ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集 (ダニエル・ヴィンケエルマンス、1667年)

 『ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集』(Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus)は、1667年にアムステルダムのダニエル・ヴィンケエルマンスによっても出版された。

【画像】1667年アムステルダム版の扉*1

正式名

  • LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS.
    • Où l'on void representé tout ce qui s'est passé tant en France, Espagne, Italie, Alemagne, Angleterre, qu'aux autres parties du Monde.
    • Reveuës & corrigées suivant les premieres Editions imprimées à Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558.
    • Avec la Vie de l'Autheur, & des Observations sur ses Propheties.
    • A AMSTERDAM, Chez DANIEL WINKEERMANS. cIɔ Iɔc LXVII.
  • ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集
    • そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
    • 1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版に従い、改訂・校正された。
    • 著者の伝記や予言集の注釈とともに。
    • アムステルダムのダニエル・ヴィンケエルマンスの工房にて。1667年。

 題名は先行した1650年ライデン版とほぼ同じだが、よく見ると Où se void → Où l'on void, qu'autres → qu'aux autres, en Avignon → à Avignon など、ささいな綴りの違いが存在している。
 なお、この版の出版年を表すローマ数字は通常のアルファベットを使っていないが、cIɔ Iɔc LXVII は、M DC LXVII と同じである。

内容

 最初に第一序文(セザールへの手紙)が収録され、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーによる伝記と簡略な予言解釈が続いている。
 その後に百詩篇第1巻から第7巻までが収録されている。補遺篇は百詩篇第6巻100番第7巻43番同44番、同73番以降の4篇がおさめられている。
 そして、第二序文(アンリ2世への手紙)、百詩篇第8巻から第10巻、第11巻(2篇)、第12巻(11篇)が収録されている。補遺篇として、第8巻の補遺篇(6篇)、第10巻補遺篇が含まれている。
 最後に予兆詩集六行詩集が掲載されている*2

コメント

 題名は1650年ライデン版と同じだが、内容にはいくつか違いがある。

 予言解釈について『予言集』の版のなかで触れられているのは、これが初めてである。
 それ以上に重要なのは、1650年版で省かれていた2つの序文が再録されたことである。結果として、この版は正編の全てと、現在の信奉者たちからスタンダードと認識されている補遺篇の全てが収められた最初の版となっている。

 アムステルダム版というと翌年の1668年版の方が遙かに有名だが、そちらは第一序文が省かれていることもあり、系譜を考察する上での重要性という点では、明らかにこちらの版の方が上である。

所蔵先

  • フランス国立図書館、アンジェ市立図書館、カルカソンヌ市立図書館、シャルルヴィル=メジエール市立図書館、コルマール市立図書館、ランス市立図書館、ポール・アルボー博物館、リヨン市立図書館ミシェル・ショマラ文庫、RAMKAT
  • 大英図書館、スウェーデン王立図書館、ポーランド国立図書館、ニューヨーク公立図書館、ロシア国立図書館(モスクワ)、ハーヴァード大学、パドヴァ大学、アムステルダム大学
  • かつてはダニエル・ルソも私蔵していた。

 以上のうち、アムステルダム大学の蔵書は、ショマラもブナズラも指摘していなかった版だが、現在ではそれがGoogleブックスで公開されている。


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予言集
最終更新:2010年09月11日 11:17

*1 画像の出典:Ettore Cheynet, Nostradamus-Centuie e Presagi, Padova ; MEB, 1991

*2 Chomarat [1989] p.243, Benazra [1990] pp.239-240