予兆詩第150番

予兆詩第150番(旧139番) 1567年9月について

原文

Longues langueurs de teste, nopce1, ennemi publique2
Par prelat3 & voyage, songe du grand4, terreur.
Feu & ruine grande, trouvé en lieu oblique.
Par torrent decouvert5, sortir noves erreurs. *1

異文

(1) nopce : nopces 1594JF
(2) ennemi publique 1594JF : ennemi T.A.Eds.
(3) prelat conj.(BC) : Prelat T.Eds.
(4) grand conj.(BC) : Grand T.Eds.
(5) decouverte : de couverte 1605 1649Xa

(注記1)この詩の初出である『1567年向けの暦』は現存していないため、底本になっているのは1594JFである。
(注記2)ジャン=エメ・ド・シャヴィニーの手稿『散文予兆集成』には、綴り直されたバージョンが収録されている。

校訂

 ベルナール・シュヴィニャールは1行目の後半律が7音節あることから nopces を nopce に直した。
 また、4行目の torrent は直していないが、イタリア語版で timor (恐怖)と訳されていることから、torrent ではなく terreur だった可能性もあるのではないかとした。

日本語訳

長きにわたる頭痛の種、婚礼、公共の敵。
高位聖職者と旅により、偉人の夢は恐怖に。
火と大崩壊、斜めの場所で発見されたもの。
露わになった急流によって、新しい過ちが出現する。

訳について

 1行目の longues langueurs de teste の直訳は「長期の頭の物憂さ、けだるさ」。
 2行目の直訳は「高位聖職者と旅により、偉人の夢、恐怖」だが、とりあえずジャン=エメ・ド・シャヴィニーの読み方を参照しつつ、若干言葉を補った。

信奉者側の見解

 ジャン=エメ・ド・シャヴィニーは、サン=バルテルミーの虐殺と解釈した。「婚礼」は虐殺事件の口実となったアンリ・ド・ナヴァルとマルグリットの結婚式を指す。2行目から3行目前半にかけてはシャルル9世の夢(希望的観測)が潰えたことを指すという。3行目後半と4行目は理解しがたいとして解釈していなかった*2


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最終更新:2010年09月13日 22:31

*1 原文は Chevignard [1999] p.187 による。

*2 Chavigny [1594] p.208