六行詩15番

原文

Nouueau esleu patron du grand vaisseau,
Verra long temps briller le cler flambeau
Qui sert de lampe à ce grand territoire,
Et auquel temps armez sous son nom,
Ioinctes à celles de l'heureux de Bourbon
Leuant, Ponant, & Couchant sa memoire.

異文

(1) Nouueau : Nonueau 1627
(2) esleu patron : éleu 1627, esleu Patron 1644 1672
(3) grand : Geand 1600Mo
(4) vaisseau : vaissea 1600Mo, Vaisseau 1672
(5) long temps : lon temps 1627, long-temps 1644
(6) cler : clair 1600Au 1600Mo 1644, grand 1672
(7) lampe : Lampe 1672
(8) ce grand : ce bas 1600Au
(9) armez : armee 1600Mo, armes 1627 1644, Armées 1672
(10) celles : celle 1600Mo
(11) l'heureux : lheureux 1600Au
(12) Bourbon : bourbon 1600Mo
(13) Couchant : couchant 1600Mo 1627

日本語訳

新しく選ばれた大きな船の船長は、
長い間、明るい松明が輝くのを見るだろう。
それはその偉大な領土でランプの代わりに使われる。
そしてその時に、その名の下に集う軍隊は、
ブルボンの幸いなる者の軍隊と合流させられる。
日の出の方角にも大西洋にも日の入りの方角にもその記憶が。

訳について

 Ponant と Couchant はどちらも「日の沈む方角」「西」の意味で、Levant の対義語になっている。この場合、あえて訳し分ける必要があるか自体が疑問だが、Ponant は大西洋の意味もあることから、そのように訳した。
 五島勉は「中東も大西洋もアメリカもそれを記憶する」と訳したが *1 、解釈をまじえすぎだろう。Levant は地理的区分として使われるときには近東を意味した。Couchant をアメリカと訳すことの飛躍ぶりは言うまでもない。

信奉者側の見解

 テオフィル・ド・ガランシエールは、船をカトリック教会の喩えと見なし、新たな船長はクレメンス8世(在位1592年 - 1605年)で、彼がフランス王国とサヴォワ公国の和平実現に尽力したことと解釈した *2

 ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌ(1980年)は、近未来に起こる世界大戦においてヨハネ=パウロ2世の跡を継ぐ教皇と、王政復古したフランスが同盟を結ぶことになると解釈した *3

同時代的な視点

 実証的な研究は蓄積されていないので、当「大事典」としての独断を参考情報として掲載しておく。

 この詩が1605年までに偽作されていた事後予言だとすると、候補となる期間はある程度しぼれる。「ブルボンの幸いなる者」はブルボン朝の国王を指しているので、アンリ4世の即位(1589年)以前には遡れないからである。大きな船の船長はローマ教皇だろうが、この時期に即位したウルバヌス7世(在位1590年9月15日 - 同9月27日)、グレゴリウス14世(1590年 - 1591年)、インノケンティウス9世(1591年)、クレメンス8世、レオ11世(1605年)、パウルス5世(1605年 - 1621年)はいずれもフランス軍と連合することはなかったようである(グレゴリウスはむしろカトリック同盟に肩入れし、改宗前のアンリ4世と対立した)。クレメンス8世はアンリ4世の破門を取り消しはしたが、共同の軍事作戦などは当「大事典」では確認できない。

 そこで、この詩はむしろ病弱だったクレメンス8世が近く死ぬことを想定し、新しく選ばれることになる教皇とフランス王アンリ4世ないしその後継者が共同歩調を取って強大な勢力になることを期待したものだったのではないかと考えられる。

その他

 1600Au では12番となっている。


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