六行詩8番

六行詩集>8番*

原文

Vn peu deuant l'ouuert commerce,
Ambassadeur viendra de Perse,
Nouuelle au franc pays1 porter:
Mais non receu, vaine esperance,
A son grand Dieu sera l'offance2,
Feignant de le vouloir quitter.

異文

(1) franc pays : païs franc 1600Mo, franc païs 1627Ma 1627Di, Franc Pais 1672Ga
(2) l'offance : l'offense 1600Mo 1611 1628dR 1649Ca 1672Ga, l'offence 1627Ma 1627Di 1644Hu 1649Xa

日本語訳

交易が開かれる少し前に、
大使がペルシアから来るだろう、
自由の国に報告をもたらすために。
しかし受け入れられず、希望は空回り。
彼の大神への不敬があるだろう、
それを棄てたいかのように装いつつの。

訳について

 franc pays は便宜上「自由の国」と訳したが「フランク族の国」とも訳せる。

信奉者側の見解

 テオフィル・ド・ガランシエールは、まだスペインとオランダの間で停戦協定が結ばれておらず、ヨーロッパでの自由な商取引が再開されていなかった1608年のこととした。その年にペルシアからヨーロッパ諸国歴訪をする大使が来たが、望むような返事をもらえないまま帰還したということがあったという*1

 ジャン=シャルル・ド・フォンブリュヌは近未来にイランとフランスが国交を断絶することと解釈していた*2

同時代的な視点

 「自由の国」(franc pays)はフランス(France)のことだろう。となれば、フランスとペルシアが通商交渉を行うが、決裂することを描写しているはずである。ただし、史実との対照は不明。


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六行詩
最終更新:2019年12月08日 00:10

*1 Garencieres [1672]

*2 Fontbrune [1980/1982]