『ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集』(Les Vraies Centuries et Prophéties de Maistre Michel Nostradamus)は、1668年にアムステルダムのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人によっても出版された。
【画像】1668年アムステルダム版の口絵と扉
正式名
- LES VRAYES CENTURIES ET PROPHETIES DE MAISTRE MICHEL NOSTRADAMUS.
- Où se void representé tout ce qui s'est passé, tant en France, Espagne, Italie, Alemagne, Angleterre, qu'autres parties du monde.
- Reveües & corrigées suyvant les premieres Editions imprimées en Avignon en l'an 1556. & à Lyon en l'an 1558. & autres.
- Avec la Vie de l'Autheur.
- à AMSTERDAM.
- Chez JEAN JANSSON à WAESBERGE & la vefue de fu ELIZéE [sic.] WEYERSTRAET, l'an 1668.
- ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集
- そこにはフランス、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、および世界の他の地域で起こったことが全て描かれている。
- 1556年にアヴィニョンで、1558年にリヨンで出された初期の版やその他の版に従い、改訂・校正された。
- 著者の伝記とともに。
- アムステルダム。
- ヴェースベルジュのジャン・ジャンソンと故エリゼ・ヴェイエルストレの未亡人の工房にて。1668年。
題名は先行した
1667年アムステルダム版よりも
1650年ライデン版とほぼ一致する。
ただし、先行する版では「1556年アヴィニョン版」と「1558年リヨン版」のみに基づいているとされていたのが、「その他の(複数の)版」(autres)となっている点は、字句の変更は些細だが、重要な違いである。
内容
劈頭を飾るのが上でも紹介した口絵で、チャールズ1世の処刑(1649年)とロンドン大火(1666年)を的中させたことを一目で分からせようとするものである。
題名の記された扉はその後である。
本編の冒頭には簡略な解釈が続いており、チャールズ1世の処刑は
第9巻49番で、ロンドン大火は
第2巻51番で、それぞれ予言されていたということをはじめ、ほかいくつかの同時代事件についての解釈が掲載されている。
その次のページには、書斎に座るノストラダムスと、彼に関するラテン語の標語が掲げられている(下図参照)。
ラテン語の標語はこう書かれている。
Vera loquor, nac falsa loquor, sed munere coeli
Qui loquitur DEUS est, non ego NOSTRADAMUS
私は真理を語り、虚言を語らない。それは天からの賜りものゆえ、
語り手は神であって、私ことノストラダムスではないのだ。
コメント
特に大きな違いは口絵と肖像画の存在、そして第一序文(
セザールへの手紙)の省略である。
非常に有名な版であり、以下に見るように現存数もかなり多い。口絵の存在などもあって、当時かなりの売れ行きだったと推測される。
所蔵先
- フランス国立図書館、アミアン市立図書館、リール市立図書館、リヨン市立図書館、ナント市立図書館、ルーアン市立図書館、ストラスブール市立図書館、ヴェルダン市立図書館、ヴェルサイユ市立図書館、アルスナル図書館、ポール・アルボー博物館、セッカノ・メディア館(Mediatheque Ceccano, アヴィニョン)
- ウェルカム医学史図書館、クライストチャーチ図書館(オックスフォード大学)、チューリヒ中央図書館、ベルン大学図書館、ピサ大学図書館、ザルツブルク大学図書館、プランタン・モレトゥス印刷博物館(アントウェルペン)、スウェーデン王立図書館、ウプサラ大学図書館、チェコ国立図書館、ポーランド国立図書館、コペンハーゲン市立図書館、トルン公立図書館(Torun, ポーランド)、ヤギェヴォ大学図書館(ポーランド)、ロシア国立図書館(モスクワ)、アメリカ議会図書館、ボストン公立図書館、ニューヨーク公立図書館、ミシガン大学図書館、カーネル大学図書館、W.A.クラーク記念図(ロサンゼルス)、マギル大学オスラー医学図書館
- かつてはダニエル・ルソも私蔵していた。また、ヴライク・イオネスクが筑波大学で特別講演を行った際に聴衆に見せたというので、彼も持っていたのだろう。ただし、イオネスクがそれを現存最古と紹介したのは、明らかに不適切であった。当「大事典」の書誌に明らかなように、これより古い版はいくらでも残っているし、その多くはイオネスクが講演を行うよりも前から、エドガー・レオニやダニエル・ルソの指摘によって知られていた。
復刻
現在では Gallica で公開されている。
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最終更新:2010年10月27日 22:33