六行詩16番

原文

En Octobre six cens & cinq 1 .
Pouruoyeur 2 du monstre marin 3 ,
Prendra 4 du souuerain 5 le cresme 6 ,
Ou en six cens & six 7 , en Iuin,
Grand' ioye 8 aux grands 9 & au commun 10 ,
Grands 11 faits 12 apres ce 13 grand baptesme 14 .

異文

(1) six cens & cinq : six cens cinq 1600Au, mil six cens cinq 1600Mo, Six cens & cinq 1672
(2) Pouruoyeur : Pouruoyement 1600Mo, Pouruouyeur 1627
(3) monstre marin : monstre Marin 1600Mo, Monstre Marin 1672
(4) Prendra : Pendra 1600Mo
(5) souuerain : Souuerain 1644 1672
(6) le cresme : la Cresme 1600Mo, le Cresme 1644
(7) & six : six 1600Au
(8) Grand' ioye : Grand ioye 1600Au 1600Mo 1672, Grand Roys 1627, Grand Roy 1644
(9) grands : Grands 1672
(10) commun : Commun 1672
(11) Grands : Grand 1672
(12) faits : effects 1600Mo
(13) ce : le 1600Au
(14) baptesme : Baptesme 1644 1672

日本語訳

六百と五の十月に、
海の怪物を提供する者が、
至上の者から聖油を受け取るだろう、
あるいは六百と六の六月に、
偉人たちと庶民への大きな喜びや
大きな諸事件がその大いなる洗礼の後にある。

訳について

 3行目 cresme は女性名詞ならクリームの意味だが、この場合男性名詞なので、現代フランス語の chrême (聖油)の意味になる *1

信奉者側の見解

 ノエル=レオン・モルガールの用語解説では、「提供する者」は王太子の隠喩となっている *2

 テオフィル・ド・ガランシエールは、王太子ルイ(のちのルイ13世)の洗礼の式典と解釈した。それは1606年9月のことで、10月ではなかったが、ガランシエールは印刷工の誤りとした *3

同時代的な視点

 ルイ13世の洗礼と解釈するのが妥当だろう。この詩が偽造されたのは1600年から1605年の間のはずで、近々そういう式典が行われることは容易に推測できたはずである。反面、実際に起こる前に書いたから年月を絞れず、候補を2つ挙げる形になり、そして両方とも外してしまったのだろう。

 「海の怪物を提供する者」が王太子というのはいかにも似つかわしくない比喩だが、怪物の存在は、当時しばしば神の怒りや神の栄光を体現するものと捉えられていたことを考えるなら、「海の怪物を提供する者」は「神意を体現する者」といった意味合いで書かれているのかもしれない。
 あるいはそんなに複雑な話ではなく、「海の怪物」は単に「王太子」(Dauphin)と「イルカ」(dauphin)の言葉遊びにすぎないのかもしれない。

その他

 1600Au では13番になっている。


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