の時点では生まれていないか、かなり幼かった。

 実証的な年代推定はカール・フォン・クリンコヴシュトレム(1913年)を嚆矢とする。彼はル・ペルチエ同様 Chez のみ認識していたが、それについて1601年から1608年の間でおそらく1605年頃としていた *5
 エドガー・レオニは Par のみに言及しており、1580~1625年の間でおそらく1601~1605年頃としていた。ただし、彼の場合、その所蔵先をフランス国立図書館としていたことから、Chez と混同していた可能性もある *6
 ダニエル・ルソは PAR を1604年頃、Par を1608年頃、Chez を1614年より前で1611年頃としていた *7
 ミシェル・ショマラは PAR を1604年頃、Par と Chez は1610年頃とした *8
 ロベール・ブナズラは全て1600年頃として扱っている *9
 パトリス・ギナール(未作成)は PAR を1601年頃、Par を1603年頃、Chez を1606年頃とした *10

 諸論者に細かな違いはあるが、1600年頃から1610年頃に PAR, Par, Chez の順に出されたらしいということはいえるだろう。

所蔵先

PAR
  • トゥールーズ市立図書館、アルル市立図書館
  • ほかにヴェネツィアのイタリア国立マルチャーナ図書館に残るが、第10巻に破損があるという *11

Par
  • リヨン市立図書館、ハーヴァード大学
  • ダニエル・ルソが所有していた版は2007年のオークションでマリオ・グレゴリオが落札した。
  • カール・フォン・クリンコヴシュトレムが所有していたブノワ・リゴーの後継者たち版の第一部と Par PIERRE RIGAVD の第二部が貼り合わされた版は、現在リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫に入っている。

Chez
  • フランス国立図書館

その他

 ピエール・リゴーの名義で出された版は他に2種類ある。
 これらはいずれもピエール・リゴー(1世)の作品ではない。

外部リンク



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