ウェヌス

  ウェヌス (Venus)はローマ神話の美と愛の女神。フランス語ではヴェニュス(Vénus)、英語ではヴィーナス(Venus)。

【画像】ボッティチェリ『ウェヌスの誕生』 *1

 ギリシア神話のアプロディーテーに対応する。
 アプロディーテーはゼウスの娘とも、ウラーノスの切り落とされた男根が海に抛られたときの泡から生まれたともいわれる。また、元々ギリシア以外から流入した神で、「キュプリス」(キプロス島の女神)という異称も持つ。
 かつては美と愛欲の神、軍神、航海の守り神という3つの異なる側面について祀られていたという *2

天文学・占星術

 古来、金星にその名が与えられてきた。金星に美と愛の女神を当てはめる考えは、カルデア神話におけるイシュタルにまで遡るという *3

 4月を意味する英語のエイプリル(April)、フランス語のアヴリル(Avril)は、古代ローマの4月(10ヶ月の暦の時には2月)にあたるアプリリス(Aprilis)が語源になっている。
このアプリリスはアプロディーテーに由来している。

 また、フランス語で金曜日を意味するヴァンドルディ(Vendredi)は、ラテン語の「ウェヌスの日」(dies Veneris)に由来している *4

錬金術・化学

 錬金術では銅を表す。
 化学でも vert de Vénus (ウェヌスの緑)や cristaux de Vénus (ウェヌスの結晶)は、酢酸銅(acétate de cuivre)を表す慣用表現である *5

その他

 大航海時代以降、ヨーロッパでは梅毒が流行し、「ナポリ病」「フランス病」などと感染源の責任を擦り付け合うかのような通称が多く存在していたことはよく知られているが、16世紀半ば以降、性交によって感染が広がる点から「ウェヌスの病」と呼ばれることもあった *6 。現代でも性病を表す慣用表現として coup de pied de Vénus (ウェヌスの足蹴)がある *7


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