Prophecies on World Events by Nostradamus

 『ノストラダムスによる世界の諸事件に関する予言集』(Prophecies on World Events by Nostradamus)は、スチュワート・ロッブの著書。1961年にニューヨークのライヴライト(Livelight Publishing Co.)から出版された。


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内容

 テーマ別に編成された信奉者的な立場からの解釈書である。
 第1章「個人名の予言」は、百詩篇第7巻1番(アシル)、百詩篇第9巻18番(モンモランシーとクレルペーヌ)、百詩篇第9巻34番(ナルボンとソース)、百詩篇第5巻57番(モンゴルフィエ)など、具体的な名前を的中させた予言を集めている。
 第2章「日付指定事件の予言」では、百詩篇第6巻54番(1607年)などの年号が明記されている詩のほか、百詩篇第2巻51番(66の火)のような謎かけのような年号もとりあげられている。もちろん百詩篇第10巻72番(1999年)もこの章の対象である。
 第3章「期間の予言」は、百詩篇第10巻89番(57年間の平和)、百詩篇第4巻100番(7ヶ月の大戦)、百詩篇第2巻97番(バラが花開くとき)のような、時期に関して言及のあった的中例を挙げている。
 第4章「16世紀と17世紀に成就した予言」、第5章「フランス革命」は、従来よくある解釈書のように、特定の事件に関する予言を集めた章である。
 第6章「20世紀の予言」も似たようなものだが、この章では未来予測にもわずかではあるが踏み込んでいる。

評価

 信奉者たちの中では比較的評価が高い。
 ヴライク・イオネスクは「興味深い歴史的考証を加えている」とし*1ジョン・ホーグは5段階評価のブックガイドのなかで「5」を与えている*2

コメント

 テーマ別に編成するというスタイルは、解釈書の中ではあまり見かけない。ロッブの問題関心に沿って切り分けられているため、例えばフランス革命として有名な百詩篇第9巻20番百詩篇第9巻34番は、前者が第5章、後者が第1章にあるという変則的な構成になっている。
 ロッブとある程度テーマ設定を共有できる読者にとっては、類書よりもむしろ読みやすいのかもしれない。

 底本にはウジェーヌ・バレストからの孫引きとして1555年版が、アナトール・ル・ペルチエからの孫引きとして1566年版と1568年版が使われている。しかし、バレストの方はともかく、ル・ペルチエの方は偽年代版であることが1913年には明らかになっていた。


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最終更新:2010年10月01日 23:12

*1 イオネスク [1990] p.357

*2 Hogue [1997/1999]