【画像】第一部の扉(左)と第二部の扉(右)
正式名
第一部
- LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
- Dont il y en a trois cens qui n'ont encores iamais esté imprimées. Adioustees de nouueau par ledict Autheur.
- A LYON, Chez PIERRE RIGAVD, ruë Merciere, au coing de ruë Ferrandiere, à l'ensaigne de la Fortune.
- AVEC PERMISSION.
- ミシェル・ノストラダムス師の予言集
- 前述の著者によって新たに加えられた未刊の300篇を含む。
- リヨンにて、メルシエール通りのフェランディエール通りとの角に住み、「運命の女神」の旗印を持つピエール・リゴーによる。
- 特認とともに。
第二部
- LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
- Centuries VIII. IX. X. Qui n'ont encore [sic.] iamais esté imprimees.
- A LYON, Chez PIERRE RIGAVD, ruë Merciere, au coing de ruë Ferrandiere, à l'ensaigne de la Fortune.
- AVEC PERMISSION.
- ミシェル・ノストラダムス師の予言集
- 未刊であった百詩篇第八・九・十巻
- リヨンにて、メルシエール通りのフェランディエール通りとの角に住み、「運命の女神」の旗印を持つピエール・リゴーによる。
- 特認とともに。
この原題はアールガウ州立図書館の伝本に基づくものだが、
ミシェル・ショマラの指摘によって、下の画像のような細部の異なる版の存在が知られている。
【画像】ロシュ本の第一部の扉(左)と第二部の扉(右)
第一部の扉に関しては、Merciere や enseigne の区切り方の違いが読み取れる。第二部に関してはそれに加えて Qui が Qni になる一方、encore は encores と綴られていることを確認できる。
内容
木版画こそ違うが、
1644年リヨン版などと似ている。
第一部は、第一序文(セザールへの手紙)、百詩篇第1巻から第6巻(
ラテン語詩は含むが、補遺篇の
100番は含まない)、第7巻(
43番、
44番を含む44篇)の順に収められている。
第二部は、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第8巻から第10巻(
101番を含む)、第11巻(四行詩2篇と
六行詩58篇)、第12巻(
56番を除く10篇)が収められている。
刊行年
以上、ルソとラロッシュを除けば、おおむね1650年前後で合意されてきたといってよい。しかし、レオニがつとに指摘していたように、
ピエール・リゴーの活動時期とは一致しないのである。
ラロッシュの修正はその辺りを念頭に置いたものだろうが、当「大事典」としてはむしろ伝統的な推定どおり1650年前後と見る方が妥当であろうと考える。それは既に述べたように、収録詩篇の内容や異文の特色が1644年版などと近い時期に出版された可能性が高いことを示しているからである。
出版業者
1650年前後とする場合、ピエール・リゴーの作品とは見なせない。
しかし、1640年代には甥にあたるピエール・リゴー2世が同じ住所で出版事業を営んでいたので、彼が出版した可能性もある。
ジャン・ユグタンや
ジャン・ド・トゥルヌなどもそうだが、当時の業者はいちいち代数を名乗らないので、世代交代が起こった場合に同名の別人になっていることは起こりうる。
この点は2010年7月時点では海外でも誰も提唱しておらず、単なる奇説にすぎないものかもしれないが、一つの可能性として提唱しておきたい。
なお、扉の木版画はレオニも指摘するように従来のリゴー家の版では使われていなかったものだが、ノストラダムス以外の文献でならいずれも
ブノワ・リゴーによる使用例があり、うち一つは(そういう文脈ではなかったが)宮下志朗によって日本でも紹介されている。
【画像】宮下論文で紹介された『不思議な驚異』の扉
所蔵先
正式名の節で触れた Qui と Qni で分類しておく。
- Qui
- ポール・アルボー博物館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、マドリード国立図書館、アールガウ州立図書館(スイス、アーラウ)、アンブロジャーナ図書館(イタリア、ミラノ)
- かつてダニエル・ルソも私蔵しており、2007年4月のオークションに出品されたが、落札者は不明である。
- Qni
- オルレアン市立図書館、ハーヴァード大学
- 1976年頃にリヨンに住んでいたロシュ(Loche)という人物が私蔵しており、ミシェル・ショマラの紹介はその伝本に基づいていた。
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最終更新:2010年07月14日 22:21