原文
Dans le Dannube1 & du Rin2 viendra boire3,
Le grand Chameau4 ne s'en5 repentira:
Trembler du6 Rosne7 & plus fort8 ceulx9 de loire10
Et pres des Alpes11 coq12 le13 ruïnera14.
異文
(1) Dannube : damude 1588Rf 1589Rg, danube 1589Me 1611A
(2) & du Rin : & Rhin 1589Me, & du Rhein 1627, & le Rhine 1672
(3) boire : beire 1665
(4) Chameau : chameau 1627 1644 1650Ri 1653 1840, chnmeau 1665
(5) s'en : sen 1672
(6) du : le 1672
(7) Rosne : rosne 1557B, rhosne 1665
(8) plus fort : pl'fort 1557B 1588Rf
(9) ceulx : deux 1627
(10) loire 1557U 1557B 1568A 1589PV 1590Ro : Loire T.A.Eds. (sauf : loyre 1665)
(11) Alpes : alpes 1588Rf 1589Rg
(12) coq 1557U 1557B 1568 1588-89 1649Ca : Coq T.A.Eds.
(13) le : les 1649Ca 1650Le 1668
(14) ruïnera 1557U 1568A 1568B : ruynera ou ruinera T.A.Eds.
校訂
loire は Loire となっているべき。
日本語訳
ドナウ川とライン川に水を飲みに来て、
大きなラクダがそれを悔いることはないだろう。
ローヌ川の人々を震撼させ、ロワール川の人々を一層強く(震撼させる)。
そしてアルプスの近くで雄鶏がそれを滅ぼすだろう。
訳について
山根訳前半「大いなるラクダがドナウ川 ライン川の水を飲みに来るだろう/しかも彼はそれを悔むことはない」は、問題ない訳。Le grand Chameau は2行目にあるが、山根訳のようにそれが省略されている1行目の方にもってきてしまう方が日本語としては自然である。ただ、当「大事典」では、できるかぎり訳語を各行に対応させる都合上、そういう訳し方をとらなかった。
山根訳3行目に「ローマ」とあるのは「ローヌ」の単純な誤植だろう。
大乗訳2行目「ラクダはくやむことなく」は、grand が訳に反映されていない。
同3行目「ローヌはふるえ ロワールの人よりいっそう強く」は ceux de Loire の直前に que を補えば可能な訳だが、
ピーター・ラメジャラー、
ジャン=ポール・クレベールらはそういう訳を採っていない。
信奉者側の見解
テオフィル・ド・ガランシエールは、トルコ(大きなラクダ)がドイツに侵攻し、それがフランスにも恐怖を与えるが、フランス(雄鶏)はアルプス近くでトルコを撃破するという予言とした。
アンドレ・ラモンは、ガランシエールと同じく、イスラーム勢力が侵攻してくるが、アルプス山脈近くでフランス軍に敗れると解釈した。
同時代的な視点
ピーター・ラメジャラーは、『
ミラビリス・リベル』に描かれたアラブの侵攻とそれを撃破する大君主の予言が投影されているとした。また、「水を飲むラクダ」のイメージは、1534年にガスパルス・ペウケルス(Gasparus Peucerus)が雲の中に見て、コンラドゥス・リュコステネスが再録した、炎上する大都市や水を飲むラクダの幻像がモデルになっている可能性を示した。
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最終更新:2010年11月10日 22:47