ミシェル・ノストラダムス師の予言集 (ピエール・シュヴィヨ、1611年)

 『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』は1611年にトロワのピエール・シュヴィヨ(未作成)によっても出版された。

【画像】左から順に第一部、第二部、付録の扉*1

正式名

第一部
  • LES PROPHETIES DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
    • Dont il y en à [sic.] trois cens qui n'ont encores iamais esté imprimees. Adioustees de nouueau par ledict Autheur.
    • A TROYES, Par PIERRE CHEVILLOT, l'Imprimeur ordinaire du Roy.
    • Auec Permission.
  • ミシェル・ノストラダムス師の予言集。
    • 前述の著者によって新たに加えられた未刊の300篇を含む。
    • トロワにて、国王の常任印刷業者ピエール・シュヴィヨによる。
    • 特認とともに。

第二部
  • LES RPOPHETIES [sic.] DE M. MICHEL NOSTRADAMVS.
    • CENTVRIES VIII. IX. X. Qui n'ont encores iamais esté imprimées.
    • A TROYES, Par PIERRE CHEVILLOT, l'Imprimeur ordinaire du Roy.
    • Auec Permission.
  • ミシェル・ノストラダムス師の予言集。
    • 未刊であった百詩篇第八・九・十巻。
    • トロワにて、国王の常任印刷業者ピエール・シュヴィヨによる。
    • 特認とともに。

付録
  • RECVEIL DES PROPHETIES ET REVELATIONS, TANT ANCIENNES QVE MODERNES.
    • Contenant vn sommaire des revelations de saincte Brigide, S. Cyrille, & plusieurs autres Saincts & religieux personnages : nouuellement reueuës & corrigees.
    • Et de nouueau augmentees outre les precedentes impressions.
    • A TROYES, Par PIERRE CHEVILLOT, l'Imprimeur ordinaire du Roy. 1611.
    • Auec Permission.
  • 古今の預言と啓示の集成
    • 新たに改訂・校正された聖ビルギッタ、聖キュリロス、その他多くの聖者たちや敬虔な人々に下った啓示の概要を含む。
    • そして従来の諸版をこえて新たに増補された。
    • トロワにて、国王の常任印刷業者ピエール・シュヴィヨによる。1611年。
    • 特認とともに。

内容

 第一部は、第一序文(セザールへの手紙)、百詩篇第1巻から第6巻(ラテン語詩は含むが、補遺篇の百詩篇第6巻100番は含まない)、第7巻(42番までと補遺篇1番から5番)の順に収められている。第7巻の補遺篇に通し番号を与えず、独立した番号を与えているのは例外的な方法である。
 第二部は、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第8巻(補遺篇を含む106篇)、第9巻、第10巻(101番を含む)の順に収められている。
 第10巻の次にヴァンサン・セーヴの献辞を含む六行詩58篇が「百詩篇第11巻」として収録され、続いて四行詩の第11巻(2篇)と第12巻(56番を除く10篇)が収められている。

 付録には聖人達の預言集が収められている。

コメント

 六行詩集が百詩篇第11巻と位置付けられた最初の版。

 原文の特色は明らかに17世紀初頭のピエール・リゴー版か、その亜流(ジャン・ポワイエ版)の影響を受けている。
その一方で、リヨン系の版には含まれていない第7巻と第8巻の補遺篇を含んでいたことは、別系統の出典の存在を推測させる。六行詩の存在などからいっても1605年版が最有力だが、第7巻補遺篇3番はそれにさえ含まれていないため、議論の余地はあるだろう(第7巻補遺篇3番については予兆詩第73番も参照のこと)。

 付録はノストラダムスの作品ではなく、ノストラダムス2世の著作 『聖ビルギッタ、聖キュリロスや他の多くの聖者たちや敬虔な人々の啓示と驚くべき預言の集成』を流用したものである。

刊行年

 第一部と第二部の扉には記載されていないが、付録の扉に「1611」とあるので、ミシェル・ショマラロベール・ブナズラはそれを刊行年とみなしている*2

 ダニエル・ルソは1630年頃の可能性を指摘していた*3
 パトリス・ギナール(未作成)は1615年頃の可能性を指摘している*4

所蔵先

  • フランス国立図書館、ルマン市立図書館、リヨン市立図書館、レンヌ市立図書館、トロワ市立図書館、シャロン=アン=シャンパーニュ市立図書館、アルスナル図書館、ジャック・プレヴェール図書館(B.Jacques Prévert, シェルブール)、ストックホルム王立図書館、コペンハーゲン大学図書館、ハーヴァード大学図書館、コーネル大学図書館、コロンビア大学図書館、ワシントン大学
  • かつてダニエル・ルソも私蔵していた。
  • マリオ・グレゴリオは所々破損している版を私蔵している。
  • 当「大事典」でも、第三部(付録)が欠けたと思われる版を所蔵している。

復刻版

 1866年にパリの出版社ドラリュによってほぼ忠実に転記された復刻版が出版された。
 シュヴィヨ版自体の影印本が出版されたことはないが、ドラリュ版は何度か影印本の形で復刻されている。

 また、1939年にはポール・エドゥアールによって転記された復刻版『1600年から2000年までのミシェル・ノストラダムスの予言集原典』が出版された。


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最終更新:2010年07月23日 22:05

*1 画像の出典:Guinard [2008a] p. 115

*2 Chomarat [1989] no. 175 & 176, Benazra [1990] pp.170-172

*3 Ruzo [1997] no. 53

*4 Guinard [2008a] pp.113-115