予兆詩集

  予兆詩集 (les Présages)は、1605年版以降の予言集にしばしば収録された詩集。本来は暦書に収録されていたその年全般向けや各月向けの四行詩を、1605年版『予言集』の出版業者(名前は不明)が『予兆詩集』としてまとめ直したもので、ノストラダムス自身がそのようにまとめていたわけではない。
 1605年版で登場したときのタイトルは「ノストラダムス師の作品群から引用された1555年から1567年までの予兆詩集」(Presages tirez de ceux faictz par M. Nostradamus, és années 1555. & suyuantes iusques en 1567.)で、以降、主な版にはこのタイトルも引き継がれた。

 従来、141篇からなる詩集と認識されていたが、これは1605年版の出版業者が、ジャン=エメ・ド・シャヴィニーの『フランスのヤヌスの第一の顔』から孫引きしたため、シャヴィニーが収録していなかった詩篇については省略されていたためである。
 それらをも救済して全154篇の予兆の校訂版を纏め上げたのはベルナール・シュヴィニャールで、1999年のことだった。

 なお、日本ではカタカナで「プレージュ」と書かれることがしばしばだが、フランス語読みとしては「プレザージュ」が正しい。

形式と評価

 予兆詩は基本的に1行10音綴の四行詩という形式のため、ノストラダムスの主作品である「百詩篇集」と形式的には似通っている。しかし、百詩篇に比べて断片的なイメージを羅列する傾向が強く現れており、形式的に共通点はあれども、百詩篇に比べたときには文学的に劣ると評価されている *1

対象時期

 予兆詩集に収録された各詩は年月を指定されており、該当する月の概要となる予言として執筆されたと考えられる。ノストラダムス本人は、これを対象時期以外にも適用してよいとは全く語らなかったが、シャヴィニーは「100年ほど」という有効期間を勝手に設定した。この有効期間は、1649年ルーアン版の『予言集』で改竄され、取り払われた *2
 その結果、現在の信奉者たちは過去、現在、未来の様々な事件に自由に当てはめている。

 実証的な視点からは、ノストラダムスが対象時期についてのイメージなどを列挙したものとしか捉えようがなく、百詩篇のように具体的なモデルを特定することは多くの場合困難であろうと思われる。

全訳

 予兆詩集全訳を参照のこと。

予兆詩の補遺

 正式な予兆詩全154篇のほかに、当時の非正規の暦書に載っていた予兆詩が存在する。このうち、英訳版『1564年向けの暦』に掲載されていた予兆詩は、英訳しか現存していないとはいえ、1556年向けの予兆詩が転用された可能性もある重要な詩である。その一方、『1565年向けの暦』(偽版)に収録された予兆詩は、単なる捏造と理解すべきものだろう。
 上に挙げた2つの暦書の記事には、該当する予兆詩の原文と対訳を掲載している


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