六行詩39番

原文

Le pouruoyeur 1 du monstre 2 sans pareil,
Se fera veoir 3 ainsi que le Soleil 4 ,
Montant le long la ligne 5 Meridienne 6 ,
En poursuiuant 7 l'Elephant 8 & le loup 9 ,
Nul Empereur ne fit 10 iamais tel coup,
Et rien plus pis à ce Prince n'aduienne.

異文

(1) pouruoyeur : Pourvoieur 1672
(2) du monstre : demonstre 1600Mo, de Monstre 1672
(3) veoir : voir 1600Au 1600Mo 1611B 1627 1644 1672
(4) Soleil : soleil 1600Mo
(5) la ligne : de la ligne 1600Mo 1627
(6) Meridienne : meridienne 1600Mo
(7) poursuiuant : porsuiuant 1627
(8) l'Elephant : l'elephant 1600Mo
(9) le loup : le Loup 1644 1672
(10) ne fit : ne fist 1600Au

日本語訳

比類のない怪物を提供する者が、
太陽に等しいと自ら認識するだろう、
子午線沿いに北上し、
象や狼を追いかけつつ。
このような打撃はどんな皇帝も加えたことがない。
その君主に、より悪いことが何も起こらぬことを。

訳について

 五島勉の訳が有名で、他の関連書にもしばしば転用されていた。そこでそれを検証しておく。
 2行目「それが日の国として現われる」 *1 は不適切。aisni que は「~と同じく、~のように」の意味。se voir は「自認する、姿を現す」などの意味。エドガー・レオニの英訳では He will see himself even as the Sun *2 となっている。
 五島訳6行目「どんな最悪の王子もこれほどひどくはない」は誤り。plus pis (より悪い、最も悪い)は rien (何も)にかかっている。また Prince (君主、王子)を主語に置くことは構文上できない。さらに、avienne は接続法であり、書き手の主観的な観測を表している。

信奉者側の見解

 ノエル=レオン・モルガールの用語解説では、「提供役」は王太子(のちのルイ13世)、「狼」はイングランド人、「象」はトルコ人だという *3

 テオフィル・ド・ガランシエールは、ルイ13世がイタリアでスペイン軍相手に勝利を挙げ、プロテスタントを退却させたことと解釈した *4

同時代的な視点

 「子午線沿いにのぼる」は「真北に進軍する」ということだろう。

 太陽王ルイ14世を待つまでもなく、すでにルイ13世の治世において、国王を太陽やフェニックスになぞらえて神格化することが行われていたという *5 。この詩が書かれたと考えられる17世紀初頭(つまりルイ13世が生まれたばかりの頃)にそのような行為が存在していたかは不明だが、同じような視点で書かれた可能性はあるだろう。

 太陽はともかく、怪物の提供役というのは余り賞賛しているようには見えないが、怪物の存在は当時しばしば神の怒りや神の栄光を体現するものと捉えられていたことを考えるなら、「怪物を提供する者」は「神意を体現する者」といった意味合いで書かれているのかもしれない。
 あるいは、六行詩16番の「海の怪物を提供する者」と同じならば、単なる言葉遊びなのかもしれない。

その他

 1600Au では37番になっている。


名前:
コメント: